2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
淋しい夜に泣く声 10
2009-09-12-Sat  CATEGORY: 淋しい夜
R18でお願いします。おイタが始まっちゃった…


ぷるっと震えた肌。
「…んっ……はぁ…っ」
優しく撫でられ身体の隅々まで敏感に感じる肌は、どれほど貪欲に男を求めているのかと思わされる。
浅ましいと思ったことは何度もある。幾多の男に抱かれるたびに、母を思い出した。そして、その血を分けた子なのだと嫌というほど思い知らされる。
…自分には身体しかない…

「抱いてほしいなら抱いてやる」

冷たくもあるような言葉だったのに、いざその手に落ちてみれば、愛撫はこれまで味わったことのない優しさと快感を与えてくれた。
男娼として生きてきたつもりはなくても、男を喜ばせる術は身に着けていたつもりなのに、この男に対しては何一つ役に立っていなかった。
ほんの少し、指が動くだけで翻弄され相手の為すがままに流されていく。

「…ん、、、ね、もぅ…」
今にもはち切れんばかりに膨れ上がった自らの性器をまざまざと見せつけられ、そして秘めた蕾を指先で弄られながら最後の快感をこの男は与えてくれなかった。
クチュクチュと厭らしい水音を立て後孔はピクピクと震えあがる。
指先が後孔に入り込み、中をかき回すように弄られる。小さな膨らみを嫌というほど嬲られ、英人の快感という波は限界を迎えた。

「…うっ…っっ、ダメ、だめっ…あっ…っ」
ぷくっと幾筋もの液体が先端から零れる。下生えをしどしどと濡らす自らの体液に榛名の指先が絡んだ。思わず最果ての地を求めて自分の手が性器に添えられれば、力強い手がそれを阻んだ。
「どうしてほしい?」

薄らと涙を浮かべ、男の前で英人は懇願した。
少しでも触れられれば爆発しそうだった。焦らされ悶える分身に最高の刺激が欲しい…。
「っ…んっ…」
強請る言葉を聞くまでは絶頂を与えないといった感じの指先が、キュッと英人の根元を括った。
「んっ、あっ…っっっ!!」
退くような痛みなのに逃げ出せない快楽がここにある…。
「やめっ…」
「イきたいならそう言えと言っただろう」
「…っきたいっ…、許して、もうっ…っ」
恥も何もなかった。根元を指先で挟まれ、喜悦の声を上げることを許されない刺激に、全身が痺れてくる。
榛名はなんのためらいもなく、英人の分身を口に含んだ。生温かい口腔に分身を迎えられれば一たまりもなく潮は満ちる。
数度唇が上下し、ザラッとした舌が絡んだだけで、英人はあっけなく白濁を榛名の口の中に吐き出した。

絶頂を迎えた後で現実に戻された英人は慌てていた。仮にも自分を雇うといった上司、しかも社長という大きな決定権を持つ男の口の中で達してしまったのだ。
どれほど快楽に負けたとは言っても、取り返しのつかない事実に後悔や羞恥心が生まれる。

コクッと嚥下する音が、更に英人を追い詰めた。

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淋しい夜に泣く声 11
2009-09-13-Sun  CATEGORY: 淋しい夜
R18でお願いします。

「…う…っそ…、飲まなくったって…」
これまで自分の体液を飲まれたことは幾度もあったが、今ほど羞恥に晒されたことなどない。
いつもは欲望に駆られた男たちを相手にして、『与えてあげる』という感覚だったが、今は確実に自分が落とされていた。
戸惑いと恥じらいの狭間で身を震わせれば、榛名は気にした様子もなく英人の内腿をさすった。
「気にしなくていい。まだ続きを?」
英人が一度達したことで満足と捉えられたのか、榛名は自分の欲求までも押し付けてこようとはしなかった。
そのことが更に英人の羞恥心を煽り、昂ぶるのは英人だけだと言われた気分になる。
恥ずかしさに悶えながら、挿入すら果たしていない榛名にこれで終わりにしては申し訳ないと思うのを口実に、肌の温もりが欲しかった英人は頷いた。
「ならば勃たせろ」

英人には初めてのことだった。自分を抱いていながら彼の中心はほとんど変化を見せていない。この男にとって、それほど自分は魅力がないということなんだろうか…?
ベッドの上に横になった榛名が親指で英人の唇を撫でた。
「物欲しそうだな。この部屋に置く間、どれだけ耐えられるのかと心配になる」

自分の淫乱さを曝け出すような発言に英人の顔が真っ赤になった。男に抱かれる周期など決まってはいなかったが、10日と開いていないのは確かだ。
生活費の為と言い訳はいくらだって用意できていたが、実際は人肌が恋しかっただけだ。
「そんな…」
「うまくできたら次も相手をしてやる。しばらく外には出してやれないし、おまえが生きてきた世界は危険すぎる。縛り付けるだけの見返りは金以外でも与えてやるよ」
抵抗しようとした言葉も榛名の前では意味を持たなかった。この男は自分のことを知りすぎている。
それに先程与えられた愛撫を思い返せば、再びこの手に落ちたいと願う自分がいた。
どれだけ厭らしい人間と思われているのだろうか。そしてそれは覆しようのない事実…。

英人はそっと身を起こすと、力のない榛名の足の間に顔をうずめた。
自分に快感を与えてくれたことへの見返りだと思った。
こんなことは何度でもやった。今更抵抗する気もないし、第一、興奮をもらうのは自分の方だ。

ゆっくりと根元から先までを舐め上げる。括れの間も丁寧に舌を伸ばし絡み付かせた。唇の先で絞り上げるようにつまんでいく。
時々ビクッと反応しながら、榛名は昂ぶりを表した。
小さい口に目一杯咥えこみ舌と唇の圧力で刺激を与え、届かない先には指を添えた。
相手を焦らすことを英人の身体は熟知している。

「さすがに上手いものだな」
完全に屹立したものを前に、榛名は余裕の表情で英人の腰を掴み上げた。
自分がどう評価されているのか、行為に耽っていた英人は咄嗟に判断ができずにいた。
「上に乗って」
榛名の昂ぶりの上に、英人の後孔が添えられれば、ようやく与えてもらえる期待に胸が高鳴った。

すでに乾いてしまった孔に榛名の動きが止まる。
「これではキツイか…」
ベッドサイドにあったハンドクリームを潤滑剤代わりにして、手に取った榛名はそれを英人の隠れた襞の中に塗り込んだ。
「辛いなら言え」

英人は首を振った。とにかく欲しい…。
自分を壊すような刺激で突いてもらいたかった。自分が卑しい身体であることを男の欲望にまみれることで忘れたい。
「は…やく…っ」
「忘れられなくなりそうだ」

榛名は二つに割れる丘を両手で掴むと左右に割り開き、猛ったものを押し当てた。
「…っあ…っ…っ!」
クプッと一番太い部分が英人の中にめり込む。
ようやく与えられた歓喜に、英人自身の先端が喜びの涙をこぼした。

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淋しい夜に泣く声 12
2009-09-14-Mon  CATEGORY: 淋しい夜
R18でお願いします。

奥まで挿れられたその一瞬で達きそうになっていた。先程指先だけで弄りまわした体内を、この男はしっかりと覚えていた。
英人の中でどこが一番感じるのか、どこを攻めればいいのか、なんの間違いもなく擦る部分に英人の意識が朦朧としてくる。
「…んっ、はあぁぁっっ!!」
下から揺す振られ、支えるものを失った英人の掌が榛名の胸の上に落ちた。
「だめっ…っ」
「イきたいなら何度でもイけばいい」
力を失ったはずの性器は再びピクピクとそそり立ち、榛名の大きな掌に包まれる。
「…うっんっ…っ!!」
大きく首を振りながら、迎え来る絶頂を流そうとした。

体内に榛名を残したままで、身体を浮かされた英人は、一瞬の間に体勢を逆にされる。
シーツの上に転がされ榛名に組み敷かれて、細い脚を大きく開かされると、強い力が体内を抉った。
「あっぁぁんっ…」
「少しは弛めろ。おまえを愉しませてやれそうにない」
この男が余裕をなくすとは思えなかった。それでも自分の体で興奮を覚えてくれたのかと思えば悦びはひとしおで、英人はぶるりと肌を震わせた。
締め付けているつもりはなかったが、中をかき回す質量は大きい。
気付かないうちに快感の波に溺れる。英人は幾度も自分を襲う官能に抗うことができなかった。

狭い肉壁を素早く擦られながら英人自身を握られれば、二度目の限界もあっという間だった。
こんなに早く、連続して精を吐き出したことのなかった英人は、身体が全く動かせないほど弛緩していた。
相手を悦ばせていないことにも動揺した。自分だけが昇り詰める絶頂…。

「ごめ…なさい…」
動きを止めた榛名に向かい掠れる声が漏れれば、頭上で不思議そうな顔をする。
「何が?」
「だって、俺…」
感じるばかりで翻弄される自分を情けないと思いながら、快感にだらしない身体のようで恨めしさも募る。
まともに榛名と視線を合わせることすら躊躇いが生まれ、スッと反らせば意味を理解したようで、榛名がフッと笑った。
「気にするなと言っただろう?おまえが欲しいと思う分はくれてやる」
あくまでも自分主体に情事を進めてくれるという発言に、英人の顔に朱が走った。
この男が自分の快楽を二の次にして自分にだけ与えてくれようとする姿勢が、より英人を申し訳なく思わせる。
「そんなこと…」
「まぁ俺も人間なんでね。無限まで頑張れるわけじゃないさ」
からかうように言われれば、不貞腐れる気分になった。自分だってこの男の体力についていける自信などない。そこまで卑しくもない…と。

火照りが冷めるのを少しの間だけ待って、榛名は腰の動きを再開した。榛名があまりにも前立腺の膨らみを攻めるので、英人自身が芯を戻すのに時間などさほどかからなかった。
だがその先は意地悪をするかのように、あまりにもゆっくりで英人には焦れたくて、もどかしさが生まれた。
時折締め付けるたびに、苦しそうな吐息が漏れはしたが、彼にはまだまだ余裕がありそうだった。自分だけが一方的に3度も放出するのはできたら避けたい。
しっかりと掴まれた細い腰は榛名の好きなようにされていた。
拷問のような抜き差しにあとどれくらい耐えればいいのだろうか…。

これまで厭らしい言葉などいくら吐いたか分からない、求められる相手には不服のないように振舞ってきた。
それがこの男の前ではひどく恥かしく感じられる…。
自ら求める言葉をもう一度言えば、ただでさえ浅ましいと思われている自分の身分はどこまで見下されるのだろう。
それに、今までは一夜限りだったが、この男はそうはいかない。嫌でも思い返して赤面する時がすぐそこにある。

「…っふっ…んっ……」
堪え切れなくなる快感を、榛名の胸に顔を擦り付け大きく首を振ることで逃そうとする。
「おまえは良い顔をするなぁ」
落ち付き払った声が頭上でした。

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淋しい夜に泣く声 13
2009-09-14-Mon  CATEGORY: 淋しい夜
すいません。間違えて上げちゃったんですけど…
一度下ろしたのですが、拍手もらっているようなのでこのままにします…。
明日の更新、ないかも…

R18でお願いします。

「良い顔をする」

狂いそうになる意識の中でも、褒められているらしいことはなんとなく分かった。
「ほだされた奴はどれくらいいたんだろうな。黙って立っていても惹かれるものがあるが、抱いた時に見せるこの顔は煽られる」
人の腕の中に落ちた時に見せる顔など見たこともなかった。きっと厭らしく欲にまみれた意地汚い顔をしているのだろうとは思ったが、普段の見目の良さは自分でも自惚れる部分があった。
だけど、この男だって顔の造りでいえば人を魅せる。それに加えて、榛名の全身から漲る知性や権力、圧倒感というものは更に榛名を際立たせていた。
まさに大人の男の魅力だ。備えていないものはないといった感じの余裕がこの男にはある。
身体だけが取り柄の自分とは根本的なものが違う……。

「社長だって…」
「この場でその呼び方はやめろ。気が削がれる」
言い返そうとした英人に冷たい言葉が振り下りた。
「あぁぁぁあっっっ!!」
突然榛名に肉壁を深く抉られた。
声の掛け方が気に入らなかったらしいが、こうやって嬲られたのでは身が持たない。たたでさえ、英人の中心は今にも爆発しそうなくらいに張り詰めているのだ。前を触られず、後ろだけで果てた時の辛さは幾度か経験したことがあったから、その苦しみは味わいたくなかった。

「…んっ、ぁあっ、もうだめ……。…はじけちゃう…」
無意識のうちに自分の腹と榛名の腹の間でパンパンになったモノへと手を伸ばせば、また榛名に手首をもぎ取られた。
「千城だ。呼んでみろ」
「…ち、しろ…さん…」
意識は朦朧としていた。今だったら、どれだけ卑しい言葉を吐けと言われても従えただろう。

「夜の間はそう呼べ。その代わりおまえには満足するだけの時間を与えてやる」
再び英人の根元をキュッと絞られ、激しく腰を動かし始めた榛名に、英人は悦楽の底へと落ちる自分を知った。

この男には逆らえない…、逃れることも、たぶんできない…。
今日のこの部屋での始まり、縛られ括りつけられた時も同じことを思った。
一番危険なのはこの男だ。今まで自分を抱いてきた男とは明らかに違う、人を掌で使うことに慣れた男。

「んっ…やっ…、外して…」
首を大きく左右に振りながら、根元を縛る榛名の手に英人の力のない指先が触れた。
このままでは放出を許されずに絶頂を迎えることになる…。
掴まれていてもビクビクと内側の蜜の線が蠢き、それは榛名の手も確実に感じているはずだ。
「あぁぁぁっっんっ…っっ!!」
内側を擦られる快感と、根元を括られながらも先端を押し広げるように弄られた穴が痛みを交えた瞬間、英人は言いようのない絶頂を迎えた。
いつも以上にキュッと閉まる後孔の中で、熱い飛沫が当たるのを感じる。
「…ンッっ…っっ!…っっ!」
「クッっ!」

榛名の放出が終わると同時に、英人の下半身を括った指が外された。幾度か扱かれた後でダラダラとした液体が零れ落ちてくる。
こんな仕打ちを受けたことなどなかった英人は、悲しさのあまり、目に涙を溜めた。
達ったはずなのに、勢いよく吹きだすことができなかったことに、中心はまだ力を込めていた。だが、身体だけは二度と立ち上がれないほどの疲労感を覚えている。

「他の男を誘ったり、名前を呼び間違えたらどうなるのか良く身体に覚え込ませておけ。おまえが誘った分はきっちり返してもらうからな」

自分の浅ましさをこの時ほど呪ったことはなかった…。

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R終わんない…汗汗(>_<;)
超、淡白そうな榛名氏なのに、どっか目覚めちゃったんですかね…
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淋しい夜に泣く声 14
2009-09-15-Tue  CATEGORY: 淋しい夜
泣きじゃくる英人が力なく「もういい…」とそれ以上の行為を拒否すれば、榛名は無体を強いることはなかった。
威圧的な態度で英人を捩じ伏せようとするのに、全く反対の優しさを見せる。その優しさが傷ついた英人の心の隙間にしっかりと入り込んでくる。
英人はこの男が自分をどうしたいのか全く分からなかった。道具のように使い捨てるのであれば、手心など加えてくれなくていい。

その後、英人は泣き疲れていつの間にか眠りについてしまった。
朝目覚めた時にはすでに榛名の姿はなく、また汚れたはずの身体も綺麗にされていた。最後の処理までしてくれたのは榛名だろう。
どこまでみっともない姿を晒したのかと、英人の心の中は羞恥心でいっぱいだった。次にどんな顔をして合えばいいのかと焦りも生まれる。

ベッドの端に置かれていたバスロープを纏いリビングに出てみれば、昨夜はあったはずの榛名が手にしていた書類や衣類など一式が全て片づけられ、ここに榛名がいたという痕跡が何一つなかった。
唯一、自分が着ていた服と一緒に榛名と野崎の名刺があって、それだけが昨夜の話が嘘ではなかったと思わせるものだった。


部屋に入って10日ほどが経とうとしていた。
最初の2、3日は、着替えを取りに戻るとか、描くための材料を揃えるとか、理由をつけてホテルの部屋を出させてもらえたが、それでもアパートで生活をすることの許可は下りなかった。
榛名は英人の為に使う金銭に糸目を付けなかった。
ホテルの一室をアトリエの代わりに使わせるというのだから、それだけでも充分な無駄遣いだろうと思う。
身につけるものだって本当ならアパートに取りに行かなくても済むほど与えられていた。部屋から出る時にはイタリアブランドなどで揃えられた服を着ることはあっても、部屋の中では着なれた今までの安物が身体にあっていた。

一度描き始めてしまえば、思いのほか作業に集中する自分がいた。寝食を忘れるほど没頭する時もあり、榛名や野崎を心配させたこともある。久し振りに描く世界は想像力に溢れ、楽しいとすら感じられた。
何枚ものラフスケッチが出来上がり、仕事が終わった後たまに榛名が顔を出してそれらを眺めていく。
あの夜以来、榛名と関係を持つこともなかったし、理不尽な態度も取られなかった。どちらかといえば温厚な面が見えるほどで、最初の時の印象とはだいぶ変わってきている。
それでも仕事帰りの姿は、あまりにもきっちりしすぎていて、誰をも圧倒する鋭さを備えた雰囲気には近寄りがたさがあった。

ある時、いつものように夜に顔を見せた榛名が翌日のことを聞いてきた。
「明日は時間が取れるか? 」
デスクの上に投げ出されていたラフスケッチを数枚手にしながら、その場に腰かけた榛名は、画材の前に座った英人の背中に声をかける。
英人は何事かと振り返った。視線を合わせた瞬間に、ドキリとした。
いつの間にか無造作に崩された前髪と緩められたネクタイ。たったそれだけで、この部屋に入ってきた時の威圧感は薄れている。このガラリと変わる雰囲気には改めて驚かされるものがあった。
立ち寄った榛名がこうして英人の前で自分を着崩したことなどなかったから、どうしたのかと思ったくらいだ。

「あ、明日?」
「おまえに会わせたい人がいるんだ。ここに連れてきてもいいんだが…。どうせなら外で食事でもしよう」
「は、い…」
今の英人に予定があるわけがない。聞くだけ野暮だと内心で思いながら、会わせたい人とは誰なのだろうと疑問が湧いた。
この部屋に入って以来、榛名は極力英人に外部との連絡を絶たせてきた。元々人付き合いが広いわけではなかったから、一部の友達と連絡を取り合うくらいで、外出して誰かに会うなどということはしていない。友人との会話の中でも榛名の名前を漏らすことは一切許されていなかった。
榛名グループに関するCM類は専門の会社が存在していて、そこが統括しているらしく、他企業に依頼することはまずないそうだ。いつ情報が漏れるとも分からないこの世の中で、無関係の英人を起用することが危険な賭けになることを榛名自身も承知している。
そこまでして手に入れたい価値が自分にあるとは到底思えなかったが、巡ってきたチャンスをふいにする気も英人にはなかった。どうせやさぐれたような人生だったのだ。たとえ夢でもすがってみたい気持ちがある。

守られていると分かる自分を、この現状下で会わせたいという人間がいかなる存在のものなのか、今の英人には想像もつかない。
「明日の夕方、野崎を迎えに寄越す」
詳しいことなど何一つ言わずに、榛名は部屋を出ていった。

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うちのお話はどうしてこうも展開なく進まないんだろう…
文章力の無さに呆れかえりつつ日々を送っております。
お付き合いくださっている方、本当に感謝しております。
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