「シャワー、勝手に借りましたよ」と言う鹿沼はさっぱりとした雰囲気だった。本気で帰る気はなさそうだ。
上下ジャージというすっかり寛いだ姿に歩み寄られてきて、ベッドの端に腰かけられて、思い出したくない昨夜に布団の中に潜り込んでしまう。
恥ずかしさに顔を合わせる気になれない。自分から鹿沼のジーパンの中に手を突っ込んだなんて…。
「二日酔いになっていませんか?まだ眠り足りない?」
鹿沼の手が布団をめくろうとするのが分かって、端を掴んで拒否すれば頭の上を撫でられた。
「照れてるの?本当に可愛いですね。あんなことをしたかと思えば…」
「それ以上言うな…」
「金輪際、俺の前以外では飲ませませんからね。飲み過ぎた時にどうなるのか最初に知れて良かったです」
自分から誘うなんてそうそうあることじゃない。そういう印象を植え付けてしまったことにも後悔する。
だいたいキスしてきたのは鹿沼のほうだったじゃないか…。
鹿沼の中で何か解決したような発言に羞恥心ではじけそうな脳味噌が動いた。
「え?最初?」
布団の中からのくぐもった声も鹿沼は聞き逃していなかったようだ。
「付き合っていくのにお互いの行動を良く知るって必要なことですから。俺には何も隠さずありのままを見せてください」
「付き合う?」
「そう言ったでしょ。…もしかして記憶がないんですか?」
力強い腕が無理矢理布団を剥いだ。曝け出された雅臣が呆然と鹿沼を見上げれば盛大な溜め息に迎えられた。
「撤回はしませんよ。このまま俺のところに堕ちてきてくれればいいです。今だったら記憶に残りそうですね」
何のことかと思考を巡らせる前にかがみ込んだ鹿沼の唇が雅臣の唇を塞いだ。素早い手の動きに寝起きの身体がピクンと震える。パジャマの上から足の付け根を弄られたら反応は早かった。
「んっ!」
身体を捩ろうにも体格の違いは歴然でびくともしない。
口腔をなぶるような舌の動きに絡んだ唾液の水音が聞こえた。一通り舐めつくしたと唇を離してもらった時には呼吸が乱れていた。
「な、なに…っ、だったらなんでゆうべのうちに…」
「初夜が酔いの勢いなんて嫌ですよ。しかもすぐに眠っちゃったし記憶はなくされているし。ちゃんと俺のことを受け入れてください。俺の腕に甘えればいい。傷つけることなく守ってやりますから」
静かに諭すような口調だった。またチュッと唇を寄せられる。二度目の口付けは優しくて、昨夜のように安堵感がある。それでもやっぱり恋に落ちることへの恐怖は拭えなかった。
記憶が全くないわけではなかったが曖昧なのは確かだった。
抱いてくれと縋ったのは鹿沼と付き合うという意味になったのだろうか…。
「鹿沼のこと、好きになるかどうかなんて分からない…」
「いいですよ。でも俺は常陸さんを離さない。意味もなくふらふらとその辺の訳の分からない男と付き合われるくらいだったら俺のものにします。大丈夫です。俺たち、性格の相性は良いんです。知っているでしょ?きっとうまくいきますよ」
どこから来る自信かは分からないが豪語されれば、確かに雅臣も嫌うところはないと振り返る。多少会話のかみ合わないところがあっても周りの人間に言わせれば漫才で御愛嬌の部類だ。鹿沼の頼りになる性格も人懐っこさも好きと言えるくらいだった。そんな感情を知りたくなかったから鹿沼を避けていたのだと思える。
暖かな腕が雅臣を包み込みながら「朝食は後にしましょう」といつもよりも低い声が耳元で囁いた。
にほんブログ村
鹿沼君、にこにこしながら「きのうのつづきをしましょうね~♪♪♪」ってかんじですか… (また欄外記述…)
6← →8
上下ジャージというすっかり寛いだ姿に歩み寄られてきて、ベッドの端に腰かけられて、思い出したくない昨夜に布団の中に潜り込んでしまう。
恥ずかしさに顔を合わせる気になれない。自分から鹿沼のジーパンの中に手を突っ込んだなんて…。
「二日酔いになっていませんか?まだ眠り足りない?」
鹿沼の手が布団をめくろうとするのが分かって、端を掴んで拒否すれば頭の上を撫でられた。
「照れてるの?本当に可愛いですね。あんなことをしたかと思えば…」
「それ以上言うな…」
「金輪際、俺の前以外では飲ませませんからね。飲み過ぎた時にどうなるのか最初に知れて良かったです」
自分から誘うなんてそうそうあることじゃない。そういう印象を植え付けてしまったことにも後悔する。
だいたいキスしてきたのは鹿沼のほうだったじゃないか…。
鹿沼の中で何か解決したような発言に羞恥心ではじけそうな脳味噌が動いた。
「え?最初?」
布団の中からのくぐもった声も鹿沼は聞き逃していなかったようだ。
「付き合っていくのにお互いの行動を良く知るって必要なことですから。俺には何も隠さずありのままを見せてください」
「付き合う?」
「そう言ったでしょ。…もしかして記憶がないんですか?」
力強い腕が無理矢理布団を剥いだ。曝け出された雅臣が呆然と鹿沼を見上げれば盛大な溜め息に迎えられた。
「撤回はしませんよ。このまま俺のところに堕ちてきてくれればいいです。今だったら記憶に残りそうですね」
何のことかと思考を巡らせる前にかがみ込んだ鹿沼の唇が雅臣の唇を塞いだ。素早い手の動きに寝起きの身体がピクンと震える。パジャマの上から足の付け根を弄られたら反応は早かった。
「んっ!」
身体を捩ろうにも体格の違いは歴然でびくともしない。
口腔をなぶるような舌の動きに絡んだ唾液の水音が聞こえた。一通り舐めつくしたと唇を離してもらった時には呼吸が乱れていた。
「な、なに…っ、だったらなんでゆうべのうちに…」
「初夜が酔いの勢いなんて嫌ですよ。しかもすぐに眠っちゃったし記憶はなくされているし。ちゃんと俺のことを受け入れてください。俺の腕に甘えればいい。傷つけることなく守ってやりますから」
静かに諭すような口調だった。またチュッと唇を寄せられる。二度目の口付けは優しくて、昨夜のように安堵感がある。それでもやっぱり恋に落ちることへの恐怖は拭えなかった。
記憶が全くないわけではなかったが曖昧なのは確かだった。
抱いてくれと縋ったのは鹿沼と付き合うという意味になったのだろうか…。
「鹿沼のこと、好きになるかどうかなんて分からない…」
「いいですよ。でも俺は常陸さんを離さない。意味もなくふらふらとその辺の訳の分からない男と付き合われるくらいだったら俺のものにします。大丈夫です。俺たち、性格の相性は良いんです。知っているでしょ?きっとうまくいきますよ」
どこから来る自信かは分からないが豪語されれば、確かに雅臣も嫌うところはないと振り返る。多少会話のかみ合わないところがあっても周りの人間に言わせれば漫才で御愛嬌の部類だ。鹿沼の頼りになる性格も人懐っこさも好きと言えるくらいだった。そんな感情を知りたくなかったから鹿沼を避けていたのだと思える。
暖かな腕が雅臣を包み込みながら「朝食は後にしましょう」といつもよりも低い声が耳元で囁いた。
にほんブログ村
鹿沼君、にこにこしながら「きのうのつづきをしましょうね~♪♪♪」ってかんじですか… (また欄外記述…)
6← →8
| ホーム |