今にも襲いかかりそうだ…と誠一は思った。
白くてキメの細かい肌に触れれば、赤ん坊のように吸いついてくる。
秋彦の肌は、生まれた時から変わっていないんじゃないかと思えてくるほどだ。
「せいちゃん…」
自分を呼ぶ声が震えているようで、また秋彦に差し伸べる手を嫌がられないだろうか、と脅える。
座布団の上で、クッションを手繰り寄せて、「眠くなっちゃった」と無防備にゴロンと横になる姿は、本当に目の毒だった。
こんなことを他の誰かの前で披露すれば、また秋彦自身が傷つく原因になりかねない。
というより、自分が秋彦を傷つけそうだ…。
秋彦は誠一に対して、昔と変わらず、抵抗の一つも見せなかった。
それどころか、仔猫が撫でてくれる手に擦り寄ってくるような仕草を見せる。
過去の出来事を思い出させるのは嫌だったが、誠一の不安は薄れることがない。
「あき…、人の家で、他の人の前で、こんなことしたらダメだからな」
「誠ちゃん以外の人にこんなことしないよ」
またもや誠一は、ドキュンと胸と股間を虐められている気分になった。
『誠一以外の前で…』と限定してくれるところはうれしさでしかない。
もしかしたら、秋彦も、本当は誠一のことを…と思わず期待してしまう。
だけど、ここまで煽られて『ただの幼馴染』と告げられたら、その時、自分は耐えられるのだろうか…。
はっきりと聞くことのできない気持ち…。
「疲れたのなら、少し寝るか?ベッド、使っていいぞ」
小さい頃のように、一つの布団にくるまって大人しく眠れる度胸も理性も誠一は持ち合わせていなかった。
悲しい思いを抱えながら、秋彦から「帰る」といってくれることを望んでいた。
秋彦の移り香が布団に残るかもしれない、というささやかな願いを持っていたのに、秋彦は何かを諦めたようにむくりと身体を起こした。
「ううん、ごめんね。誠ちゃんだって、自分の勉強、あるよね。僕、いつも誠ちゃんの邪魔ばっかりして…」
「邪魔なんて思ってないからっ!」
悲しそうに顔を歪め荷物を整理し出す姿が、どことなく痛ましい。
自分で望んでいながら、いざ言われてみればやっぱり傷つく。
「あき…、一緒に大学、入るんだろ?あきの為だったら、俺、なんだってしてやるから…」
俺の心配、しなくていいって言ってやりたかったのに…。
今にも涙でも零れてくるのではないかという潤んだ瞳を隠すように、俯いた秋彦は、「うん、ありがと…」と一言しか言わなかった。
それから、バタバタと部屋を出て行こうとする。
「あき?」
突然の変化に誠一は驚いていた。
いつも大人しい秋彦が、あからさまに不満をぶつけてくることは珍しい。
誠一を振り返ることもなく、部屋を出ていけば、台所にいた母親に挨拶をしていた。
「おばさん、遅くまでごめんなさい。ご飯、美味しかったです」
ぺこりと頭を下げる秋彦の、いつもと違う姿には、母親も何となく気付いたようだった。
「あきちゃん?いいのよ。うちはいつ来てくれても」
何事か?と母親の視線が一瞬誠一を睨みつけた。
訳が分からないのはこちらの方だ…とも思う。
邪な考えを持ったことを気付かれたか、それとも過去を思い出すことを口にしてしまったからか…。
秋彦は普段ならする雑談もせず、「おじゃましました」と玄関に走るように逃げていった。
「あき?!」
止める誠一の声も聞かず…。
「誠一っ!!あんた、何言ったの?!」
思い当たるものばかりだ…。
まさか、本当に嫌われたのでは…と心がざわざわとした。
とにかく追いかけなきゃ…。
秋彦が何を考えているのか、どう思われているのか、確認しなきゃ…。
誠一は後先考えずに、秋彦の後を追った。
…俺の夢が…。
chobon様より絵をお借りしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
にほんブログ村
毎度のことながらお待たせいたしております。
数日間、更新が途絶えると思います。
upされていたらラッキー、なかったらやっぱり…と思ってください。
白くてキメの細かい肌に触れれば、赤ん坊のように吸いついてくる。
秋彦の肌は、生まれた時から変わっていないんじゃないかと思えてくるほどだ。
「せいちゃん…」
自分を呼ぶ声が震えているようで、また秋彦に差し伸べる手を嫌がられないだろうか、と脅える。
座布団の上で、クッションを手繰り寄せて、「眠くなっちゃった」と無防備にゴロンと横になる姿は、本当に目の毒だった。
こんなことを他の誰かの前で披露すれば、また秋彦自身が傷つく原因になりかねない。
というより、自分が秋彦を傷つけそうだ…。
秋彦は誠一に対して、昔と変わらず、抵抗の一つも見せなかった。
それどころか、仔猫が撫でてくれる手に擦り寄ってくるような仕草を見せる。
過去の出来事を思い出させるのは嫌だったが、誠一の不安は薄れることがない。
「あき…、人の家で、他の人の前で、こんなことしたらダメだからな」
「誠ちゃん以外の人にこんなことしないよ」
またもや誠一は、ドキュンと胸と股間を虐められている気分になった。
『誠一以外の前で…』と限定してくれるところはうれしさでしかない。
もしかしたら、秋彦も、本当は誠一のことを…と思わず期待してしまう。
だけど、ここまで煽られて『ただの幼馴染』と告げられたら、その時、自分は耐えられるのだろうか…。
はっきりと聞くことのできない気持ち…。
「疲れたのなら、少し寝るか?ベッド、使っていいぞ」
小さい頃のように、一つの布団にくるまって大人しく眠れる度胸も理性も誠一は持ち合わせていなかった。
悲しい思いを抱えながら、秋彦から「帰る」といってくれることを望んでいた。
秋彦の移り香が布団に残るかもしれない、というささやかな願いを持っていたのに、秋彦は何かを諦めたようにむくりと身体を起こした。
「ううん、ごめんね。誠ちゃんだって、自分の勉強、あるよね。僕、いつも誠ちゃんの邪魔ばっかりして…」
「邪魔なんて思ってないからっ!」
悲しそうに顔を歪め荷物を整理し出す姿が、どことなく痛ましい。
自分で望んでいながら、いざ言われてみればやっぱり傷つく。
「あき…、一緒に大学、入るんだろ?あきの為だったら、俺、なんだってしてやるから…」
俺の心配、しなくていいって言ってやりたかったのに…。
今にも涙でも零れてくるのではないかという潤んだ瞳を隠すように、俯いた秋彦は、「うん、ありがと…」と一言しか言わなかった。
それから、バタバタと部屋を出て行こうとする。
「あき?」
突然の変化に誠一は驚いていた。
いつも大人しい秋彦が、あからさまに不満をぶつけてくることは珍しい。
誠一を振り返ることもなく、部屋を出ていけば、台所にいた母親に挨拶をしていた。
「おばさん、遅くまでごめんなさい。ご飯、美味しかったです」
ぺこりと頭を下げる秋彦の、いつもと違う姿には、母親も何となく気付いたようだった。
「あきちゃん?いいのよ。うちはいつ来てくれても」
何事か?と母親の視線が一瞬誠一を睨みつけた。
訳が分からないのはこちらの方だ…とも思う。
邪な考えを持ったことを気付かれたか、それとも過去を思い出すことを口にしてしまったからか…。
秋彦は普段ならする雑談もせず、「おじゃましました」と玄関に走るように逃げていった。
「あき?!」
止める誠一の声も聞かず…。
「誠一っ!!あんた、何言ったの?!」
思い当たるものばかりだ…。
まさか、本当に嫌われたのでは…と心がざわざわとした。
とにかく追いかけなきゃ…。
秋彦が何を考えているのか、どう思われているのか、確認しなきゃ…。
誠一は後先考えずに、秋彦の後を追った。
…俺の夢が…。
chobon様より絵をお借りしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
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毎度のことながらお待たせいたしております。
数日間、更新が途絶えると思います。
upされていたらラッキー、なかったらやっぱり…と思ってください。
うっふっふ~あきくんが動いた!
誠一くんのヘタレっぷりが好き~~!
大事すぎるんですよね、あきくんのことが。
でも、ここで追いかける誠一くんにエールを送りたい~~!
頑張れ~~!
誠一くんのヘタレっぷりが好き~~!
大事すぎるんですよね、あきくんのことが。
でも、ここで追いかける誠一くんにエールを送りたい~~!
頑張れ~~!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
みたま様
こんにちは。
お返事遅くなりました。
> うっふっふ~あきくんが動いた!
> 誠一くんのヘタレっぷりが好き~~!
> 大事すぎるんですよね、あきくんのことが。
>
> でも、ここで追いかける誠一くんにエールを送りたい~~!
> 頑張れ~~!
どっちかが動かないと進展しない二人でして…。
誠一、ヘタレですよね。
そこは男らしく!!と願うのですが、守りたい一心から今一歩踏み出せない。
誠一にエール頂きありがとうございます。
コメント、嬉しいです。
こんにちは。
お返事遅くなりました。
> うっふっふ~あきくんが動いた!
> 誠一くんのヘタレっぷりが好き~~!
> 大事すぎるんですよね、あきくんのことが。
>
> でも、ここで追いかける誠一くんにエールを送りたい~~!
> 頑張れ~~!
どっちかが動かないと進展しない二人でして…。
誠一、ヘタレですよね。
そこは男らしく!!と願うのですが、守りたい一心から今一歩踏み出せない。
誠一にエール頂きありがとうございます。
コメント、嬉しいです。
a様
こんにちは。
> 続き待っておりました~!
> あきちゃん、可愛くてたまりません。
> 涙でうるんだ瞳が本当に切ないですね。
> 誠一くんファイト!
> とてもお似合いなカップルになってくれそうです^^
お待たせしておりました。
やっと再開のこの二人です。
秋彦が何考えているのやら…は、すでに記事が上がっていますのでそちらを読んでいただければと思います。
誠一、どれだけ頑張れるかな(笑)
コメントありがとうございました。
こんにちは。
> 続き待っておりました~!
> あきちゃん、可愛くてたまりません。
> 涙でうるんだ瞳が本当に切ないですね。
> 誠一くんファイト!
> とてもお似合いなカップルになってくれそうです^^
お待たせしておりました。
やっと再開のこの二人です。
秋彦が何考えているのやら…は、すでに記事が上がっていますのでそちらを読んでいただければと思います。
誠一、どれだけ頑張れるかな(笑)
コメントありがとうございました。
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