『少し寝るか…?』と問われた言葉に、秋彦は必要以上のショックを覚えていた。
そこには、一緒になど寝てくれない…、秋彦が満足出来ればいいからと、誠一の欲求など向けて来ない、追い返したい気持ちがあるようにしか思えなかった。
思わず、瞳が潤んで、泣いたらいけない、と胸をぎゅっと押し殺して誠一の部屋を後にした。
自分が願うような気持ちを誠一は持っていないのだと感じた。
黙って帰ったら、おばさんが変に思うから、一応の挨拶だけはしてみた。
「あき?!」
追ってくる誠一の言葉が何を言いたいのか…。聞きたくない…。
一緒の大学に受かれば、まるで自分の役割を果たした…とでも思われるのだろうか。
自分が不安になり過ぎるから、本当は誠一は付き合ってくれているだけなんじゃないのか…。
誠一の成績を持てば、もっと良いところを狙えるのを秋彦は知っていた。
では何のためにランクを落としてまで付き合ってくれるの…?!
疑問が脳裏に湧く。
「一緒の大学にいくんだろ?!」
誠一の言葉が頭から離れていかない。
どんな意味があって…?…どんな心で…?!
期待を生むのに、避けられる行動に悲しさだけが浮かぶ。
「あきっ!!」
道路に出た途端に、叫ぶように呼ばれた名前に逃げ出そうとした足が止まる。
顔はもう、見せられないほど涙に濡れていた。
『振られるんだったら今でいい…。同じ所は、受けないから…』
近付いてくる誠一の足音が静かな暗闇の中に響いた。
家に入るための門扉は、もう目の前だ。
「あき、ごめん。俺、おまえにひどいこと、言った……?」
背後に掛けられる短い謝罪の言葉のあとに、『分からない』と疑問の声が混じる。
昔、襲われたことは、秋彦にとっても誠一にとっても深い傷になっている。
吹っ切れた素振りを見せていたのは秋彦だったし、ぶり返したくなかったのも誠一だった。
誠一のおかげで吹っ切れていると思っていたから、改めて無防備さを指摘してくれたのだとも分かる。
それを手玉に取っていたのは、秋彦だ…。
護ってくれと無言でずっと願った。
誠一にしてみれば重荷だったのかもしれない…。
長い年月を振り返った時、秋彦に浮かんだのは一つの思いでしかなかった。
もう、解放してやるべきなのか…。
…夢は、夢でしかない…
chobon様より絵をお借りしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
誠一が逃げないように願った。
自分が悲劇のヒロインになれば、ずっとそばに居てくれるような錯覚があった。
そうやって縛り付けた。
けど、本当の誠一の本心はどうなのだろう…?!
誠一ほどの男なら、寄ってくる女の子が居たって不思議じゃない。
実際、そのラブレターの数も告白の現場も見ていたのだし…。
近付いてきた誠一が秋彦の背後からそっとその身を抱き締めてきた。
温かい…。
そう思ったのに…。
「同情なんかしなくていい…」
秋彦から漏れたのは、あまりにも冷たくて悲しい台詞だった…。
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なんとか書けました…。
ポチいただけると嬉しいです。
そこには、一緒になど寝てくれない…、秋彦が満足出来ればいいからと、誠一の欲求など向けて来ない、追い返したい気持ちがあるようにしか思えなかった。
思わず、瞳が潤んで、泣いたらいけない、と胸をぎゅっと押し殺して誠一の部屋を後にした。
自分が願うような気持ちを誠一は持っていないのだと感じた。
黙って帰ったら、おばさんが変に思うから、一応の挨拶だけはしてみた。
「あき?!」
追ってくる誠一の言葉が何を言いたいのか…。聞きたくない…。
一緒の大学に受かれば、まるで自分の役割を果たした…とでも思われるのだろうか。
自分が不安になり過ぎるから、本当は誠一は付き合ってくれているだけなんじゃないのか…。
誠一の成績を持てば、もっと良いところを狙えるのを秋彦は知っていた。
では何のためにランクを落としてまで付き合ってくれるの…?!
疑問が脳裏に湧く。
「一緒の大学にいくんだろ?!」
誠一の言葉が頭から離れていかない。
どんな意味があって…?…どんな心で…?!
期待を生むのに、避けられる行動に悲しさだけが浮かぶ。
「あきっ!!」
道路に出た途端に、叫ぶように呼ばれた名前に逃げ出そうとした足が止まる。
顔はもう、見せられないほど涙に濡れていた。
『振られるんだったら今でいい…。同じ所は、受けないから…』
近付いてくる誠一の足音が静かな暗闇の中に響いた。
家に入るための門扉は、もう目の前だ。
「あき、ごめん。俺、おまえにひどいこと、言った……?」
背後に掛けられる短い謝罪の言葉のあとに、『分からない』と疑問の声が混じる。
昔、襲われたことは、秋彦にとっても誠一にとっても深い傷になっている。
吹っ切れた素振りを見せていたのは秋彦だったし、ぶり返したくなかったのも誠一だった。
誠一のおかげで吹っ切れていると思っていたから、改めて無防備さを指摘してくれたのだとも分かる。
それを手玉に取っていたのは、秋彦だ…。
護ってくれと無言でずっと願った。
誠一にしてみれば重荷だったのかもしれない…。
長い年月を振り返った時、秋彦に浮かんだのは一つの思いでしかなかった。
もう、解放してやるべきなのか…。
…夢は、夢でしかない…
chobon様より絵をお借りしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
誠一が逃げないように願った。
自分が悲劇のヒロインになれば、ずっとそばに居てくれるような錯覚があった。
そうやって縛り付けた。
けど、本当の誠一の本心はどうなのだろう…?!
誠一ほどの男なら、寄ってくる女の子が居たって不思議じゃない。
実際、そのラブレターの数も告白の現場も見ていたのだし…。
近付いてきた誠一が秋彦の背後からそっとその身を抱き締めてきた。
温かい…。
そう思ったのに…。
「同情なんかしなくていい…」
秋彦から漏れたのは、あまりにも冷たくて悲しい台詞だった…。
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MO様
こんにちは。
見られるようになって良かったです~♪
>お互いに思いあってるのに、心がすれ違ってしまって、切ないですね~。過去の出来事や受験も控えてるし、悩める二人ですが、明るい春が待ってることを期待します。
完璧、すれ違っちゃいましたね。
色々なことが重なっていて、素直に言葉にできないもどかしさ。
秋企画なので、秋で終わらせたいんですけど…。
どうなるのやら、この二人。
コメントありがとうございました。
こんにちは。
見られるようになって良かったです~♪
>お互いに思いあってるのに、心がすれ違ってしまって、切ないですね~。過去の出来事や受験も控えてるし、悩める二人ですが、明るい春が待ってることを期待します。
完璧、すれ違っちゃいましたね。
色々なことが重なっていて、素直に言葉にできないもどかしさ。
秋企画なので、秋で終わらせたいんですけど…。
どうなるのやら、この二人。
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K様
おはようございます。
> このところ、読み逃げしてました。すみません。
いえいえ。いーんですよ~。
> 隣同士って、萌えるシチュですね。
> 「さくらんぼ」の歌が脳裏でエコーしますwww
> 誠一くんが押し倒してしまえば!
> と、思いつつ。そうか・・・勉強出来なくなるんだ(笑)
> しかも、自分が頑張る分ならともかく、アキちゃんの方が切実なんですね~。
> それは大変。
> でも、アキちゃん泣いちゃった(><)
> ど、どうしましょう!?
事態は良くないですね。
ここでがんばってお勉強してもらわないと離れ離れになってしまう~?!
のめり込んだら止まらない誠一だろうし。
なのに、煽りまくりの秋彦でした。
どうすんのかなぁ、ふたり。
> お時間のある時にでも、お立ち寄り下さいね~m(_ _)m
そうなんですか~。
ぜひ伺わせていただきます。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> このところ、読み逃げしてました。すみません。
いえいえ。いーんですよ~。
> 隣同士って、萌えるシチュですね。
> 「さくらんぼ」の歌が脳裏でエコーしますwww
> 誠一くんが押し倒してしまえば!
> と、思いつつ。そうか・・・勉強出来なくなるんだ(笑)
> しかも、自分が頑張る分ならともかく、アキちゃんの方が切実なんですね~。
> それは大変。
> でも、アキちゃん泣いちゃった(><)
> ど、どうしましょう!?
事態は良くないですね。
ここでがんばってお勉強してもらわないと離れ離れになってしまう~?!
のめり込んだら止まらない誠一だろうし。
なのに、煽りまくりの秋彦でした。
どうすんのかなぁ、ふたり。
> お時間のある時にでも、お立ち寄り下さいね~m(_ _)m
そうなんですか~。
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コメントありがとうございました。
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