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BLの丘
【ホワイトデー企画】:Studio 1
2010-03-07-Sun  CATEGORY: コラボレーション
妄想スパイラル様》より結城さんと薫君が遊びに来てくださったホワイトデー企画です。
結城さんと薫君のお話が読みたい方はどうぞ上をクリック♪


「ホワイトデーにも何かしようよ」
と谷嶋薫(やしまかおる)から話を受けたのは3月に入ってすぐのことだった。
バレンタインデーには、脅かしてあげようと薫と二人してケーキ作りをしたのに、結局は英人の恋人である千城と薫のお相手の結城信哉(ゆうきしんや)にもっとすごいプレゼント(飛行船クルーズ)を送られて企画の差をまざまざと見せつけられた。
何をしたって千城には見透かされてしまう現実を知りながら、そんなことに懲りた様子もなく、薫はまた何かをしたいと言い出す。
よっぽど手作りケーキを褒められたことがうれしかったんだろうなぁ…。

夕闇が迫った時刻、営業途中だという薫がアトリエに姿を現した。
英人の名義にされたビルは、いつの間にか賃貸物件にされていたようで、最上階の5階には警備会社が入っている。
管理の担当は結城のようだったが、実際には薫が様子を見にきていた。
年も近いし、色々な意味で話が合うので英人としては歓迎していた。

オフィスの上司でもある神戸に「賃貸会社の人が来るので…」と早上がりを希望したらすぐに調整してくれた。
だからといって新しい入居者があるわけでもない。
千城の許可を得ずにビルに入れる人間などいるはずがない。
要は薫と雑談をするための口実に過ぎなく、神戸を騙していることにささやかな詫びはあったが、気兼ねなく話せる薫との時間は楽しいものだった。

薫とはバレンタインデーのマル秘チョコケーキ作戦以来、すっかりと仲良くなっている。
こうして営業回りで時間が空いたときなど、たまにアトリエを訪れてくれる。
英人が描く絵に感心してくれて、それは英人にとっても嬉しいことだった。
ただきちんとスーツを着た薫に比べて常にラフな格好の英人はどうしたって薫より年上には見えない。
オフィスでスーツを着る必要がなかったから今日も仕事帰りだというのに、浅葱色のTシャツに黒のドレープカットソーを重ね、ジーンズという姿だった。

部屋の端の方に置かれたデスクの上を適当に片付けてコーヒーを出してあげる。
薫と話をしていたところに英人の携帯電話が鳴った。
珍しく、表示されたのが『野崎』とあって英人の方が驚いた。
薫に失礼を詫びて電話に出てみれば、千城の秘書である野崎の声がした。
『すみません。社長は接待が延びておりまして…。夕食もお付き合いすることになりましたので、英人さんにはお食事を先に召し上がっていただきたいと…』
夕食時に帰ってこないと伝えられて淋しさもあったが、仕事では仕方ないとも思う。
特にこの時期は決算期など様々な事情が重なって帰宅は遅くなる一方だった。
「はい、分かりました」
しゅんとうなだれた英人に気付いたのか、電話を切ると薫が心配そうに英人を伺い見た。
「大丈夫?どうしたの?」

夕食を一人で摂るのは淋しいが彼を誘うわけにもいかないだろうと思う。薫にも待っている人はいる。
何気なく千城の帰宅が遅くなることを伝えれば、元気づけてくれるような薫のハツラツとした声が響いた。
「結城さんなら大丈夫だよ!今日は役員会があるし遅くなるんだ。俺も一人だしどうせなら一緒にご飯を食べようよ」
わざと言ってくれたのかどうかは分からない。
でも薫はいつも英人を元気にしてくれた。

「今日はイタリア料理の日なんだよね…」
デリバリーで届く食材は日々違う。
最近では英人もたまに料理をするようになったが、常日頃千城が口にしているものを英人が作るなど到底できなく、その上料理は使用人が作るものという環境で育っている千城は英人の『家政婦のような動き』を好まなかった。
すでにマンションに届いているだろう、夕食のメニューを口に出すと、「イタリア料理?」と薫から不思議そうな声が上がった。
「英人って料理も得意なんだぁ…」と感心されたように呟かれたが説明をするのも気が引けてくる。
食べてもらわなければ明日の朝には廃棄物になるだけだ。
家に連れて行ってしまえばいい…。
英人は薫の言葉に甘えて彼をマンションに招待した。

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コメント

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コメントきえ | URL | 2010-03-07-Sun 07:59 [編集]
S様
おはようございます。

>こんばんは~☆彡英人くん、お帰り~。でも、英人くん大丈夫かなぁ?愛の巣に連れて行って。千城にお仕置きされちゃいそう。

いつも英人を応援してくださいましてありがとうございます。
薫君は千城も知っている存在なので大丈夫です。
それに急に自分が一緒にいられなくなって、淋しい思いをする英人を助けてくれたような薫君なので、文句を言えません。
感謝していただきたいくらいですよ~。
一週間という期間ですが楽しんでいただけたらな~と思います。
コメントありがとうございました。
わーい! ホワイトデーだー!
コメント甲斐 | URL | 2010-03-07-Sun 15:46 [編集]
大好きなパパが一緒じゃないとご飯が食べられない寂しがり屋のひーちゃんでしたね。薫くんがいなかったらきっと大半が廃棄の運命かも。

千城さんたら、結局、家政婦のような動きもなにも、自分にためであっても英人くんが芸術的なお仕事以外に費やす時間はみーんな自分と甘々する時間なんだから余計なことに気を使ったり疲れて欲しくないいんですよね。もともと体力ないし、そんなことに使うくらいなら、もっとオレに付き合えって!?
Re: わーい! ホワイトデーだー!
コメントきえ | URL | 2010-03-07-Sun 20:32 [編集]
甲斐様
始まりました!ほわいとでー。

> 大好きなパパが一緒じゃないとご飯が食べられない寂しがり屋のひーちゃんでしたね。薫くんがいなかったらきっと大半が廃棄の運命かも。

ちょうどいいときに薫君が遊びにきてくれました。
日に日に我が儘に、甘えん坊になっていく坊やです。

> 千城さんたら、結局、家政婦のような動きもなにも、自分にためであっても英人くんが芸術的なお仕事以外に費やす時間はみーんな自分と甘々する時間なんだから余計なことに気を使ったり疲れて欲しくないいんですよね。もともと体力ないし、そんなことに使うくらいなら、もっとオレに付き合えって!?

なんだったら食事もベッドルームで。。。
「ソースが垂れてしまったな」とかわざとやっていそうな千城さんです。(←この人も人格が変わってきたな~…汗)
もともとの育ちが違いすぎるふたりですからね。
自分のために動く、と分かるから余計に嫌なんでしょうね。
千城が英人のために何かをするのはいいとしても。
一週間ですが、どうぞお付き合いください。
コメントありがとうございました。
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