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BLの丘
【ホワイトデー企画】:Studio 2
2010-03-08-Mon  CATEGORY: コラボレーション
妄想スパイラル様》より結城さんと薫君が遊びに来てくださったホワイトデー企画です。
結城さんと薫君のお話が読みたい方はどうぞ上をクリック♪



薫は『榛名』という名前を強みにしたのか、『直帰』という手に出た。
結城には正直に事情を説明したようだったが…。
タワーマンションの最上階まで行く間に、何度感嘆の息をついていたのだろうか。
玄関を開けるなり、またもや絶句された。確かに広いとは思う。
英人自身、今まで住んでいたボロアパートから比べれば玄関だけで居間の空間があるのではないかと思えるくらいだ。
賃貸物件をいっぱい見ている薫でも驚くくらいなのだから、この居住スペースは一般人の常識を越えるのだろう…。
(かなり贅沢な人間の)単身者用に作られた間取りは一つの空間がとてつもなく大きい。
リビングに入るなり、また薫の目が開いた。置いてある家具が輸入物の大型のものばかりなのに、無駄にあまるスペースはより広さを感じさせる。

部屋に驚いているのだとばかり思っていたら、薫の視線はリビングの正面に飾られたパネルを感慨深げに見つめていた。
英人はすでに慣れてしまっていたからあまり気にならなかったが、何をするよりも真っ先に飛び込んでくる英人と千城を映した写真は唯一部屋の壁に飾られているものだった。
英人が勤めるオフィスで共に働くカメラマンの塚越が必要以上に引き伸ばしたせいで、映画館に飾られるポスターよりももっと大きく、脚立を使ったって英人一人の力では外すことなどできなかった。
普通の家であれば飾る場所に困るくらいのものだ。
相手の胸へと飛び込みそうな恋人たちが見つめ合う、カメラを全く意識していない自然な雰囲気のもので、モノクロに仕上げられたことといい映画か何かのラブシーンのようだった。
英人は自分たちというよりも一つの作品として見ることが多くなっていたが、改めてまじまじと見つめられては恥ずかしいだけだ。
「すっご…。え、これって何かのモデルとかしたの?…なんていうか…惹きこまれる。二人とも見栄えがいいから見応えがあるっていうか…。すっごくいいっ」
薫は弾けるような笑顔で褒めてくれたが英人は顔を赤くして、「もう、いいよ。ごはんにしよっ」とダイニングに連れて行きたかった。
「ちょっと待ってよ。もう少し堪能させて。…あー、いいなー、俺も信哉さんとこういうの撮れるかなぁ。でも信哉さんはともかく、俺はなぁ…。英人みたいにこんなに美人でもないし…」
薫は自分たちを重ねるようにパネルに釘付けだったが自分を謙遜しぶつぶつと言い出した。

それを聞きながらそうだろうかと英人は首を傾げた。
結城に見つめられて愛されていることを実感する薫はとても愛らしい笑顔を浮かべる。
普段は行動力もあり活発で、突拍子の無いことなどを思い浮かべたりと子供に似た雰囲気をもっているから、全体的に可愛らしいという感じを漂わせているが、そこに彼の魅力と言っていい澄んだ瞳がある。
結城が12歳も年上でそれも影響しているのだろうか。
見た目がどうこうというだけでなく、人間が持つ素というものはその人間にしかない味だ。
雰囲気を少し変えただけでがらりと印象が変わる世界を英人はずっと見てきている。
妄想の世界から現実の世界に戻って来たような薫は、それでもうっとりと視線を送り続けていた。
『憧れ』があるのだろうと英人は思った。

「薫だって充分可愛いと思うけど」
「やめてよっ。英人にそういうこと言われても比べられているようにしかとれない」
「なんで?結城さんだってそう言わない?」
「う…っ、い、言われてるかもしれないけど…」
薫が呟く言葉を否定してやりたかったというのもあったが、少しつついてみれば思い出したように赤くなる。こんなところはやっぱり可愛いと思う。

結局ごはんは後回しにされ、この時の撮影会がどうだったとか、薫と結城の結婚式の写真を今度見せてとか、その場でしばらく話しこんでしまった。
英人の脳裏をふと過るものがあった。
塚越の腕なら薫の魅力というものを最大限に引き出してくれるのではないだろうか。
ホワイトデーに何かをしたいと言っていた薫だからそんなのもありかもしれない。
だけどスタジオや塚越のスケジュールも確認できない今、迂闊な事を口にするのは躊躇われた。
期待を持たせて『ダメでした』なんて可哀想だ。
明日聞いてみて薫に提案してみるのもいいかもしれない。
英人は改めてパネルに視線を戻しとても自分たちとは思えない被写体を見つめて、薫たちもいいものが撮れたらいいなと想像していた。

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コメント

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ゴージャスなタワーマンションの愛の巣へ・・・。
コメント甲斐 | URL | 2010-03-08-Mon 13:05 [編集]
ああ、やっぱり、あの写真に薫くんも釘付けでしたか。
それぞれのプロの方達の腕前は当然のこととして、そりょあもう幸せいっぱいの麗しい美男カップルですもの、見たらきっと口もきけずに立ち尽くすことになるのでしょうね。

Re: ゴージャスなタワーマンションの愛の巣へ・・・。
コメントきえ | URL | 2010-03-08-Mon 13:58 [編集]
甲斐様
こんにちは。ちょうどかぶったようです。良かった~♪

> ああ、やっぱり、あの写真に薫くんも釘付けでしたか。
> それぞれのプロの方達の腕前は当然のこととして、そりょあもう幸せいっぱいの麗しい美男カップルですもの、見たらきっと口もきけずに立ち尽くすことになるのでしょうね。

薫君を遊びに行かせてくださいましたSKY様には以前からパネルを見せたいと私から我が儘を言っていたんです。
ようやく叶った私の夢でした。(そんなに自分の息子を自慢したいのか?!的な親心ですが…)
英人も生まれは良家の子なので、そしてママも相当な美人さんでそれを引き継いでいます。
千城もまぁ、ええ、それなりに…。(千城ママが超華麗な人な設定だけに…)

いえいえ、こんなふうに薫君を落ち込ませる意味はないんですよっ!
(うちは表面、あっちは内面みたいな…)
いつか集合写真(なんのだ?!)を撮りにこき使われる塚越カメラマンかと…
周りにはCPがうじゃうじゃしはじめましたから…。
結城さんと薫君はともかく、合同結婚式とかもいいなぁと思う私です。
でも唯一もめるCPがすぐそこに…(そりゃ、リバOKなあの方たちでしょう、『どっち?』で喧嘩になる、しばられる…)
コメントありがとうございました。
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