懲りずにまたえっちです。でも今日はRつきませんが。
改装されたばかりの店内にはオーク材の匂いが漂っていた。
全体の雰囲気は新しくても趣が出るようにと凝らしてみた。
カウンターの席数を多く取り、テーブル席は向かい合わせで4名が座れるものが5席だけと少ない。
決して広いと言えるほどのものではなかったが、日野尚治(ひのしょうじ)一人で切り盛りをするとすればこれくらいでいいと思えた。
間隔を空けて配置したテーブル席の壁には榛名英人(はるなひでと)の描いたリトグラフが飾られている。
一番奥の壁には大きな風景画があったが、これも英人の作品だった。
極力明りは落とした。絵画を照らすぼんやりとしたスポットライトとカウンター上のダウンライトのみという、しっとりとしたムードが包む。
このバー『想―sou―』を開店させるための出資はもちろん榛名千城(ちしろ)だったし、経営管理は神戸長流(かんべたける)が行っていた。
神戸は日野には経営に関することは何一つ教えていない。
好きに営業をすればいいと思っている。自由なほうがいい状態で接客ができると神戸は考えていたから、あえて日野に教える気はなかった。
揃えたいと思うものは食器でも食品でも何でも手に入れた。
ひっそりと建つビルの3階にあるから余計に分かりづらいのか、客足はまだ多くはなかったが、隠れ家的な雰囲気が受け順調に売り上げを伸ばしてきている。
一か月も経つと馴染みの客の顔も増えた。
とはいえ、大半は以前日野が勤めていたバーからの繋がりだったが…。
絵画が鑑賞できるバーとしても口コミで広まっているようだった。
「ショウ、もう終わる?」
夜の10時半を回ったところで、閉店作業も終了を迎える。
ゴミ出しに出ていた神戸は店内に戻ると、カウンターの中にいた日野へと近付いた。
「絶対に早すぎだって。こんな閉店時間…」
「ショウが慣れるまではいいじゃない。それに今日はちょうどお客さんも切れたし」
嬉々とする神戸とは対照的に、不満を表情に出した日野から文句の声が上がる。
閉店時間を決めたのは神戸と千城だった。
神戸にすれば日野を遅くまで働かせたくないというのがあったし、千城は時間を早めることで英人の外出時間に制限をつけたがった。
もちろん日野は納得していなかったが、神戸はたいして取り合わなかった。
夕方5時から夜の11時までの営業時間と謳ってはいるものの、実際には神戸が客に「10時閉店」と言いふらしたためにその時間までオープンしていたことは稀だ。
「ランチタイムとか営業しようかなー」
日野は良く、「これじゃあ、営業っていうより、趣味だよ」と漏らしていたが、何も最初からガツガツ働く必要はないと神戸は嫌がった。
それこそ、これまでの時を埋めるかのようなのんびりとした時間が欲しかった。
「ランチ?」
突然口にされた提案は神戸にとって予想外のことだった。
日野はこれまでの間にすでに幾つかの、食品を扱うための資格試験まで取得している。
それらの腕を有効活用させるのもいいかもしれないと神戸の頭が一瞬回転したが、今考えることではないとすぐに振り切った。
神戸は日野の肩に自分の腕を乗せて首に回した。そしてちゅっと軽く唇を合わせる。
この一週間、神戸も働き詰めで夜の情事のほうはすっかりご無沙汰だった。
急かしたような神戸の行動に日野からフッと笑みがこぼれる。
「なに?ここでヤりたいの?」
最近、日野も物事を単刀直入に言うようになったな…と思う。
いや、もともと物怖じするわけでもなく、はっきりとした性格だったから違和感などがあるわけではないのだが、『年上』や『客』という関係から始まっただけにどこかに遠慮があった。
それが今では見事に剥がれおちている。
変わったシチュエーションもたまにはいいかも…と神戸の脳裏を過ったのを日野は見逃さなかったようだ。
神戸の腰に巻き付いた日野の腕に力が籠り、再び合わせられた唇の間から自分自身を絡め取っていくような日野の舌が口腔を攻めてきた。
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すぐに終わりたいSSです、…が…(不明)。
改装されたばかりの店内にはオーク材の匂いが漂っていた。
全体の雰囲気は新しくても趣が出るようにと凝らしてみた。
カウンターの席数を多く取り、テーブル席は向かい合わせで4名が座れるものが5席だけと少ない。
決して広いと言えるほどのものではなかったが、日野尚治(ひのしょうじ)一人で切り盛りをするとすればこれくらいでいいと思えた。
間隔を空けて配置したテーブル席の壁には榛名英人(はるなひでと)の描いたリトグラフが飾られている。
一番奥の壁には大きな風景画があったが、これも英人の作品だった。
極力明りは落とした。絵画を照らすぼんやりとしたスポットライトとカウンター上のダウンライトのみという、しっとりとしたムードが包む。
このバー『想―sou―』を開店させるための出資はもちろん榛名千城(ちしろ)だったし、経営管理は神戸長流(かんべたける)が行っていた。
神戸は日野には経営に関することは何一つ教えていない。
好きに営業をすればいいと思っている。自由なほうがいい状態で接客ができると神戸は考えていたから、あえて日野に教える気はなかった。
揃えたいと思うものは食器でも食品でも何でも手に入れた。
ひっそりと建つビルの3階にあるから余計に分かりづらいのか、客足はまだ多くはなかったが、隠れ家的な雰囲気が受け順調に売り上げを伸ばしてきている。
一か月も経つと馴染みの客の顔も増えた。
とはいえ、大半は以前日野が勤めていたバーからの繋がりだったが…。
絵画が鑑賞できるバーとしても口コミで広まっているようだった。
「ショウ、もう終わる?」
夜の10時半を回ったところで、閉店作業も終了を迎える。
ゴミ出しに出ていた神戸は店内に戻ると、カウンターの中にいた日野へと近付いた。
「絶対に早すぎだって。こんな閉店時間…」
「ショウが慣れるまではいいじゃない。それに今日はちょうどお客さんも切れたし」
嬉々とする神戸とは対照的に、不満を表情に出した日野から文句の声が上がる。
閉店時間を決めたのは神戸と千城だった。
神戸にすれば日野を遅くまで働かせたくないというのがあったし、千城は時間を早めることで英人の外出時間に制限をつけたがった。
もちろん日野は納得していなかったが、神戸はたいして取り合わなかった。
夕方5時から夜の11時までの営業時間と謳ってはいるものの、実際には神戸が客に「10時閉店」と言いふらしたためにその時間までオープンしていたことは稀だ。
「ランチタイムとか営業しようかなー」
日野は良く、「これじゃあ、営業っていうより、趣味だよ」と漏らしていたが、何も最初からガツガツ働く必要はないと神戸は嫌がった。
それこそ、これまでの時を埋めるかのようなのんびりとした時間が欲しかった。
「ランチ?」
突然口にされた提案は神戸にとって予想外のことだった。
日野はこれまでの間にすでに幾つかの、食品を扱うための資格試験まで取得している。
それらの腕を有効活用させるのもいいかもしれないと神戸の頭が一瞬回転したが、今考えることではないとすぐに振り切った。
神戸は日野の肩に自分の腕を乗せて首に回した。そしてちゅっと軽く唇を合わせる。
この一週間、神戸も働き詰めで夜の情事のほうはすっかりご無沙汰だった。
急かしたような神戸の行動に日野からフッと笑みがこぼれる。
「なに?ここでヤりたいの?」
最近、日野も物事を単刀直入に言うようになったな…と思う。
いや、もともと物怖じするわけでもなく、はっきりとした性格だったから違和感などがあるわけではないのだが、『年上』や『客』という関係から始まっただけにどこかに遠慮があった。
それが今では見事に剥がれおちている。
変わったシチュエーションもたまにはいいかも…と神戸の脳裏を過ったのを日野は見逃さなかったようだ。
神戸の腰に巻き付いた日野の腕に力が籠り、再び合わせられた唇の間から自分自身を絡め取っていくような日野の舌が口腔を攻めてきた。
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すぐに終わりたいSSです、…が…(不明)。
開店したんですね。
待ってましたよ。
いい感じじゃないですか、隠れ家的なお店、いいなー。
え?でも早いですよね、10時って、中高生じゃないんだから!!
まあ、保護者(?)二人がそういった思惑があるなら仕方ないですね。
じゃあ、なるべく早い時間に行くことにしますよ。
人名つけるの苦手っておっしゃってましたが、お店の名前いい名前です。
美味しいお酒と芸術に触れて・・・
待ってましたよ。
いい感じじゃないですか、隠れ家的なお店、いいなー。
え?でも早いですよね、10時って、中高生じゃないんだから!!
まあ、保護者(?)二人がそういった思惑があるなら仕方ないですね。
じゃあ、なるべく早い時間に行くことにしますよ。
人名つけるの苦手っておっしゃってましたが、お店の名前いい名前です。
美味しいお酒と芸術に触れて・・・
甲斐様
連コメ嬉しいです。
> 開店したんですね。
> 待ってましたよ。
やっと開店しました。
でも今回のストーリーは相変わらず(?)こいつららしい話です。
> え?でも早いですよね、10時って、中高生じゃないんだから!!
早すぎですよ…。
こんなんじゃ客もこなくなっちゃうゾ。
甲斐様、ご迷惑をおかけしますが、しばらくは早い時間に行ってやってください。
(あ、またカウンター下の特等席、空けておきますから)
> 人名つけるの苦手っておっしゃってましたが、お店の名前いい名前です。
> 美味しいお酒と芸術に触れて・・・
名付けは本当に苦労します。
今回も色々な国の言葉とかを探しましたが、たどり着いたのはこんなところ。
最初、『ショウ』をそのままとって『show』にひっかけて…『見せる』意味をとろうかな~と思ったんですけど、やっぱりしっくりこない。
『h』無しは?(こいつらからこれ取ったら何も残らないじゃん)とか一人自問自答しながら今後に期待を込めて(?)こうなりました。
で、漢字もあてはめてみた…。ワケです。
色々な想いに触れていただきたいですね~。
コメントありがとうございました。
連コメ嬉しいです。
> 開店したんですね。
> 待ってましたよ。
やっと開店しました。
でも今回のストーリーは相変わらず(?)こいつららしい話です。
> え?でも早いですよね、10時って、中高生じゃないんだから!!
早すぎですよ…。
こんなんじゃ客もこなくなっちゃうゾ。
甲斐様、ご迷惑をおかけしますが、しばらくは早い時間に行ってやってください。
(あ、またカウンター下の特等席、空けておきますから)
> 人名つけるの苦手っておっしゃってましたが、お店の名前いい名前です。
> 美味しいお酒と芸術に触れて・・・
名付けは本当に苦労します。
今回も色々な国の言葉とかを探しましたが、たどり着いたのはこんなところ。
最初、『ショウ』をそのままとって『show』にひっかけて…『見せる』意味をとろうかな~と思ったんですけど、やっぱりしっくりこない。
『h』無しは?(こいつらからこれ取ったら何も残らないじゃん)とか一人自問自答しながら今後に期待を込めて(?)こうなりました。
で、漢字もあてはめてみた…。ワケです。
色々な想いに触れていただきたいですね~。
コメントありがとうございました。
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