クリスマス企画第二弾
でも私が書くと明るくならない…。
別に千城と英人の物語が書けないからこんなもので場繋ぎしているわけではないんですよ…。
今朝の『wait』でふと思いついた作品です。(苦情きそうだな…)
クリスマスイブという一年に一度しかない日に、うるさくワンワンと吠えるドーベルマンが天候不順の為に日本に戻れず海外という檻に収監されていると聞いた時は、そりゃぁ喜んださ。
番犬がいなければサンタクロースだって安心して近づいてプレゼントを渡せる。
一人淋しく過ごすことになるドーベルマンの愛猫が可哀想で早速電話を入れてみれば、「友達の働くバーにいる」とニャーニャー悲しみの声を上げていて…。
当然行くでしょ。勤労する友人などより何で俺に泣きついてくれないのかな。
ドーベルマンと同じくらいこのコリー犬だって愛猫に一途だって忘れられちゃ困っちゃうよ。
サンタのソリならぬ、待機している我が家の車に鞭を入れて、愛猫に聞いた場所へと急がせた。
昔ながらの趣を残した少ししんみりとしたバーのカウンターに愛猫はちょこんと座っていた。
丸まった背中を思わず抱きしめたくなっちゃう。
スッと隣にさりげなく寄れば大きな目をパチクリとさせた。
「聖ってば、本当に来たの?」
「当たり前。こんな時の英人、放っておけない」
意外だと言わんばかりの驚き方がまた可愛い。淋しかったのならそのまま膝の上で丸くなっていいのに。
カウンターの奥に立った、きっと愛猫の友人だというのがこの狛犬だろう。
夜の雰囲気を纏わせながらも人を見る目は確かなようで、瞳の奥から一瞬品定めをされるような光を俺が見逃すものか。
敵対心が生まれるかと思いかけたが愛猫が安堵の息を漏らすのを狛犬は瞬時に読み取っていた。
「初めまして。いつも良くしていただいているみたいで…」
客商売に慣れた穏やかな顔つきを見せ礼を言われたことに驚く。まるですでに俺の存在を知っていたかのような雰囲気…。そして委ねるような落ち着きぶり。だけどその言葉には「友人以上の感情を持つな」と暗に牽制されているのが窺えた。だからって絶対に俺と同じ意味で愛猫を可愛がっているわけじゃないのは態度で知らされる。懐の大きさというか余裕さというか…。恐るべし、何者?こいつ。
どうやったって越えられない壁があるのは承知しているけど。
ドーベルマンと愛猫の巣に入っていけないように、狛犬が守る社寺に住みついた愛猫にも俺は近づくことができなかった。どちらとも俺の存在は違った。
そんなことを改めて確認させられるようなプレゼント、俺はいらないんだけどなぁとサンタクロースに心の中で愚痴ってみる。
愛猫は狛犬の前で何度もごろごろと喉を鳴らせていた。そんな仕草、俺には見せたことがないよね。心がしゅんとするのが分かる。
そのたんびに気付いた狛犬に促されて愛猫が寄り添ってくるものだから…。
あぁ、敵わないんだ…ってとっても強く感じたよ。
狛犬が見せる態度にも、愛猫が気にしてくれる優しさにも、俺はまだまだ足りていないんだな~って思う。
このまま連れ去っちゃいたいな…と自己満足しかない世界を思い浮かべながら、狛犬の目の前じゃやっぱり何もできず…。
さりげなく愛猫に外まで見送りを頼んで出た店先で、そっと愛猫の唇を舐めてみた。
さっきまで愛猫が舐めるように飲んでいた甘いカクテルの味が舌先から伝わってくる。
愛猫は驚いたようにピクンとしていたけど毛を逆立てることはなくて…。
こういうところが甘いんだよ…って思わず言いたくなっちゃう。
「帰国子女の俺にとってこんなのは挨拶なんだよ」って呟いたら、真っ赤になってうろたえている。
あーぁ、なんて可愛いんだろう。許してくれるなら何度だってキスの雨を降らせたい。
サンタクロースに今からプレゼントのお願いをしても受け付けてくれるのかな。
まぁ、叶わないお願いなんだけど。
ふと見上げた空、透き通った夜空に一筋の光が流れた気がした。
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でも私が書くと明るくならない…。
別に千城と英人の物語が書けないからこんなもので場繋ぎしているわけではないんですよ…。
今朝の『wait』でふと思いついた作品です。(苦情きそうだな…)
クリスマスイブという一年に一度しかない日に、うるさくワンワンと吠えるドーベルマンが天候不順の為に日本に戻れず海外という檻に収監されていると聞いた時は、そりゃぁ喜んださ。
番犬がいなければサンタクロースだって安心して近づいてプレゼントを渡せる。
一人淋しく過ごすことになるドーベルマンの愛猫が可哀想で早速電話を入れてみれば、「友達の働くバーにいる」とニャーニャー悲しみの声を上げていて…。
当然行くでしょ。勤労する友人などより何で俺に泣きついてくれないのかな。
ドーベルマンと同じくらいこのコリー犬だって愛猫に一途だって忘れられちゃ困っちゃうよ。
サンタのソリならぬ、待機している我が家の車に鞭を入れて、愛猫に聞いた場所へと急がせた。
昔ながらの趣を残した少ししんみりとしたバーのカウンターに愛猫はちょこんと座っていた。
丸まった背中を思わず抱きしめたくなっちゃう。
スッと隣にさりげなく寄れば大きな目をパチクリとさせた。
「聖ってば、本当に来たの?」
「当たり前。こんな時の英人、放っておけない」
意外だと言わんばかりの驚き方がまた可愛い。淋しかったのならそのまま膝の上で丸くなっていいのに。
カウンターの奥に立った、きっと愛猫の友人だというのがこの狛犬だろう。
夜の雰囲気を纏わせながらも人を見る目は確かなようで、瞳の奥から一瞬品定めをされるような光を俺が見逃すものか。
敵対心が生まれるかと思いかけたが愛猫が安堵の息を漏らすのを狛犬は瞬時に読み取っていた。
「初めまして。いつも良くしていただいているみたいで…」
客商売に慣れた穏やかな顔つきを見せ礼を言われたことに驚く。まるですでに俺の存在を知っていたかのような雰囲気…。そして委ねるような落ち着きぶり。だけどその言葉には「友人以上の感情を持つな」と暗に牽制されているのが窺えた。だからって絶対に俺と同じ意味で愛猫を可愛がっているわけじゃないのは態度で知らされる。懐の大きさというか余裕さというか…。恐るべし、何者?こいつ。
どうやったって越えられない壁があるのは承知しているけど。
ドーベルマンと愛猫の巣に入っていけないように、狛犬が守る社寺に住みついた愛猫にも俺は近づくことができなかった。どちらとも俺の存在は違った。
そんなことを改めて確認させられるようなプレゼント、俺はいらないんだけどなぁとサンタクロースに心の中で愚痴ってみる。
愛猫は狛犬の前で何度もごろごろと喉を鳴らせていた。そんな仕草、俺には見せたことがないよね。心がしゅんとするのが分かる。
そのたんびに気付いた狛犬に促されて愛猫が寄り添ってくるものだから…。
あぁ、敵わないんだ…ってとっても強く感じたよ。
狛犬が見せる態度にも、愛猫が気にしてくれる優しさにも、俺はまだまだ足りていないんだな~って思う。
このまま連れ去っちゃいたいな…と自己満足しかない世界を思い浮かべながら、狛犬の目の前じゃやっぱり何もできず…。
さりげなく愛猫に外まで見送りを頼んで出た店先で、そっと愛猫の唇を舐めてみた。
さっきまで愛猫が舐めるように飲んでいた甘いカクテルの味が舌先から伝わってくる。
愛猫は驚いたようにピクンとしていたけど毛を逆立てることはなくて…。
こういうところが甘いんだよ…って思わず言いたくなっちゃう。
「帰国子女の俺にとってこんなのは挨拶なんだよ」って呟いたら、真っ赤になってうろたえている。
あーぁ、なんて可愛いんだろう。許してくれるなら何度だってキスの雨を降らせたい。
サンタクロースに今からプレゼントのお願いをしても受け付けてくれるのかな。
まぁ、叶わないお願いなんだけど。
ふと見上げた空、透き通った夜空に一筋の光が流れた気がした。
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M様
こんにちは。クリスマスなのにお越しいただきありがとうございます。
私も今チキンの下ごしらえ中…。
> 朝「wait」でジーンとしてお昼にコメントを書こうと思ってたら聖さんクリスマスSSが(゜o゜)/
> 再びジーン…。何か聖さんが喜びそうなプレゼントをしたいですが思いつかないです。役立たずでごめんなさい…
いえいえ。M様がお越しいただいただけで満足でございます。
「プレゼントだなんてそんな~」(聖、マジテレテレ中)
> 千城さんが無理やり?帰って来そうな気がします。英人のんびりしてて大丈夫かな~?
> 素敵なクリスマスSSを2つもありがとうございました。年末年始はお忙しいと思いますのでゆっくり更新して下さい。のんびり楽しみに待ってます(^-^)
今度ばかりは無理矢理帰ってこない状況になっております。
アメリカ軍の軍隊でも動かすのかい?ってなくらい。
だから安心してこんなSS、2弾も書いているんです。
まぁばれたら後日大変なことになるでしょうけど…(?)
コメントありがとうございました。
こんにちは。クリスマスなのにお越しいただきありがとうございます。
私も今チキンの下ごしらえ中…。
> 朝「wait」でジーンとしてお昼にコメントを書こうと思ってたら聖さんクリスマスSSが(゜o゜)/
> 再びジーン…。何か聖さんが喜びそうなプレゼントをしたいですが思いつかないです。役立たずでごめんなさい…
いえいえ。M様がお越しいただいただけで満足でございます。
「プレゼントだなんてそんな~」(聖、マジテレテレ中)
> 千城さんが無理やり?帰って来そうな気がします。英人のんびりしてて大丈夫かな~?
> 素敵なクリスマスSSを2つもありがとうございました。年末年始はお忙しいと思いますのでゆっくり更新して下さい。のんびり楽しみに待ってます(^-^)
今度ばかりは無理矢理帰ってこない状況になっております。
アメリカ軍の軍隊でも動かすのかい?ってなくらい。
だから安心してこんなSS、2弾も書いているんです。
まぁばれたら後日大変なことになるでしょうけど…(?)
コメントありがとうございました。
t様
こんにちは。年末のお忙しい時にご訪問ありがとうございます。
>きえ様のSSの世界も凄く好きです。普段見られない視点での描写や話の進め方がツボです。 日野君の狛犬(笑)そう来ると思わなかったのでより見方が変わりました。強引かと思いきや、聖も本当に英人が大切で仕方ないのでしょうね。千城と英人の絶対的な愛は勿論願うばかりですが、いじらしい聖にも英人とのごにょごにょ…をプレゼントして欲しい気分になりました。
なんだか私の中で『ドーベルマン』が抜けませんでした。
そんでもって周りの人を考えたら、日野って何?守り神?狛犬?みたいな発想です。(←これが一番苦情きそうでちょっとおっかない…)
聖もね、なにかと英人をかまいたいお年頃(?)なんですよ。
ごにょごにょ…をプレゼントしたいんですけど…。もう充分だろうというくらい味わっているんじゃないかと(千城に言わせたらマグニチュード100くらいのレベルですけど)思っています。
たまに『挨拶』してあげることでどお?(と聞いてみる)
ばれたらドーベルマンに酷く噛みつかれるんだろうな~。
コメントありがとうございました。
こんにちは。年末のお忙しい時にご訪問ありがとうございます。
>きえ様のSSの世界も凄く好きです。普段見られない視点での描写や話の進め方がツボです。 日野君の狛犬(笑)そう来ると思わなかったのでより見方が変わりました。強引かと思いきや、聖も本当に英人が大切で仕方ないのでしょうね。千城と英人の絶対的な愛は勿論願うばかりですが、いじらしい聖にも英人とのごにょごにょ…をプレゼントして欲しい気分になりました。
なんだか私の中で『ドーベルマン』が抜けませんでした。
そんでもって周りの人を考えたら、日野って何?守り神?狛犬?みたいな発想です。(←これが一番苦情きそうでちょっとおっかない…)
聖もね、なにかと英人をかまいたいお年頃(?)なんですよ。
ごにょごにょ…をプレゼントしたいんですけど…。もう充分だろうというくらい味わっているんじゃないかと(千城に言わせたらマグニチュード100くらいのレベルですけど)思っています。
たまに『挨拶』してあげることでどお?(と聞いてみる)
ばれたらドーベルマンに酷く噛みつかれるんだろうな~。
コメントありがとうございました。
MO様
こんばんは。
>素敵な「クリスマス企画 2編」を、ありがとうございます。
どちらも心温まるお話で、楽しませてもらいました♪日野のお店には、良い男達が集まってきて、羨ましいです。これもきっと日野が、ちゃんとお客様にとって、居心地の良い最高の居場所を提供できる男だからですよね。ここに集う良い男達のお話、これからも宜しくお願いします。そして日野にも、幸せが訪れると良いですね。いつも ありがとうございます。
くだらないクリスマス企画にお付き合いいただきまして感謝いたします。
聖編は突然思いついた即席物で、こんなのをupしていいんだろうか…と思っておりました。
日野のお店には色々な人が集まってくることとと思います。
自分の働くお店を良くしたいと思うからこそ変な客を入れないし雰囲気を守りたいのでしょう。
いつか日野にも…と考えているんですけど、どうにも思い浮かばない…。
コメントありがとうございました。
こんばんは。
>素敵な「クリスマス企画 2編」を、ありがとうございます。
どちらも心温まるお話で、楽しませてもらいました♪日野のお店には、良い男達が集まってきて、羨ましいです。これもきっと日野が、ちゃんとお客様にとって、居心地の良い最高の居場所を提供できる男だからですよね。ここに集う良い男達のお話、これからも宜しくお願いします。そして日野にも、幸せが訪れると良いですね。いつも ありがとうございます。
くだらないクリスマス企画にお付き合いいただきまして感謝いたします。
聖編は突然思いついた即席物で、こんなのをupしていいんだろうか…と思っておりました。
日野のお店には色々な人が集まってくることとと思います。
自分の働くお店を良くしたいと思うからこそ変な客を入れないし雰囲気を守りたいのでしょう。
いつか日野にも…と考えているんですけど、どうにも思い浮かばない…。
コメントありがとうございました。
『wait』と『Difference』セットで読むとなーるほどっと思いました。
来ないかもしれない待ち人に想いを寄せ、自分の気持ちに向きあうひと時が、新たな一歩を進む勇気を与えてくれたんですね。
そんな、人待ちの間に飛び込んできたかわいい男の子が英人くんで、人間のできた気配りのバーテンさんが日野さんでしたか。
聖くん切ないね。聖なる夜に同じ名を持つ聖くんに幸あれ。
(海の向こうのとある空港でイライラと空を見上げている千城さんにも幸あれ)
来ないかもしれない待ち人に想いを寄せ、自分の気持ちに向きあうひと時が、新たな一歩を進む勇気を与えてくれたんですね。
そんな、人待ちの間に飛び込んできたかわいい男の子が英人くんで、人間のできた気配りのバーテンさんが日野さんでしたか。
聖くん切ないね。聖なる夜に同じ名を持つ聖くんに幸あれ。
(海の向こうのとある空港でイライラと空を見上げている千城さんにも幸あれ)
甲斐様
おはようございます。
> 『wait』と『Difference』セットで読むとなーるほどっと思いました。
> 来ないかもしれない待ち人に想いを寄せ、自分の気持ちに向きあうひと時が、新たな一歩を進む勇気を与えてくれたんですね。
> そんな、人待ちの間に飛び込んできたかわいい男の子が英人くんで、人間のできた気配りのバーテンさんが日野さんでしたか。
> 聖くん切ないね。聖なる夜に同じ名を持つ聖くんに幸あれ。
> (海の向こうのとある空港でイライラと空を見上げている千城さんにも幸あれ)
分かりにくいものを書いてしまってすみません。
英人とは全く関係のないものを書こうと思っていたのですが、気付いたら「あれ?何でいるの?」みたいにひょいっと登場されちゃって…。
そしたら聖まで「俺も俺も」と肩を叩かれたものだからつい出しちゃいました。
きっと聖にも良いことが待っていると思います。
千城、イライラしてるんでしょうね~。(一晩中電話とかしてそう…)
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> 『wait』と『Difference』セットで読むとなーるほどっと思いました。
> 来ないかもしれない待ち人に想いを寄せ、自分の気持ちに向きあうひと時が、新たな一歩を進む勇気を与えてくれたんですね。
> そんな、人待ちの間に飛び込んできたかわいい男の子が英人くんで、人間のできた気配りのバーテンさんが日野さんでしたか。
> 聖くん切ないね。聖なる夜に同じ名を持つ聖くんに幸あれ。
> (海の向こうのとある空港でイライラと空を見上げている千城さんにも幸あれ)
分かりにくいものを書いてしまってすみません。
英人とは全く関係のないものを書こうと思っていたのですが、気付いたら「あれ?何でいるの?」みたいにひょいっと登場されちゃって…。
そしたら聖まで「俺も俺も」と肩を叩かれたものだからつい出しちゃいました。
きっと聖にも良いことが待っていると思います。
千城、イライラしてるんでしょうね~。(一晩中電話とかしてそう…)
コメントありがとうございました。
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