「オーナーを悪くいうつもりはないけど、あの人に何を求めたって無駄だって、美琴さんなら分かっているはずだよね?」
「だからといって貴方という考えも…」
「何で?俺、何回も美琴さんを救ってやりたいって言った。無理している気はないんだろうけど、見てて辛いよ。頼りたくても頼れる相手がいないってさ…。最初こそ、同情とかそんな意味だったかもしれないけど、今は違うから。真面目に考えてよ、俺のこと」
野崎は答えに窮した。
ただの同情で済ませてもらった方がどれだけ気が楽だったろうか。
「申し訳ありませんが…」
「ほんと、強情だよね。誰にも心なんて預けたことがないから脅えてんの?崩れていくわけじゃないよ。…渚さんとか海の話をした後でこんなことを言うのは…って思うけど、あの二人は俺にとって『過去』でしかない。あの二人がいたから俺は人を思う気持ちを持てた。今、美琴さんを気遣ってやれる気持ちも、ね」
ズキンと何かが心臓に刺さってくる気分だ…。
感情に流され、溺れるような自分は見たくない。
それが意味のないプライドだと分かってはいても、心のどこかで縋れるなにかを追い求めていたのだと漠然と思い知らされる。
水谷に求めた『癒し』が、全ての結果だった。
自ら望んでいるとは思わなくても、宮原の言うように、身体の一部は”あの時”を求めていたのだろう。
そして通い続けた日々。
野崎は小さく何度も首を振った。
認めたくはない…。
『強情』だと言われても、プライドの塊でありたかったのだ。
それをこの男は根底から崩そうとする。
そして溺れたい自分がいるのを知りたくなかった。
「何が不安?何が不満?自分自身を知ってやりなよ。こんなに窮屈な生活、美琴さん自身が辛くなるだけだって」
「もうそれ以上は…」
言わないでくれと頼んだら黙るのだろうか。納得する自分がいるのだろうか…。
「分かったよ…。でも事務所通いはマジでやめて。美琴さんが無意識にオーナーに縋っている姿、見たくないから」
ただの嫉妬だと言わんばかりに間合いを詰めた宮原の顔があった。
こんな真昼間から何をしようというのか…。
咄嗟に身構えた野崎に、フッと笑って見せる。
「すっげー、慣れていそうなのにスレてなんかいないんだよな…。無垢な子供みたい。諦めきって身体許して経験値も高そうなのに」
ひどい言われ方であっても間違ってはいなかった。
状況に応じ身体を許した人間は何人いたのだろうか…。
もちろん合意の上であったのだが…。
掠めるようなキスをされる。
たった一瞬の出来事に、目を閉じることすら忘れた。
「もう一回告白する。付き合ってよ、俺と」
誰かを守ろうとする所作に野崎の心が揺らめいた。
…この男はキケンだ…。
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「だからといって貴方という考えも…」
「何で?俺、何回も美琴さんを救ってやりたいって言った。無理している気はないんだろうけど、見てて辛いよ。頼りたくても頼れる相手がいないってさ…。最初こそ、同情とかそんな意味だったかもしれないけど、今は違うから。真面目に考えてよ、俺のこと」
野崎は答えに窮した。
ただの同情で済ませてもらった方がどれだけ気が楽だったろうか。
「申し訳ありませんが…」
「ほんと、強情だよね。誰にも心なんて預けたことがないから脅えてんの?崩れていくわけじゃないよ。…渚さんとか海の話をした後でこんなことを言うのは…って思うけど、あの二人は俺にとって『過去』でしかない。あの二人がいたから俺は人を思う気持ちを持てた。今、美琴さんを気遣ってやれる気持ちも、ね」
ズキンと何かが心臓に刺さってくる気分だ…。
感情に流され、溺れるような自分は見たくない。
それが意味のないプライドだと分かってはいても、心のどこかで縋れるなにかを追い求めていたのだと漠然と思い知らされる。
水谷に求めた『癒し』が、全ての結果だった。
自ら望んでいるとは思わなくても、宮原の言うように、身体の一部は”あの時”を求めていたのだろう。
そして通い続けた日々。
野崎は小さく何度も首を振った。
認めたくはない…。
『強情』だと言われても、プライドの塊でありたかったのだ。
それをこの男は根底から崩そうとする。
そして溺れたい自分がいるのを知りたくなかった。
「何が不安?何が不満?自分自身を知ってやりなよ。こんなに窮屈な生活、美琴さん自身が辛くなるだけだって」
「もうそれ以上は…」
言わないでくれと頼んだら黙るのだろうか。納得する自分がいるのだろうか…。
「分かったよ…。でも事務所通いはマジでやめて。美琴さんが無意識にオーナーに縋っている姿、見たくないから」
ただの嫉妬だと言わんばかりに間合いを詰めた宮原の顔があった。
こんな真昼間から何をしようというのか…。
咄嗟に身構えた野崎に、フッと笑って見せる。
「すっげー、慣れていそうなのにスレてなんかいないんだよな…。無垢な子供みたい。諦めきって身体許して経験値も高そうなのに」
ひどい言われ方であっても間違ってはいなかった。
状況に応じ身体を許した人間は何人いたのだろうか…。
もちろん合意の上であったのだが…。
掠めるようなキスをされる。
たった一瞬の出来事に、目を閉じることすら忘れた。
「もう一回告白する。付き合ってよ、俺と」
誰かを守ろうとする所作に野崎の心が揺らめいた。
…この男はキケンだ…。
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