以前の顧客といっていい高柳を、一葉も全く知らないわけではなかった。
同じ年だったし、きさくな性格で一葉をかまってくるところもある。
一葉が世間知らずで単純な性格だからからかいがいがあるといったところだろうか…。
那智を真ん中に、両脇に一葉と高柳が座った。
こんな状況下で自分の恋愛相談などしたくなかった。
しかし、進められるがまま飲んでしまったアルコールに舌が軽くなる。
いらぬことを口走って慌てて噤んでも、促されるように高柳からあれこれ質問されて、結局口を割った。
安住が聞いたら卒倒されるかもしれない…。
「だって、息とめられて、くるしくってさぁ…」
キスの仕方すら分からない一葉に、吹きだしそうになっていたのは高柳だったし、目をむいたのは那智だった。
酔いとは恐ろしい。
こんな会話が平然とできるようになった自分に多少驚きつつ、二人の反応に、やっぱり自分の知識の無さが安住を呆れさせているのだ…と感じた。
「一葉、あのさ……、鼻呼吸って知ってる?」
ちいさーく、耳元で囁かれた声に、意味が分からないとキョトンとすれば、盛大に笑っている高柳がいて、那智にどつかれていた。
涙を浮かべながら笑い声を殺している。
「っていうか、那智、無理だって。こういうのは頭で考えたって即実行ってできるものじゃないし、やがて慣れるようになるから。安住サンに任せてやれよ。俺としては、那智以外に興味を持ってくれた安住サンをめっちゃ応援しますけど」
「”経験豊富”な方は語ってくれるよねっ!あっそうっ!!”慣れる”んですかっ!?俺も一葉もヒサとは生きてきた世界が違うのっ!!」
笑っていた顔が一気に引き攣ったのは那智の台詞のせいだろうか…。
過去の二人がいかがなものだったのかはなんとなーく知っている一葉でも、痴話げんかの発端にはなりたくない。
「やめてよ、もぉ…」
一葉が情けない声で二人を宥めれば、とりあえずこの場では話題を一葉に戻してきた。
高柳が心配を取り除くように明るい声を出す。
「タイミングとか勢いとか色々あるもんだよ。こちらとしては、完璧にこなせるかどうかなんてどうでもよくて、むしろ何も知らないくらいのほうが嬉しいくらいだけどね」
変な知識を持たれるくらいなら”素”のままでいてくれ、と高柳は呟く。
途端に顔を染めた那智を見れば、彼の手によって改造された那智なのだと一葉でも理解できた。
自分もそうやって安住に教えてもらえるのだろうか…。
期待と不安は交互に一葉を襲う。
「どうしても我慢が出来なくなった時は、考えられる余裕なんて相手にもなくなるから。そこまで焦らしてやるのも一葉くんらしくていいかも」
「ヒサってば絶対に楽しんでいるでしょ?」
「あの安住サンが分別なくなるくらい焦がれるところが見てみたいだけ」
「ヒサは我慢できない派だよね…」
「我慢したから、”あーゆー結果”になったんだろうがっ」
「もうっその話はなしっ(////)」
何やら意味深い会話が隣で繰り広げられている。
一葉はあえて耳を閉じる素振りを見せた。
安住が我慢しているのはさすがの一葉でもなんとなく知っている。
ただ知識もなく、ついて行けない自分にためらいがあるから安住は先に進んでこない。
だから悩んで相談してみれば、『放っておけ』と言われる始末。
酒に酔えば、このままけしかけてやろうかと、大胆な発想が脳裏に色めいていた。
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とうとう50話!!いつ終わるんだろうか…こいつらは…。
そしてあまり嬉しくなさそうな数字の44444キリ番ですけど。
まぁ気が向いたらみてやってください。お答えできるといいです。
同じ年だったし、きさくな性格で一葉をかまってくるところもある。
一葉が世間知らずで単純な性格だからからかいがいがあるといったところだろうか…。
那智を真ん中に、両脇に一葉と高柳が座った。
こんな状況下で自分の恋愛相談などしたくなかった。
しかし、進められるがまま飲んでしまったアルコールに舌が軽くなる。
いらぬことを口走って慌てて噤んでも、促されるように高柳からあれこれ質問されて、結局口を割った。
安住が聞いたら卒倒されるかもしれない…。
「だって、息とめられて、くるしくってさぁ…」
キスの仕方すら分からない一葉に、吹きだしそうになっていたのは高柳だったし、目をむいたのは那智だった。
酔いとは恐ろしい。
こんな会話が平然とできるようになった自分に多少驚きつつ、二人の反応に、やっぱり自分の知識の無さが安住を呆れさせているのだ…と感じた。
「一葉、あのさ……、鼻呼吸って知ってる?」
ちいさーく、耳元で囁かれた声に、意味が分からないとキョトンとすれば、盛大に笑っている高柳がいて、那智にどつかれていた。
涙を浮かべながら笑い声を殺している。
「っていうか、那智、無理だって。こういうのは頭で考えたって即実行ってできるものじゃないし、やがて慣れるようになるから。安住サンに任せてやれよ。俺としては、那智以外に興味を持ってくれた安住サンをめっちゃ応援しますけど」
「”経験豊富”な方は語ってくれるよねっ!あっそうっ!!”慣れる”んですかっ!?俺も一葉もヒサとは生きてきた世界が違うのっ!!」
笑っていた顔が一気に引き攣ったのは那智の台詞のせいだろうか…。
過去の二人がいかがなものだったのかはなんとなーく知っている一葉でも、痴話げんかの発端にはなりたくない。
「やめてよ、もぉ…」
一葉が情けない声で二人を宥めれば、とりあえずこの場では話題を一葉に戻してきた。
高柳が心配を取り除くように明るい声を出す。
「タイミングとか勢いとか色々あるもんだよ。こちらとしては、完璧にこなせるかどうかなんてどうでもよくて、むしろ何も知らないくらいのほうが嬉しいくらいだけどね」
変な知識を持たれるくらいなら”素”のままでいてくれ、と高柳は呟く。
途端に顔を染めた那智を見れば、彼の手によって改造された那智なのだと一葉でも理解できた。
自分もそうやって安住に教えてもらえるのだろうか…。
期待と不安は交互に一葉を襲う。
「どうしても我慢が出来なくなった時は、考えられる余裕なんて相手にもなくなるから。そこまで焦らしてやるのも一葉くんらしくていいかも」
「ヒサってば絶対に楽しんでいるでしょ?」
「あの安住サンが分別なくなるくらい焦がれるところが見てみたいだけ」
「ヒサは我慢できない派だよね…」
「我慢したから、”あーゆー結果”になったんだろうがっ」
「もうっその話はなしっ(////)」
何やら意味深い会話が隣で繰り広げられている。
一葉はあえて耳を閉じる素振りを見せた。
安住が我慢しているのはさすがの一葉でもなんとなく知っている。
ただ知識もなく、ついて行けない自分にためらいがあるから安住は先に進んでこない。
だから悩んで相談してみれば、『放っておけ』と言われる始末。
酒に酔えば、このままけしかけてやろうかと、大胆な発想が脳裏に色めいていた。
にほんブログ村
とうとう50話!!いつ終わるんだろうか…こいつらは…。
そしてあまり嬉しくなさそうな数字の44444キリ番ですけど。
まぁ気が向いたらみてやってください。お答えできるといいです。
K様
こんにちは~。
ご一緒していたみたいですね。
>ナッチとヒサの掛け合いが微笑ましくって、そういえば二人の初めては…とか気になりだして、今一度『策略~』を読み直して来ることにしました。余談で例のお店の二人の会話も聞き 得した気分ですが、『それ』と『あれ』と『これ』が 今ひとつわからない私は 一葉並みか?と頭を抱えてしまいました。
策略~の読み直しは正直、心臓が痛いところであります(冷汗)
なっちとヒサは…襲われていましたね…。
うちの子たちはみんな『とりあえず身体から』奪われていきます。
例のお店の二人の会話に出てくる『それ』『あれ』『これ』はなんでもいいんです。好きな言葉を当てはめてください。
お店の中で交わすご挨拶程度のキスだったり、ベッドの中で吸いつかれるものだったり、人をけしかけるための見世物だったり…。
曖昧なものを書いて悩ませてしまったようでこちらこそすみませんでした。
コメントありがとうございました♪
こんにちは~。
ご一緒していたみたいですね。
>ナッチとヒサの掛け合いが微笑ましくって、そういえば二人の初めては…とか気になりだして、今一度『策略~』を読み直して来ることにしました。余談で例のお店の二人の会話も聞き 得した気分ですが、『それ』と『あれ』と『これ』が 今ひとつわからない私は 一葉並みか?と頭を抱えてしまいました。
策略~の読み直しは正直、心臓が痛いところであります(冷汗)
なっちとヒサは…襲われていましたね…。
うちの子たちはみんな『とりあえず身体から』奪われていきます。
例のお店の二人の会話に出てくる『それ』『あれ』『これ』はなんでもいいんです。好きな言葉を当てはめてください。
お店の中で交わすご挨拶程度のキスだったり、ベッドの中で吸いつかれるものだったり、人をけしかけるための見世物だったり…。
曖昧なものを書いて悩ませてしまったようでこちらこそすみませんでした。
コメントありがとうございました♪
OH!!
テンプレート変わったんですね~~~~
びっくりしましたよ突然で。
ドア開けたら違う人の家?フロアー間違えて開けちゃった気分でした!!
今までは夜の大人の雰囲気で、こんどはポップで陽気になりましたよ。
衣替えもいいですね。
確かに、高柳さんの言うとおり!!
何にも知らないまっさらな初心な子を自分の色に染めるのがいいんじゃないさ~
慣れない一葉ちゃんを自分好みのカラダにするのが醍醐味・・・と安住さんが思っているかどうかは分りませんが・・・。
テンプレート変わったんですね~~~~
びっくりしましたよ突然で。
ドア開けたら違う人の家?フロアー間違えて開けちゃった気分でした!!
今までは夜の大人の雰囲気で、こんどはポップで陽気になりましたよ。
衣替えもいいですね。
確かに、高柳さんの言うとおり!!
何にも知らないまっさらな初心な子を自分の色に染めるのがいいんじゃないさ~
慣れない一葉ちゃんを自分好みのカラダにするのが醍醐味・・・と安住さんが思っているかどうかは分りませんが・・・。
甲斐様
おはようございます。
> OH!!
> テンプレート変わったんですね~~~~
やっと変えた…って感じでしょうか。
というか、何故か前のが画面の出方がおかしくなっちゃって(どう説明をすればいいんだ?!両端にあったご案内が全部左側にならんじゃった。しかも2列に並んで)。
まぁちょうどいい機会だ、変えようってなったわけです。
プログラム…っていうんですか、あの英語みたいな数字みたいな文字の並びが私にはさっぱりわかりませんもので…。
投げ出したというのが正直なところです。
間もなく1年たつことだし。
> 確かに、高柳さんの言うとおり!!
> 何にも知らないまっさらな初心な子を自分の色に染めるのがいいんじゃないさ~
> 慣れない一葉ちゃんを自分好みのカラダにするのが醍醐味・・・と安住さんが思っているかどうかは分りませんが・・・。
何も知らないまっさらな初心な子をどう調理するのか考えるのもいいものだと思います。
一葉も期待している、憧れている、ところがあるので、美味しい味付けにしてもらえるといいんですけど。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> OH!!
> テンプレート変わったんですね~~~~
やっと変えた…って感じでしょうか。
というか、何故か前のが画面の出方がおかしくなっちゃって(どう説明をすればいいんだ?!両端にあったご案内が全部左側にならんじゃった。しかも2列に並んで)。
まぁちょうどいい機会だ、変えようってなったわけです。
プログラム…っていうんですか、あの英語みたいな数字みたいな文字の並びが私にはさっぱりわかりませんもので…。
投げ出したというのが正直なところです。
間もなく1年たつことだし。
> 確かに、高柳さんの言うとおり!!
> 何にも知らないまっさらな初心な子を自分の色に染めるのがいいんじゃないさ~
> 慣れない一葉ちゃんを自分好みのカラダにするのが醍醐味・・・と安住さんが思っているかどうかは分りませんが・・・。
何も知らないまっさらな初心な子をどう調理するのか考えるのもいいものだと思います。
一葉も期待している、憧れている、ところがあるので、美味しい味付けにしてもらえるといいんですけど。
コメントありがとうございました。
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