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BLの丘
ただそこにいて 65
2011-10-28-Fri  CATEGORY: ただそこにいて
ボスンと再びシーツの上に寝転がってしまった俊輔に、吉賀が疑問の視線を投げて寄越す。
「『初めて』って…、だってあの人と…」
口にしたくない内容であるはずなのに、聞いてしまうのは、はっきりさせておきたいと思う部分があるからだろう。
伊佐との関係を問い詰められるのは正直辛いことでもあったが、俊輔としても吉賀が一番なのだという事実は伝えておきたい。
俊輔はどうにかこうにか体を横向きにさせ、半分体を隠すように小さくなった。
吉賀が四つん這いになる姿勢で俊輔を覗きこんでくる。
「あ…、と…。伊佐さんとは、…その、…触られても大丈夫かの、…確認?みたいなもので…」
「何、それ」
「こ、この前、吉賀とこうなりかけて、…でも俺、ダメだったじゃん。それで、吉賀に嫌われるんじゃないかって焦って、…そしたら伊佐さんが…」
「『確認』って、触っただけってこと?」
「…ま、まぁ…、そんな、とこ…」
恥ずかしさに視線を伏せるものの、吉賀は正面から切り込んでくる。
『触っただけ』がどこまで通用するのかはまた疑問な話だが…。
束の間黙ってしまった吉賀に、俊輔は途端に不安になる。
何かを考えているようでもあり、ますます眉間の皺が濃くなっていくのは見るに堪えかねられた。
言い訳をつけたところで、先までの行為で伊佐と何もなかったというのは誤魔化せるものじゃないはずだった。

「あのさ…」
しばらく無言の時間が流れて、先に口を開いたのは吉賀のほう。
俊輔は視線を上げられずに体を丸める。
「もう、今後、このこと絶対に話に出さないけど、一つだけ教えてよ。俊輔はあの人と繋がったわけじゃないんだ?」
低い声でありながらはっきりと聞こえる言葉。
手を伸ばされ脇腹から尻へと向かって掌が這う。
悔しくても過ぎた過去はどうしようもなく、その原因に自分が絡んでいれば強くも出られないといった態度か…。
真実を知り、全てを水に流そうとする吉賀の気持ちが伝わってくるようで、俊輔も頷いた。
「…伊佐さん…、脅えまくる俺に、『気持ちいいものなんだって知って』って…。それを吉賀と一緒に感じてって言ってくれて…」
俊輔の台詞の終わりと共に、吉賀から盛大な溜め息が落ちてきた。
多少の知識があれば、俊輔と伊佐がどんな行為で済まされたのか理解できるのだろうか。
「俺…、ガキだガキだって自分でもよーく分かってるつもりだったけど…。…ごめんな…。そこまでしてくれたんだ…って思うことにする」
俊輔に覆いかぶさってきた吉賀がこめかみに唇を落とした。
一度離れていた温もりが肌を包んでくる。
「これ以上何も言わないから…。俊輔の『初めて』をもらえたんだ…」
後悔するところはあったとしても、切り替えの良さで前向きに考えてくれるのはありがたいことだった。
「ん…」
首を傾けて吉賀の唇を受け入れる。
ミシミシという体の辛さはあるけれど、味わえた感動は何にも代えがたい。
口腔内を貪られ、また体が熱くなりそうになる。
それは吉賀も同じようだったが、体の負担は大きかった。
少しの身じろぎで悲鳴のような声が上がってしまう。
「…っ!」
強張る俊輔を感じるのか吉賀が身をあげた。
「大丈夫?」
「ぅん…。…とりあえず、これ、なんとかしないと…」
ベタベタの体に視線を落としてこの先をどうしようかと考える。しかし俊輔は動けそうにない。
疲れもあったし安心もしたし、できることなら早目に休みたかった。
「あ、風呂ね。いいよ、連れてってやるよ」
「え、だって狭くて…」
「どうにかなるだろ。ほら、掴まれって」
ベッドから下りた吉賀が俊輔の腕を引いた。首に伸ばされて脇の下と膝裏に腕が入り込んでくる。
「ちよっ…?!ま、まさかこのまま?!」
「だって洗うのに着る必要、ないだろう」
「そ、そうだけど…」
剥き出しのまま、隠す術を持たないのは何とも落ち着かない。堂々たる態度もいかがなものなのか…。
ひょいっと抱きあげられて、狭い寮の部屋はすぐに浴室へと辿り着く。
同じ造り、とはいっても、普段は自分の部屋で入浴を済ませてしまうことばかりだったから、吉賀の部屋の浴室に入るのは初めてのことだった。
揃えられた備品になんとなく目がいってしまう。
案の定、二人が洗い場に入れば窮屈感がある。
それでもシャワーも浴びられないよりマシだった。
吉賀は俊輔を支えるように立たせて、泡立てたスポンジで洗ってくれる。立ったことで体内に残っていた精子がどろっと流れだしてぶるっと震えた。
泡に隠れて見られなかったのは良かったかもしれない。
洗ってもらうのも恥ずかしいことであったけれど、少し動けば軋む体では、自分で何かをしようという気が削がれてしまった。
また、吉賀がやりたがっているようだったから、ここは大人しく身を任せた方がいいとも思えてくる。
二人して体の汚れを落とし、今度はバスタオルにくるまれてベッドまで戻った。
汚れたシーツを剥がした吉賀が、「今日、このままでもいい?」と取りかえることの面倒くささを聞いてくる。
俊輔も横になりたかったから素直に頷いた。
狭いベッドで寄り添って眠る…。それは俊輔にとって、久し振りに感じた人肌でひどく安心できるものだった。

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コメント

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コメントharu | URL | 2011-10-28-Fri 19:37 [編集]
吉賀一安心ですかね?w
でも、伊佐さんの忍耐力もすごいですよね!
伊佐さんの忍耐に勝てる相手もいつか出たら それはそれで面白そうですよね
この話では大人の役割でしたから(笑)


そろそろ終わりに向けていくのでしょうか?
最後まで楽しみにしております><
Re: タイトルなし
コメントたつみきえ | URL | 2011-10-28-Fri 21:02 [編集]
haru様
こんばんは。

> 吉賀一安心ですかね?w
> でも、伊佐さんの忍耐力もすごいですよね!
> 伊佐さんの忍耐に勝てる相手もいつか出たら それはそれで面白そうですよね
> この話では大人の役割でしたから(笑)
>
> そろそろ終わりに向けていくのでしょうか?
> 最後まで楽しみにしております><

吉賀、一安心でしょうか。
俊輔から正直な意見を聞けたことだしね。
そして伊佐!!すごいですね~ ←
本当は喰いたかったんでしょうけどそこは堪えて…(爆)
伊佐の相手…。どんな人がつとめてくれるんでしょう。
(勝てる相手…。そうぞうするだけでちょっと怖かった…。いつまでたっても終わらないよ~延々えっちこーなー)

間もなく終わる方向です。
お付き合い感謝です。
コメントありがとうございました。
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