降り注ぐシャワーのお湯と、久志からの絶え間ないキスの嵐。
髪の毛の一本一本まで丁寧に洗われ、白磁器のように透ける肌は泡立てたスポンジで滑るように撫でられた。
丘の奥に佇む狭い入口を指先がそっと這いまわる。
背の高い久志に合わせて背伸びをし、両肩に掛けた手にキュッと力が籠ると共に、立っていられなかった那智はその腕を久志の首筋にぐるりと回した。
「…んん…っ」
「何にもなかったみたいだな」
「…あ、るわけ、ないだろっ!」
徐に久志の膝先で足を割られ、バスルームの壁に背中を押し付けられた那智は、半分身動きが取れない状態に陥った。
すでに屹立した久志の欲望を那智自身の上に感じ、興奮はとどまることなく那智を煽り立てた。
たかだか接待ごときでこれほどの疑いをかけられるのは不本意でありながら、心配されることが単純に嬉しかった。
幾度となくこの場所で様々な情事を体験させられてはいるが、慣れたわけではない。
微量であるにしろ、体中を巡ったアルコールがお湯という熱に当てられ、那智の体中の血液や筋肉を蝕んでいた。
たとえシャワーだけであっても、肌の上を滑るのはお湯だけでなく、久志という熱が那智の全身を撫でまわす。
「ふ…ん…ん…、む、り……。…ここ、や…」
思わず漏れる熱い吐息に、那智はこれ以上の行為がこの場では苦痛だと判断した。
幾度も体験したから分かることで、双丘を割られた時点で、久志が何を望むかなど知り切っている。
嫌だというわけではなかった。ただ単に、ベッドの上で施される愛され方よりも一層の体力を消耗すると分かっているから飛び出した言葉であって意図があったわけではない。
「じゃぁ、どこ? またキッチン?リビングがいい?それともベランダ?」
絶対に那智が望む場所を口にしないのは故意的か…。
那智はバスルームの壁を背後に感じながら小さく首を振って久志の示した場所の全てを拒否した。
「や…」
ボディソープ独特の香りと、那智から放たれる豊潤な色香、時折息が上がったように零れる熱い吐息…。久志は自ら飛び込んでしまったバスルーム内でありながら、自分の欲望を抑えるのに必死だった。
数えきれないほど那智の身体を手にして抱いてきたはずなのに、興奮はいつも違うところから与えられるような新鮮さがあった。
大きな掌で撫でまわした細い身体がわなわなと震えだしているのが肌越しに伝わってくる。嫌とかいう拒絶の意味ではなくて、自分を求めて興奮が抑えられない状態にあるのは一目瞭然だった。
きゅっと抱きつかれた首筋に、那智の熱い息が当たる。
「ね、出よう…。ここ、無理…」
普段の那智からは積極的な言葉や態度はまず見られない。だが、アルコールを含んだ時だけは違った。
アルコールによってもたらされる、肌の血行の良さ。奔放に振舞う無意識な感覚。
何かの間違いがあって、外でこんな姿を他人の目に晒されたなら…と久志の心配は尽きることがない。
すがるように放たれた言葉を耳にして、久志は頷く。疲れて帰ってきた那智の身体にこれ以上の無理をさせるのは気が咎めた。
那智の体中を覆った白い泡を流してやると、久志は再び那智の赤く熟れた唇の上に自分のを落とした。
ベッドの上に横たえると、待ち切れなかったように那智の細い腕が久志の首にかけられた。
積極的な那智は嫌いではない。滅多に見られることのない奔放な姿だからこそ新鮮味もあり久志も煽られたが、同時に生まれる嫉妬心は抑えようがなかった。
柔らかなキスを何度も与えてやりながら、久志は嫌味を言うことを忘れていなかった。
「今日は何人の人に近付かれたの? 那智ってば酒が入るといつも以上に無防備になるから平気で人に触らせたりしてたんだろ」
那智は意識していないようだが、本人が思っている以上に目的を持ったスキンシップは後を絶たない。
故意的に触れられていると気付かない那智に、どうやったら気付かせることができるのか、久志の悩みの種だった。
上気した頬を撫で、湿った前髪をかき上げると、小さく、そんなことない、と那智が首を振る。
そもそも、久志と那智では意識するところが違っているのだから話にならないのだが…。
いつまでも焦らされていることに那智の方が音を上げる。
「ヒサ…」
呼びかけは誘いの言葉だった。
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遅くなりましたm(__)m
今週末は私の方がドタバタで…。書け次第upしていきますね。
髪の毛の一本一本まで丁寧に洗われ、白磁器のように透ける肌は泡立てたスポンジで滑るように撫でられた。
丘の奥に佇む狭い入口を指先がそっと這いまわる。
背の高い久志に合わせて背伸びをし、両肩に掛けた手にキュッと力が籠ると共に、立っていられなかった那智はその腕を久志の首筋にぐるりと回した。
「…んん…っ」
「何にもなかったみたいだな」
「…あ、るわけ、ないだろっ!」
徐に久志の膝先で足を割られ、バスルームの壁に背中を押し付けられた那智は、半分身動きが取れない状態に陥った。
すでに屹立した久志の欲望を那智自身の上に感じ、興奮はとどまることなく那智を煽り立てた。
たかだか接待ごときでこれほどの疑いをかけられるのは不本意でありながら、心配されることが単純に嬉しかった。
幾度となくこの場所で様々な情事を体験させられてはいるが、慣れたわけではない。
微量であるにしろ、体中を巡ったアルコールがお湯という熱に当てられ、那智の体中の血液や筋肉を蝕んでいた。
たとえシャワーだけであっても、肌の上を滑るのはお湯だけでなく、久志という熱が那智の全身を撫でまわす。
「ふ…ん…ん…、む、り……。…ここ、や…」
思わず漏れる熱い吐息に、那智はこれ以上の行為がこの場では苦痛だと判断した。
幾度も体験したから分かることで、双丘を割られた時点で、久志が何を望むかなど知り切っている。
嫌だというわけではなかった。ただ単に、ベッドの上で施される愛され方よりも一層の体力を消耗すると分かっているから飛び出した言葉であって意図があったわけではない。
「じゃぁ、どこ? またキッチン?リビングがいい?それともベランダ?」
絶対に那智が望む場所を口にしないのは故意的か…。
那智はバスルームの壁を背後に感じながら小さく首を振って久志の示した場所の全てを拒否した。
「や…」
ボディソープ独特の香りと、那智から放たれる豊潤な色香、時折息が上がったように零れる熱い吐息…。久志は自ら飛び込んでしまったバスルーム内でありながら、自分の欲望を抑えるのに必死だった。
数えきれないほど那智の身体を手にして抱いてきたはずなのに、興奮はいつも違うところから与えられるような新鮮さがあった。
大きな掌で撫でまわした細い身体がわなわなと震えだしているのが肌越しに伝わってくる。嫌とかいう拒絶の意味ではなくて、自分を求めて興奮が抑えられない状態にあるのは一目瞭然だった。
きゅっと抱きつかれた首筋に、那智の熱い息が当たる。
「ね、出よう…。ここ、無理…」
普段の那智からは積極的な言葉や態度はまず見られない。だが、アルコールを含んだ時だけは違った。
アルコールによってもたらされる、肌の血行の良さ。奔放に振舞う無意識な感覚。
何かの間違いがあって、外でこんな姿を他人の目に晒されたなら…と久志の心配は尽きることがない。
すがるように放たれた言葉を耳にして、久志は頷く。疲れて帰ってきた那智の身体にこれ以上の無理をさせるのは気が咎めた。
那智の体中を覆った白い泡を流してやると、久志は再び那智の赤く熟れた唇の上に自分のを落とした。
ベッドの上に横たえると、待ち切れなかったように那智の細い腕が久志の首にかけられた。
積極的な那智は嫌いではない。滅多に見られることのない奔放な姿だからこそ新鮮味もあり久志も煽られたが、同時に生まれる嫉妬心は抑えようがなかった。
柔らかなキスを何度も与えてやりながら、久志は嫌味を言うことを忘れていなかった。
「今日は何人の人に近付かれたの? 那智ってば酒が入るといつも以上に無防備になるから平気で人に触らせたりしてたんだろ」
那智は意識していないようだが、本人が思っている以上に目的を持ったスキンシップは後を絶たない。
故意的に触れられていると気付かない那智に、どうやったら気付かせることができるのか、久志の悩みの種だった。
上気した頬を撫で、湿った前髪をかき上げると、小さく、そんなことない、と那智が首を振る。
そもそも、久志と那智では意識するところが違っているのだから話にならないのだが…。
いつまでも焦らされていることに那智の方が音を上げる。
「ヒサ…」
呼びかけは誘いの言葉だった。
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