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BLの丘
一番近いもの 1
2010-07-11-Sun  CATEGORY: 一番近いもの
日曜日の朝、ベッドの中で寝がえりを打とうとすれば、すぐ隣に温かな肉体がある。
セミダブル幅のベッドでも成人した男が二人も並んで寝れば当然窮屈で…。
しかも、夏だ。鬱陶しい。
学生時代から住み続けたアパートは、古くもなかったが、新しいとも言えなかった。
まぁ、ちょっと大きな物音を立てれば隣に響いてしまうようなもの。
1階に4戸、2階に4戸ある中の、2階の真ん中だったからそれ相応に気は使ってきたつもり…だが、本当のところ、両隣は空室だったからそれほど神経質な暮らしもしていなかった。
砺波海斗(となみ かいと)はとても重い身体に鞭をうって、ナイトテーブルの上にある腕時計に手を伸ばした。
就職祝いにと祖父が買ってくれたものはそれなりに値の張る物で、たぶん自分が身につけている装飾品の中では一番高価なものだと思う。
それに愛着があったから、なんとなく、いつも傍に置いていた。
「はぁ…、8時…」
休日にこんなに早く起きたことはまずない。
しかも、隣に寝ている男、倉敷大希(くらしき だいき)の相手をした次ぐ日なら尚更。

「勘弁してよ…」
海斗が起きたには原因がある。
隣の部屋で物音がしたのだ。
一人や二人の人数ではない話し声や、何やら物が動く物音に、入居者が現れたのだ…と簡単に判断できた。

このアパートは2Kという作りで、玄関を入ってすぐに4畳のキッチン(台所という言葉のほうがしっくりくる)があり、反対側にトイレと浴室があった。
奥にフローリングの6畳間が並んで2部屋。
一部屋は今寝ているところで寝室として使われている。
そしてこちらの部屋に小さな押入れが一つあるだけで、他には収納スペースはなかったから、全てが部屋の中に溢れかえっていた。
一応、隣の部屋がリビング扱いで、人が来る…という点では多少綺麗になっているかもしれない。(正確には見られたくないものは全て寝室に押し込まれ、整理がつかず散らかっていると言っていい)

もうひと眠り…と思うのに、今まで聞こえることのなかった話し声などが嫌に耳について、とても眠るどころではなかった。
こんな中で、よく大希は寝ていられるものだ…と少し感心してしまう。
大希とは、別に恋人でもなんでもなかった。
きまぐれに電話が来て、お互いの都合がつけば逢う。そう、身体だけの関係。
行きつけのバーで出会った。
年が同じだったことから話が弾み、そのままホテルへと直行した。
一度だけの関係とお互い割り切っていたのが、会話からも身体を通しても感じた。
天の悪戯か、1カ月もしないうちに再会して、出会ってしまえば後腐れの無さに二人とも溺れていった。
『好きなのか?』と問われればはっきりと『違う』と答えられる。
身体の中にたまる『欲』をかきだしてくれることにありがたみを感じるだけで、大希がバーで他の男に声をかけられてもかけても何も感じない。
お互い25歳になるところの、世間に言わせればまだ『若造』の自分たちなのに、『性』に関してだけはやたらとあけすけだった。
若さゆえか、『やりたい』思いは強い。
逢う回数が増えれば、ホテル代も馬鹿にならない、と互いの自宅まで上がり込むようになった。
まぁ、そのころには、危険はないと判断していたのだけど…。(というか、友人になっていた)

そうこうするうちに、違う物音に気付いた。反対側からも聞こえてくるのだ。
玄関ドアの前をバタバタと行き来する足音。
話す声が増えて、一層外が、両隣がにぎやかになる。
…まさか、いっぺんに二部屋埋まったの…?

激しい溜め息をついてしまえば、大希が小さく「クソッ」と悪態をつく。
どうやら起きていたらしい。
「なんだよ、こんな朝っぱらからー」
そしていきなり、海斗の身体を引き寄せ、その髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
「ちょっ…!!なにす…んっ…!!」
「うるさくて眠れないっ」
「俺のせいじゃないだろっ」
夜、散々じゃれあっても、朝から身体を寄せたことはなく、海斗は突然のことに瞠目していた。
もちろん、巻き毛のかかった髪がさらにからまるような気がしての抗議もあったのだが…。
「海斗の声が聞こえたら、少しは静かに作業してくれるようになるかな」
まだ寝ぼけたような大希の黒い瞳が苛立ちの中で光った気がした。
…声って、声って…声って…????
「…っ!!!」
意味を理解するのは簡単だ。
「あほっ!!いきなり隣人に何聞かせる気だよっ?!」
「じゃあ我慢して」
逃げる隙を作らせてもらえず、圧し掛かってきた大希に唇を塞がれる。
いままで隣人なんていなかったから、そんなに声を押さえることなんてなかったけど…。
何より、怒りの矛先を向けられた自分が可哀想な気がしてくる。
海斗よりも一回り以上大きな大希に抑え込まれたら、まったく歯が立たなく、唇を奪われたまま揉み扱かれた股間が素早く反応した。

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新作始まりました~。どうなるのか私も分かりません。汗っ
お付き合いくださればありがたいです。
アンケ貼った分は、締め切り後にSSで上げたいです。
定期更新、いけるかどうか分かりませんけどがんばって書きますっ!!
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コメント | | 2010-07-11-Sun 10:04 [編集]
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Re: 始まりましたね~
コメントきえ | URL | 2010-07-11-Sun 10:20 [編集]
K様
こんにちは。

> 新連載。冒頭から もうこのお話しの虜になってます(笑)また新しい楽しみが出来ました。毎日 4、5回はこちらにお邪魔する生活 変えられそうにありません。

4、5回?!…無駄です。
一日1回のご訪問で充分ですよ~。
新連載、ようやく始められました。
7月になったら…なんて思っていたのに、今頃になってしまって…。
どんな内容なんだ?!というスタートですが、お付き合いくださると嬉しいです。
コメントありがとうございました。
コメントかや | URL | 2010-09-17-Fri 14:32 [編集]
次は、今連載中のものでも、と言う基準で読み始めましたが。
しょっぱなから引越し。
引越しに弱いんですよね。出来るものなら、毎年でも引越しして、日本中を放浪したいくらい。生活出来ない(--;)
中古物件新築物件田舎暮らし都会暮らし競売検索までいろいろ登録してある、お気に入りのカテゴリ「家」を思わず、クリックしかけて・・・。
いやいやいや。
続きを読まねば~
Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2010-09-17-Fri 16:26 [編集]
かやちーん
こんにちは。
なんだか読んでくださっているようで…
けど目を悪くするからもういいよ。

> 次は、今連載中のものでも、と言う基準で読み始めましたが。
> しょっぱなから引越し。
> 引越しに弱いんですよね。出来るものなら、毎年でも引越しして、日本中を放浪したいくらい。生活出来ない(--;)
> 中古物件新築物件田舎暮らし都会は暮らし競売検索までいろいろ登録してある、お気に入りのカテゴリ「家」を思わず、クリックしかけて・・・。
> いやいやいや。
> 続きを読まねば~

ありがたや~と、とにかく拝みます。
無理しないでね。(はーと)
コメントありがとうございました。
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