新しい従業員が入ったというのに、未だに野崎美琴(のざきみこと)は水谷俊一(みずたにしゅんいち)の事務所通いをやめられずにいた。
通いつめて3カ月。暦はGWを越えた。(つっこまないで~っ!!季節を全く追っていません。あれが何カ月後?、これも数カ月後?…とか計算しないでください。成り行きです。本当にごめんなさい。書きたいときに書きたいことを適当にかいています。年齢だけは一応追いました。たぶんきっと今現在、これくらい。(超いい加減) 英人・日野は26歳(同い年)、千城・神戸は32歳(同級生)、野崎37歳。その他は適当に判断してください、冷汗)
資料のほぼ全ては誰が見ても咄嗟に判断できるくらいの整理のされ方をしている。
水谷が長年に及び弄くりまわした書類は無駄なものを省かれ、かつての3分の2ほどのスペースで事足りるくらいに整頓されていた。
水谷にいわせれば、ここまで深入りされた野崎に抜けられることのほうが痛手だ。
「お話が違うように思えるのですが」
「従業員育成がどれほど大変か美琴だって知っているだろう?宮原君が育つまで、俺だって店に顔を出していなきゃならないだろうが」
まだ仕えてほしいという態度に思わず野崎の愚痴がこぼれるが、水谷はさらりとかわしていた。
その割にはウィスキーグラスを持って事務所に下がっている人間に何と返したらよいのやら…。
椅子に座り、今日の処理を行う野崎の隣で、デスクに腰かけた水谷がグラスを傾ける。
税理士だったという宮原瑛佑(みやはら えいすけ)が事務所を辞め、このバーで勤め始めて1カ月ほどたつ。
異色の分野へと転職したと野崎は感じていながら、別段人の人生に深入りする気もなく、なにやら事情でもあったのだろうと、宮原はもちろん水谷にも聞く気はなかった。
履歴書の写真だけは見せてもらったが、夜の商売に慣れるのかと思うくらい黒髪を短く切り落とした颯爽とした人物だったが、実際あってみれば、何か弾けたのかと思うくらいに髪は茶色く染められ、耳には幾つもピアスが施されていたりする。
正直、履歴書の年齢(33歳)よりも数歳若く見えた。…というより、履歴書の写真が実年齢よりも上に見えた…というほうだろうか。
どうでもいいとはいえ、自分が関わる状況となればまた話も変わってくる。
全て…とはいわなくても、宮原の実力を垣間見れば、水谷のフォローも出来そうな予感がする。
あえて私財を晒す気はないといわれればそれまでだが、簡単に野崎に任せたことを思えば宮原にも託せる部分があるのではないか…。
もっとも申告する側の人間と運用する側の人間では考えは異なるものなのだが…。
「飲まないのか?」
「運転があるんです」
「泊まらないっていうことか…」
「営業はどうされたんですか?さっさと一人前のバーテンに育ててくださいっ」
暗に誘われる夜の情事に溜め息を交えながら、野崎はぴしゃりと水谷を押さえた。
身体を繋げて寝たのは一度だけだった。
今でも振り返れば不覚の出来事といってよかったが、溜め込むだけの野崎を知ってか、我を忘れさせてくれた水谷の思いやりに感謝するところもある。
『榛名』という名に縛られ、完璧を装った自身を一瞬でも忘れさせてくれた。
気付けばそうそうやたらな人間に体など預けられない状況になっている。
全ては『過ち』となる今…。
スキャンダルの一つが足を引っ張る。
引きずることもない後腐れのない情事はほんのわずかだけ野崎に躊躇いを与えたものの、全く変わりばえのない水谷の態度に全てを夢の中へと葬ることができた。
間違いは、繰り返そうと思えば何度だって繰り返せる。
だが『間違い』ではなく『癒し』を求めた『大人の時間』。
深入りすることが危険だと感じるから野崎はそれ以降をきっぱりと断り続けていた。
水谷も無茶はしない。
にほんブログ村
懲りもせずまた書いた…。
連日更新はありません。書きたくて書いた…というだけです。気まぐれでupしていきます。どうかお許しください。
通いつめて3カ月。暦はGWを越えた。(つっこまないで~っ!!季節を全く追っていません。あれが何カ月後?、これも数カ月後?…とか計算しないでください。成り行きです。本当にごめんなさい。書きたいときに書きたいことを適当にかいています。年齢だけは一応追いました。たぶんきっと今現在、これくらい。(超いい加減) 英人・日野は26歳(同い年)、千城・神戸は32歳(同級生)、野崎37歳。その他は適当に判断してください、冷汗)
資料のほぼ全ては誰が見ても咄嗟に判断できるくらいの整理のされ方をしている。
水谷が長年に及び弄くりまわした書類は無駄なものを省かれ、かつての3分の2ほどのスペースで事足りるくらいに整頓されていた。
水谷にいわせれば、ここまで深入りされた野崎に抜けられることのほうが痛手だ。
「お話が違うように思えるのですが」
「従業員育成がどれほど大変か美琴だって知っているだろう?宮原君が育つまで、俺だって店に顔を出していなきゃならないだろうが」
まだ仕えてほしいという態度に思わず野崎の愚痴がこぼれるが、水谷はさらりとかわしていた。
その割にはウィスキーグラスを持って事務所に下がっている人間に何と返したらよいのやら…。
椅子に座り、今日の処理を行う野崎の隣で、デスクに腰かけた水谷がグラスを傾ける。
税理士だったという宮原瑛佑(みやはら えいすけ)が事務所を辞め、このバーで勤め始めて1カ月ほどたつ。
異色の分野へと転職したと野崎は感じていながら、別段人の人生に深入りする気もなく、なにやら事情でもあったのだろうと、宮原はもちろん水谷にも聞く気はなかった。
履歴書の写真だけは見せてもらったが、夜の商売に慣れるのかと思うくらい黒髪を短く切り落とした颯爽とした人物だったが、実際あってみれば、何か弾けたのかと思うくらいに髪は茶色く染められ、耳には幾つもピアスが施されていたりする。
正直、履歴書の年齢(33歳)よりも数歳若く見えた。…というより、履歴書の写真が実年齢よりも上に見えた…というほうだろうか。
どうでもいいとはいえ、自分が関わる状況となればまた話も変わってくる。
全て…とはいわなくても、宮原の実力を垣間見れば、水谷のフォローも出来そうな予感がする。
あえて私財を晒す気はないといわれればそれまでだが、簡単に野崎に任せたことを思えば宮原にも託せる部分があるのではないか…。
もっとも申告する側の人間と運用する側の人間では考えは異なるものなのだが…。
「飲まないのか?」
「運転があるんです」
「泊まらないっていうことか…」
「営業はどうされたんですか?さっさと一人前のバーテンに育ててくださいっ」
暗に誘われる夜の情事に溜め息を交えながら、野崎はぴしゃりと水谷を押さえた。
身体を繋げて寝たのは一度だけだった。
今でも振り返れば不覚の出来事といってよかったが、溜め込むだけの野崎を知ってか、我を忘れさせてくれた水谷の思いやりに感謝するところもある。
『榛名』という名に縛られ、完璧を装った自身を一瞬でも忘れさせてくれた。
気付けばそうそうやたらな人間に体など預けられない状況になっている。
全ては『過ち』となる今…。
スキャンダルの一つが足を引っ張る。
引きずることもない後腐れのない情事はほんのわずかだけ野崎に躊躇いを与えたものの、全く変わりばえのない水谷の態度に全てを夢の中へと葬ることができた。
間違いは、繰り返そうと思えば何度だって繰り返せる。
だが『間違い』ではなく『癒し』を求めた『大人の時間』。
深入りすることが危険だと感じるから野崎はそれ以降をきっぱりと断り続けていた。
水谷も無茶はしない。
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懲りもせずまた書いた…。
連日更新はありません。書きたくて書いた…というだけです。気まぐれでupしていきます。どうかお許しください。
- 関連記事
あれから大人のお付き合いがあったのかなとか思ってましたが、案外そうでもなかったんですね。
いや、それが大人ってモンなんでしょうか。
元税理士の宮原さんもまた、面白そうな事情のある方のようでおいしそうです。
あんなオーナーのお店ですから、初物喰いだかゲテモノ喰いだかでいただいちゃった挙句人生狂わされたかわいそうな人その何百番目かの人かと思っちゃいましたよ。
いや、それが大人ってモンなんでしょうか。
元税理士の宮原さんもまた、面白そうな事情のある方のようでおいしそうです。
あんなオーナーのお店ですから、初物喰いだかゲテモノ喰いだかでいただいちゃった挙句人生狂わされたかわいそうな人その何百番目かの人かと思っちゃいましたよ。
甲斐様
こちらにもありがとうございます。
> あれから大人のお付き合いがあったのかなとか思ってましたが、案外そうでもなかったんですね。
> いや、それが大人ってモンなんでしょうか。
はい。アレ以降はいたってシンプル(?)に過ごした二人でした。
ビジネス上のお付き合いと割り切っております。
> 元税理士の宮原さんもまた、面白そうな事情のある方のようでおいしそうです。
> あんなオーナーのお店ですから、初物喰いだかゲテモノ喰いだかでいただいちゃった挙句人生狂わされたかわいそうな人その何百番目かの人かと思っちゃいましたよ。
水谷サンってば、本当に雑食なので…。
宮原を『完全なタチ』って以前おっしゃっていましたけど、いつか、いずれ、喰いそうで怖いです。
人生狂わされなきゃいいですね。
(しかも何百番目?!…すごい数だ…。365日(あ、360日くらい…)×年の数?!(あ、あそこがたつようなってから…)さすが水谷サン…)
で、今回のみことちゃんはどんなふうに動くんでしょうか…。
コメントありがとうございました。
こちらにもありがとうございます。
> あれから大人のお付き合いがあったのかなとか思ってましたが、案外そうでもなかったんですね。
> いや、それが大人ってモンなんでしょうか。
はい。アレ以降はいたってシンプル(?)に過ごした二人でした。
ビジネス上のお付き合いと割り切っております。
> 元税理士の宮原さんもまた、面白そうな事情のある方のようでおいしそうです。
> あんなオーナーのお店ですから、初物喰いだかゲテモノ喰いだかでいただいちゃった挙句人生狂わされたかわいそうな人その何百番目かの人かと思っちゃいましたよ。
水谷サンってば、本当に雑食なので…。
宮原を『完全なタチ』って以前おっしゃっていましたけど、いつか、いずれ、喰いそうで怖いです。
人生狂わされなきゃいいですね。
(しかも何百番目?!…すごい数だ…。365日(あ、360日くらい…)×年の数?!(あ、あそこがたつようなってから…)さすが水谷サン…)
で、今回のみことちゃんはどんなふうに動くんでしょうか…。
コメントありがとうございました。
きえ | URL | 2010-04-08-Thu 09:14 [編集]
S様
またお越しいただきありがとうございますぅ。
>こんばんは~☆彡またまた新しいお話。野崎と水谷も落ち着くのかしら?たまには英人くんも出して~♪なんてダメですか?
英人にラブコール、ありがとうごうございます。
繋がりがあるSSですので、たぶんそのうちに脇役で出てくるかと…。(脇役じゃだめ??)
野崎と水谷、ちょっとナゾです。
妙な組み合わせが流行っている(いゃ、はやってないから…)我が家ですが、どうなるのか私も不思議なところでして…(なんつー、レス…)
不定期更新になりますけど、お付き合いくだされば…と思います。
コメントありがとうございました。
またお越しいただきありがとうございますぅ。
>こんばんは~☆彡またまた新しいお話。野崎と水谷も落ち着くのかしら?たまには英人くんも出して~♪なんてダメですか?
英人にラブコール、ありがとうごうございます。
繋がりがあるSSですので、たぶんそのうちに脇役で出てくるかと…。(脇役じゃだめ??)
野崎と水谷、ちょっとナゾです。
妙な組み合わせが流行っている(いゃ、はやってないから…)我が家ですが、どうなるのか私も不思議なところでして…(なんつー、レス…)
不定期更新になりますけど、お付き合いくだされば…と思います。
コメントありがとうございました。
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