《妄想スパイラル様》より結城さんと薫君が遊びに来てくださったホワイトデー企画です。
結城さんと薫君のお話が読みたい方はどうぞ上をクリック♪
帰り道、英人は日野のバーに立ち寄った。どうせ千城はまだ帰ってこない。
早い時間だったからか、店にはまだ客がいなかった。
「なんでそういうバカなこと、考えるの?」
カウンターの奥で呆れたようなバーテンダーの日野の溜め息がこぼれた。
出社して間もない日野は何の話も聞いていなかったようで、英人から聞いたことにオーナーを呼びに行ったくらいだ。
この店では滅多に聞かない話に、オーナーの水谷も「気分転換」と言いながら顔を出してきた。
すでに50代と聞いたが年齢を感じさせない風貌で、長く伸びた髪を後ろで一つに縛っている。鍛えられ方を見ては塚越と気が合いそうだな…と内心で思っていた英人だ。
瞬時に考えついたはずなのに、神戸の計画は綿密なくらい出来上がっていた。そして即日の内に全ての手配を終わらせた。
英人が薫と結城を飲みにいこうと誘い予定を聞いて、神戸はその日を撮影日と決めるとこの店を貸し切りにしてしまった。
ホワイトデーの一週間前の日曜日の夜だ。
「英人君の頼みだから」と千城に弱みをぶつけてから、オーナーに話をつけるよう仕向ける。
店の収入面を考えれば、客が来るか来ないかも分からず無駄に店を開け続けるより、確実に入ってくる金額の方に転ぶのは当然の話だった。
まぁ、千城が口利きをすれば断られはしないだろうと神戸は目論んでいたようだが。
大道具でも持ち込んで塚越が隠れられる部分を作り、あとはタイミングを待つだけ…。
その辺の話は神戸とオーナーが直接打ち合わせをしたらしい。
しかも英人と千城に気が向いてはだめだから、二人が到着したあとで「遅れる」と連絡を入れろという用意周到さ。
「俺が考えたんじゃなくて神戸さんだってば」
「俺まで演技しなくちゃいけないって分かってる?俺のギャラも弾んでよ」
「そんなの千城か神戸さんに頼んでよ」
「話を持ち出したのはあんただろーが」
「やることなんかいつもの仕事と変わらないじゃん」
「カメラの邪魔になると思えば気軽に動くこともできないだろ」
「仕事なんかないくせに」
貸し切りにされたバーで何の仕事があるというのだ。
英人と日野が小競り合いを続けているのをカウンター内の隅に置いたスツールに腰掛け、ウィスキーの入ったロックグラスを傾けていた水谷が笑いながら聞いていた。
存在感はあるくせに決して邪魔にはならない。というか邪魔をしない。そして物分かりがいい大人だ。
「日野君には俺から出してやるよ。あとその日は撮影が終わり次第好きにしていいから。ここで飲んでいるのでも良し、帰るのでも良し。例のお二人さんにはどっちがバーテンをやっていたっていいことなんだし」
日野と飲むなどということはそうあることでもなく、しかもいつも英人が泣きついて愚痴をこぼしている場面ばかりで、許可さえあればこういったお店でワイワイ飲むのもいいな、と英人は思った。
薫と結城にはあくまでも「遅れる」であって「行けない」ではないから、オーナー自ら店に立ってくれるのであれば、二人には貸し切りにしたとはばれないだろう。
「日野君を早くあげてくれなんて、そこの坊や以外の人間は言ってはこないからな。たまにはサービスっていうことで…」
「水谷さんっ」
ニヤリと笑った水谷に対して、どこかムキになったように言葉を遮ろうとする日野を見るのは珍しいから、日野と水谷のやりとりに英人はキョトンとしてしまった。
それにしても、この店に多大なる迷惑をかけている自分を改めて教えられたような気分で思わず顔を赤らめた。
まだまだ頼りない英人である。
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帰り道、英人は日野のバーに立ち寄った。どうせ千城はまだ帰ってこない。
早い時間だったからか、店にはまだ客がいなかった。
「なんでそういうバカなこと、考えるの?」
カウンターの奥で呆れたようなバーテンダーの日野の溜め息がこぼれた。
出社して間もない日野は何の話も聞いていなかったようで、英人から聞いたことにオーナーを呼びに行ったくらいだ。
この店では滅多に聞かない話に、オーナーの水谷も「気分転換」と言いながら顔を出してきた。
すでに50代と聞いたが年齢を感じさせない風貌で、長く伸びた髪を後ろで一つに縛っている。鍛えられ方を見ては塚越と気が合いそうだな…と内心で思っていた英人だ。
瞬時に考えついたはずなのに、神戸の計画は綿密なくらい出来上がっていた。そして即日の内に全ての手配を終わらせた。
英人が薫と結城を飲みにいこうと誘い予定を聞いて、神戸はその日を撮影日と決めるとこの店を貸し切りにしてしまった。
ホワイトデーの一週間前の日曜日の夜だ。
「英人君の頼みだから」と千城に弱みをぶつけてから、オーナーに話をつけるよう仕向ける。
店の収入面を考えれば、客が来るか来ないかも分からず無駄に店を開け続けるより、確実に入ってくる金額の方に転ぶのは当然の話だった。
まぁ、千城が口利きをすれば断られはしないだろうと神戸は目論んでいたようだが。
大道具でも持ち込んで塚越が隠れられる部分を作り、あとはタイミングを待つだけ…。
その辺の話は神戸とオーナーが直接打ち合わせをしたらしい。
しかも英人と千城に気が向いてはだめだから、二人が到着したあとで「遅れる」と連絡を入れろという用意周到さ。
「俺が考えたんじゃなくて神戸さんだってば」
「俺まで演技しなくちゃいけないって分かってる?俺のギャラも弾んでよ」
「そんなの千城か神戸さんに頼んでよ」
「話を持ち出したのはあんただろーが」
「やることなんかいつもの仕事と変わらないじゃん」
「カメラの邪魔になると思えば気軽に動くこともできないだろ」
「仕事なんかないくせに」
貸し切りにされたバーで何の仕事があるというのだ。
英人と日野が小競り合いを続けているのをカウンター内の隅に置いたスツールに腰掛け、ウィスキーの入ったロックグラスを傾けていた水谷が笑いながら聞いていた。
存在感はあるくせに決して邪魔にはならない。というか邪魔をしない。そして物分かりがいい大人だ。
「日野君には俺から出してやるよ。あとその日は撮影が終わり次第好きにしていいから。ここで飲んでいるのでも良し、帰るのでも良し。例のお二人さんにはどっちがバーテンをやっていたっていいことなんだし」
日野と飲むなどということはそうあることでもなく、しかもいつも英人が泣きついて愚痴をこぼしている場面ばかりで、許可さえあればこういったお店でワイワイ飲むのもいいな、と英人は思った。
薫と結城にはあくまでも「遅れる」であって「行けない」ではないから、オーナー自ら店に立ってくれるのであれば、二人には貸し切りにしたとはばれないだろう。
「日野君を早くあげてくれなんて、そこの坊や以外の人間は言ってはこないからな。たまにはサービスっていうことで…」
「水谷さんっ」
ニヤリと笑った水谷に対して、どこかムキになったように言葉を遮ろうとする日野を見るのは珍しいから、日野と水谷のやりとりに英人はキョトンとしてしまった。
それにしても、この店に多大なる迷惑をかけている自分を改めて教えられたような気分で思わず顔を赤らめた。
まだまだ頼りない英人である。
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水谷さんお久しぶりです。
事務所の奥で密かに隠れているかわいい仔猫は元気ですか。
え?隠してない?
あーそー、まぁいいけど・・・
勝手な想像ですけど、その仔猫ちゃんは犯罪といっていいくらいに若いオス猫じゃないですか。
えーまーどうでもいいんですけどね。
事務所の奥で密かに隠れているかわいい仔猫は元気ですか。
え?隠してない?
あーそー、まぁいいけど・・・
勝手な想像ですけど、その仔猫ちゃんは犯罪といっていいくらいに若いオス猫じゃないですか。
えーまーどうでもいいんですけどね。
甲斐様
こんにちは。ちょうどご一緒できた…ようです。
> 水谷さんお久しぶりです。
> 事務所の奥で密かに隠れているかわいい仔猫は元気ですか。
> え?隠してない?
ホワイトデー企画っていうことでいっぱい出してみました。
ぜーったいに水谷オーナーは机の下に仔猫を隠していそうですよね。
それも2、3匹。
日野も高校を卒業してすぐにこのお店で働きだしていますし…(早8年。いや、フツーに働いていますけど)
> 勝手な想像ですけど、その仔猫ちゃんは犯罪といっていいくらいに若いオス猫じゃないですか。
> えーまーどうでもいいんですけどね。
ふふっ♪
(どーでもよくなくなっていると見た!甲斐様の頭の中)
水谷オーナー、若い子大好きっぽいですね。
自分の年はとっているんだけど、付き合う子はいつも同じ年…みたいな雰囲気です。
この人も振り返ったらボロボロとお話が出てきそうです。
コメントありがとうございました。
こんにちは。ちょうどご一緒できた…ようです。
> 水谷さんお久しぶりです。
> 事務所の奥で密かに隠れているかわいい仔猫は元気ですか。
> え?隠してない?
ホワイトデー企画っていうことでいっぱい出してみました。
ぜーったいに水谷オーナーは机の下に仔猫を隠していそうですよね。
それも2、3匹。
日野も高校を卒業してすぐにこのお店で働きだしていますし…(早8年。いや、フツーに働いていますけど)
> 勝手な想像ですけど、その仔猫ちゃんは犯罪といっていいくらいに若いオス猫じゃないですか。
> えーまーどうでもいいんですけどね。
ふふっ♪
(どーでもよくなくなっていると見た!甲斐様の頭の中)
水谷オーナー、若い子大好きっぽいですね。
自分の年はとっているんだけど、付き合う子はいつも同じ年…みたいな雰囲気です。
この人も振り返ったらボロボロとお話が出てきそうです。
コメントありがとうございました。
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