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BLの丘
2012年 冬の遠足 6
2012-12-17-Mon  CATEGORY: 『想』―sou―
龍太は体を揺すぶられて目を覚ました。
雅臣「龍太、起きてよ。俺たちが遅れてどうするのっ」
集合場所のレストラン、みんなが集まる前に最終確認をしなければならない。
畳の席は、横に長く向かいあう形で準備されている。
寒い日、それぞれ種類の異なる鍋が幾つかてんてんてんと配置されており、好きに選べるようになっていた。
どう着席するかは客任せだが、きっとカップルは隣同士に座ることだろう。
大きなお鍋の他に、個人向けにしゃぶしゃぶもあったし、お造りや魚の塩焼きなど、種類はかなりあるほうだ。
それぞれ落ち度がないか確認し(そんなのはホテル側の仕事なのだが)、ワイワイと騒ぐ人たちを笑顔で出迎えた。

雅臣「皆様、ゆっくりお休みになれましたか~?」
安住「うん、広い部屋だったしね」
佐貫「雅臣君ももう、『仕事』は終わりにしたらどうだ?一杯やるだろう?」
雅臣「そんなぁ。ではお言葉に甘えて…(☆▽☆)」(←誘いに応じなければ…と思っている)
龍太「…ま、雅臣さん…」(←単に飲みたいのが分かっている)
千城「さぁ、座ろう」
皆が揃えば、忙しく動く係の人間がいた。
次々と届けられるドリンク類や、新しく料理が整えられる。
安住や成俊、日野、龍太が中心となって、鍋の加減をみたり、配ったりとしていた。
一日の出来事を振り返っては、賑やかな会話が続き、またアルコールも混じって饒舌になっていく。

味噌煮込み

神戸「ショウも回転ジャンプできるようになっちゃうんだもんね~」
雅臣「え?そうなんですか?」
日野「一回転だけだよ。ヒサシなんかとは違いすぎるし」
成俊「やりたいって言ったのに、やらせてくれなかった…」
佐貫「あたりまえだ。怪我でもしたらどうするんだ」
那智「でも俺と成俊くんはできそうな気がしなくもなかったけれど…」(←戦闘機を使わなくても滑れた人)
久志「抱き上げて頭上で回してやるから、それで満足しとけ」
千城「それこそ、何かの『ショー』だな(クスリ)」
安住「一葉はあの乗物から下りたらだめだからね」
一葉「は、はい…」
和紀「ひなも、だよ。転んで頭を打ったら大変なことになるんだから」
日生「うん…」
英人「日生くん、ほら、ふーふー、してもらわないとまたやけどしちゃうよ」
よそってもらった器の中身を口に入れようとして、英人が止めた。
会話に夢中になってしまって、どこか気もそぞろ。
和紀「あぁ、ごめん。ひなにはまだ熱すぎたな…」
そう言いながら、和紀は自分の舌で一度温度を確認してから日生の元へと運んだ。
こんな与えられ方をしているのだから、日生が一人で苦労するのはあたりまえか…とその場のほぼ全員が思っていたことだったけれど、誰も口にすることはない。

食べ物よりも飲み物を口に運ぶペースが早い雅臣に、龍太は気が気ではなくなってくる。
龍太「雅臣さん、ご飯もちゃんと食べてください。変な酔い方しますよ」
雅臣「うるさいっ」
「あーん」と届けられるものを恥ずかしそうに雅臣は拒否していた。
美味しいお酒、美味しい料理、みんなの満足が得られるのが何よりも嬉しい。

雅臣「えーとですねぇ。本日のデザートなんですけれど、日野くんが作ってくれました~」
食事があらかた片付いたところで、雅臣が紹介すると、日野は改めてそんなことは言わなくていいと苦笑したし、他の人は、いつの間に?と驚いていた。
それから運ばれてきた切り株の形をしたケーキの登場に目を奪われる。
チョコレートやココアで飾られたもの、また逆に雪でも降らせたかのように粉砂糖をまぶせられたもの、もうひとつは周りを彩るフルーツが大量に盛られたものだった。
計三種類の出現に、一様に絶句してしまう。
久志「うまそぉ」
神戸「ショウってほんと、器用だよね…」
英人「今日のサプライズはこれだったんだ~」
那智「前は花火だったもんね~」
日生「すごい…」
一葉「さすがショウちゃん…」
雅臣「食べたいものからおっしゃってください。店員さんが切り分けてくれます」(←投げた)
日野「その、チョコのはリキュール多めだから注意して」
さりげなく商品説明までしてくれる。
作った人間が分かるだけに、安心して食べられるものにもなっていた。

口のまわりを汚しながら、バクバクと食べて(一葉は安住にフルーツ盛りの方を勧められていた)そろそろお開き…かという頃。
雅臣「あの…、雪が落ち着いてきた…ということなので、近くの湖のイルミネーション、見に行かれますか?」
予定はあってないようなもの。
客が喜んでくれそうなものであれば、何だって企画してしまう、また土壇場でいかようにも変更してしまう雅臣の行動力には、龍太も口が開いてしまう。
思いつき、がそのまま行動に出るのだから…。
本当は悪天候で中止だったのだろうが、そこは社長の『鶴の一声』に掛けたのだろう。
(見たかったのは雅臣だったらしい)
盛り上がる子供たちの背後で、急ピッチで準備が進められていることなど、誰も知りはしなかった。
「完全防寒の温かい格好でロビーにお集まりください」という時間をとって、雅臣は熱燗を入れてもらった水筒を懐に抱えていた。
寒空の下で、温かい飲み物は必要である。

榛名湖
榛名湖という場所のイルミネーションです。
千城とは関係ありませんので~。(偶然名前がかぶった…)
でもお話上は都合が良かったかしら。(榛名湖の皆様方、ごめんなさい。まさかBLで使われるとは…)

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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2012-12-17-Mon 10:00 [編集]
これで 園の遠足も そろそろ終り間近

最後に この時期には欠かせない イルミネーションを観に行くって
今回も 気が利くね、添乗員さんの雅臣♪

星とは違う煌きの中で
凍てつく寒気に身を晒しながらも 心は温かいよね
愛し愛され人となら
*゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。(*^-^(o^*)ゝキュッ♪**:..。o○☆゚+。*...byebye☆

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-12-17-Mon 11:45 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> これで 園の遠足も そろそろ終り間近

はい、もう終わります。
さすが読みが早いですね~。

> 最後に この時期には欠かせない イルミネーションを観に行くって
> 今回も 気が利くね、添乗員さんの雅臣♪

自分が行きたいだけだった…とは伏せた話で。
見学場所は全て制覇しなければ納得できない雅臣でした。
みんなからみたら『気がきくね』なんですけれど。

> 星とは違う煌きの中で
> 凍てつく寒気に身を晒しながらも 心は温かいよね
> 愛し愛され人となら
> *゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。(*^-^(o^*)ゝキュッ♪**:..。o○☆゚+。*...byebye☆

愛しい人と見るから余計にポカポカ。
心の中にも温かなともしびが宿ることでしょう。
寒さなんてどっかいっちゃえ~~~ですね。
コメントありがとうございました。
温まれて
コメントnichika | URL | 2012-12-17-Mon 21:44 [編集]
雅臣さん最後はお仕事しっかりする方ですね。ホロ酔いでも。
久志さん、頭上で・・・しっかり違うことを妄想してしまいました(笑) アカン

きえ様お鍋美味しそう、以前のフォトでもk地主のネギが添えられませんか

イルミネーション!この寒い時期だからこそ、その光にホッカリ優しい気持ちに
好きな人、大事に思う人といれることに又温まるれるのでしょうね。
Re: 温まれて
コメントたつみきえ | URL | 2012-12-18-Tue 06:57 [編集]
nichika様
おはようございます。

> 雅臣さん最後はお仕事しっかりする方ですね。ホロ酔いでも。
> 久志さん、頭上で・・・しっかり違うことを妄想してしまいました(笑) アカン

雅臣は仕事熱心…というより、自分の趣味に走っているところがありますが。
久志の頭上? 何を妄想したのでしょうか。

> きえ様お鍋美味しそう、以前のフォトでもk地主のネギが添えられませんか
>
> イルミネーション!この寒い時期だからこそ、その光にホッカリ優しい気持ちに
> 好きな人、大事に思う人といれることに又温まるれるのでしょうね。

お鍋は名古屋で食べた味噌煮込みでした。
空気が澄んで、光るものが綺麗に見られますね。
心も澄むのでしょうか。
光りに包まれて心もホカホカ。
コメントありがとうございました。
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