2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
待っているよ 45
2012-07-12-Thu  CATEGORY: 待っているよ
R18 微妙に性描写があります。 閲覧にはご注意ください。

長い…(ボソ)


声を抑える必要のない、この部屋が余計に筑穂を奔放にしてくれた。
胎内に収まる福智の灼熱が、ビクビクと何度も脈を打つのを、肉壁が直に感じていた。
「あぁぁっ、…っ、…ふ…っ」
硬直する筑穂の体を、片膝から手を外した福智の掌が、隅々までなするように撫で上げる。
いきなり最奥まで突き進んでしまった苦痛を、福智も承知してくれているようで、宥めてくれようとする仕草だった。
「筑穂、悪い…。でも俺、修行僧じゃないんだよ…。我慢できないものはできないって言う…」
福智が筑穂に向けてくる欲望の深さのようなものが漂ってくる。
自分を求めてくれる愛情の強さを感じれば、やはり安心して甘えることができた。
突然押し込められた苦しさはあったけれど、充足感は半端ない。
ずっと待ったから…という結果もあるのだろうか…。
欲しかったなにもかもを、的確な判断で満足させてくれる人…。
こんな人は、福智以外に感じられることはないだろう。

手を伸ばして福智の唇を求める。
そんな筑穂の仕草に、また苦笑いが浮かんだ。
「…っくそっ…!!俺、もう、どんだけ筑穂に翻弄されればいいのよっ」
やけっぱちに呟かれた声でも、嬉しそうな雰囲気が漂う。
それから待たせることなく、激しい勢いで唇を塞いでくれた。
固まった体をほぐすように…。堪えていた愛情を確かな方法で注ぎこむように…。

ズクズクと蠢く筑穂の肉筒の中で、早々にでも動きたいと訴える福智の熱棒が、また一回り大きくなった。
「ん…っ」
まともな呼吸もできない苦しさのなか、大きく酸素を求めて唇を離そうとする。
それと同時に福智の腰が回るように動いた。
「はぁぁっっ…っ」
内壁を擦られる感触に大きな吐息が零れる。
痛みや苦しみは特に感じられない。
ただ実感できることは、大きな腕が筑穂を包んでくれていることと、筑穂が福智を包んでいること。
お互いがその温かみを感じて、無言の中でも幸せを満喫している…。言葉がなくても通じるものがあると…。
続きを促して動き出す。
黙っていても分かってくれる、意思の疎通が、これほど嬉しいこととは…。
まだまだ初心者、恥ずかしいことには慣れない筑穂だからなのか、強引に進められることで、相手の意向という言い訳ができていた。
特に恥ずかしい態度にでなくてもいいのだと…。
ただ、さりげない仕草で誘っていると、筑穂が気付いていないのが、福智の最大の悩みになるのだが…。

緩やかな抽挿から、徐々に動きを速める福智の動きに、自然と筑穂は合わせていっていた。
求めたものを逃がさないように、福智の腰に両脚を絡め、もっと最奥を強請るように首筋に抱きつく。
一度でも味わった、ただ前を弄るだけではなく、奥から与えられる快楽を、自然と筑穂は記憶して続きを願っていた。
こればかりは福智としか味わえない快楽…。
自分ではできないことだからこそ…、体が疼き、毎晩のように思い出しては悶々と過ごすことになったこと…。
一人で処理できることだと知っていたなら…、あそこまで悶えることはないだろう。
だが、”ふたり一緒”だから、一人で処理する時とは違って、その後に感じる虚しさもない。

一度目は二人ともあっという間に弾け飛んだ。
誰もいない、自分たちだけの空間というものが、本能のままに動かしてくれる。
動物的のようだが、それも一つの性的な喜びだと筑穂の脳裏を過った。
まだ、何も知らない未熟さがあるからだろうか…。
単純に、この空間が、福智と一番深く味わえるようで、嬉しかった。

一呼吸置いてから、まだ満足いかないという態度は、お互いにはびこっていた。
燻っていた時間が長かったからだろうか…。たった今が”楽しむ”より、あっさりと欲望を吐き出すことだけに集中してしまったからだろうか。
まだ、力をつけたままの福智が、抜け落ちることもなく収まっている。
もっとふたりの体温を感じられる時間が欲しい…。
筑穂の願いを思うのか、それとも福智も同じ考えなのか…。

二度目に腰を揺らされては、白濁を零した後の敏感な肌がすぐに反応を示す。
「あ…、んっ、福智…」
「すっげー、可愛い声♪…やっぱ、これ、うちじゃ聞けないし…。筑穂、筑穂っ、今度っから『深夜まで残業デー』作ろうっ」
この動きの中で、揺らされたのか頷かされたのかは疑問だった。
『ノー残業デー』という言葉は散々聞いたが、福智の提案は一般的に認められないだろう…。
だけど、たび重なる快楽を引き出してくれることに、そんな時間があってもいいのかな…と洗脳されていく。
それこそ、弟ふたりを放置しても大丈夫なのだと分かる環境作りができたなら…。
自分のために、喜びのために、使える時間…。


指定された”休憩時間”というものを目一杯使いこんで、ガラス張りのバスルームでふたりして慌ただしくシャワーを浴びて…。
「次は”お風呂えっち”しよう」などという福智の台詞をさらりと流し…。
福智の脳内にはどんな”ラブラブ空間”が浮かんでいるのか…。
それにしても広いお風呂だ…などと思ったのは内緒だった。
今の自宅では、大人の二人が同時に入れる余裕などない。
こんな遊び方(?)もあるのかと、さりげなく教えられた気分だった。

夕食を取る間もなく没頭した筑穂と福智は、帰宅するなり半ば仁王立ちになった穂波に出迎えられた。
途端に居辛さを感じる筑穂とは異なり、福智は「あとはやるぞ」とその場から穂波を追い出そうとする。
それにも不機嫌な様子で、ほとんど福智を無視した形で筑穂だけを見てくる。
「兄貴、残業になるっていうし…。簡単に作れるロールキャベツっていうの、教えてもらって作っといた…」
「ロールキャベツっ?!」
穂波から繰り出される珍しい品目に筑穂は目を瞠った。
嘉穂と穂波の二人だけでどうにか食べておけと、過去に伝えたやりとりのなか、自分の分まで用意されたことは、ほぼないと言っていい。
当然同じ状況に出迎えられると思っていたのに…。
穂波の台詞は、”待っていた”というものだ。
それを知れば、自分本位な”残業”をしていたことの後ろめたさが体中を占めていく。

慌てて台所に駆け込めば、鍋の中に、トマトソースで煮込まれたキャベツの葉に包まれたものが三個ある。
こんなものもできるようになったんだ…。嬉しさなのか、淋しさなのか…。
残りが少ないとは、嘉穂に食い尽された証拠であり、わざわざ取っておいてもらった証でもある。
穂波にしてみたら、作った味を確かめてほしかったのだろう。
その待っていた時間を思うと、自分なりに過ごしてしまった時間のことを、少しだけ後悔した。
隣から一緒に覗きこんだ福智が、溜め息混じりの声を吐き出す。
「これさ…。どう見たって、筑穂の分だけだろ…」
「福智さん、一個の半分食えばいいだろっ。他にもっと美味いもの食ってそうだしっ」
どこか苛立ったような穂波の台詞に、わざわざ作ってくれた感謝も浮かびながら、「そんな言い方…」と嗜めた。
一個の半分…って、一個にも満たないってことかよ…。
一日中一緒にいたが、福智が特別美味しそうなものを食べていた気配は見当たらなかった。
でも福智は分かるらしい。
「あぁ、半分でもいただけるところがねぇ…。ありがたいですけどぉ」
「今度っから、”残業”の日は自分の分だけ、コンビニ弁当でも買ってこいよっ」
あきらかに、兄の分は面倒みても同居人は"他人"。
そんな穂波にチクリと刺さるものがある。
「あんまり”意地悪”すると、協力、しねぇからな」

福智のチクリとした一言に途端に黙った穂波だ。
どんな影の約束があるのだか…と、今更ながらに心配になる。

「兄貴、温め直しておいてやるから。着替えてくれば?」
「あ、いいよ…。穂波こそ、勉強、あるだろ…」
「残業の時は何時になるか、ちゃんと言ってよ…。不安になる…」
「あぁ、ごめん…」
この場で、福智を無視したような会話に、気を使うのか福智は入り込んでこない。
そして何故だか穂波も台所から動かなかった。

さすがに、本物の”残業”ではないだけに、後ろめたさのほうが大きかった。
これまで散々注意したのは筑穂のほうだったのに、肝心なところで抜け落ちていた。
福智の存在があるから、今では少しだけ安心もあるのかもしれないが…。
心配をかけた、という点では変わらない。
寝室に福智とふたり、着替えに入れば、福智が盛大な溜め息を零した。

「アイツ…、さっさと別居させないと、俺、殺されそうだわ…」
「は?!」
本気で言っているのか、冗談で言っているのか…。
意味が分からなく聞き返せば、「筑穂、本当に”お兄ちゃん”なんだなぁ」と改めて、しみじみと言ってくれた。
ますます意味の分からない筑穂は瞬きを繰り返す。
「ついでに、筑穂の取り合いで戦争になるかも。…筑穂が”特別”ってことだよ。弟が兄を奪われた恨み、ビシバシ発してるじゃん。それがアイツにやる気を出させてもいるんだろうけどさ」
ロールキャベツが全てを表す…といった感じだ。
いいという、意味も含めて…。
もちろん喜ばしい出来事の一つになっているけれど。
今まで見たこともないものを作ろうという意思を持たせたのは…。
褒められたい証拠か、福智とは違うのだと気付かせたいものなのか…

冗談のように軽く言われたせいだろうか。
ますます理解不能の状況に筑穂は陥った。
だって穂波は、一緒に住みたい…とまで言い出した人間がいるだろう。
それは筑穂が福智に感じたことと変わらないのではないかと…。
“奪う”の意味は、確実に違っている…。
だけど福智の中ではなにやら思うところがあるようだった。

恋人と家族…。それはまた違うものになるのだというように…。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ポチってしていただけると嬉しいです(///∇//)
関連記事
トラックバック0 コメント4
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
No title
コメントちー | URL | 2012-07-12-Thu 04:12 [編集]
おはようございます。
兄ちゃん、フクたん、大人の時間を楽しんだご様子。
良かった良かった。

ホナ、可愛いね。あんな事してもやっぱり兄ちゃんは兄ちゃん。フクちゃんと言えども面白くないよね。
残業の中身気づいてるしね。
フクちゃん対ホナ。それはそれで面白いだろうな。


「もしもしー。あ、先輩?え?ネットの料金?無料ですって。自分のスマホは使ってないですよ。あ、隊長持ちに?なんだー、早く言ってくださいよーーー。でも、復帰されたばかりで大丈夫なんですか?あ、ナツメロが・・・でも、ちーホントはと・・・一家が好きなんです!可愛い子がねー・・・・長々長々でーーー。あれ、切れてる」
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-12-Thu 07:25 [編集]
ちー様
おはようございます。

> おはようございます。
> 兄ちゃん、フクたん、大人の時間を楽しんだご様子。
> 良かった良かった。

思いっきり楽しみました。
時にはこういう時間も必要ですね。
子供には見せられないナントカ…。

> ホナ、可愛いね。あんな事してもやっぱり兄ちゃんは兄ちゃん。フクちゃんと言えども面白くないよね。
> 残業の中身気づいてるしね。
> フクちゃん対ホナ。それはそれで面白いだろうな。

家庭内争奪戦(爆)
ブラコン弟、分かってはいても納得まではできないのか。
小さな(?)火花が飛び散っております。
"お兄ちゃんは俺のもの"みたいな、何かがあるんでしょうか。
でもそれすらも温かく見守ってくれるフクちゃんなのかもね。

> 「もしもしー。あ、先輩?え?ネットの料金?無料ですって。自分のスマホは使ってないですよ。あ、隊長持ちに?なんだー、早く言ってくださいよーーー。でも、復帰されたばかりで大丈夫なんですか?あ、ナツメロが・・・でも、ちーホントはと・・・一家が好きなんです!可愛い子がねー・・・・長々長々でーーー。あれ、切れてる」

ネットは無料なのか…。
時代の流れなんですね~。
お金かかっていないところはホッと一安心です。
海外でネットカフェを使った時、結構いい金額を払った覚えがありますが…。
隊長がおごってくれるなら、使いたい放題コースを選びますよね~♪
ナツメロより一家なのかφ(..)メモメモ
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-07-12-Thu 10:23 [編集]
「筑穂と~福智の~深夜まで~残業デー♪」★'.・.LOVE~(^▽^(^▽^*)~LOVE.・.・:☆
2人が、程よい疲れで上機嫌で帰ってみれば 待っていたのは・・・
オカンムリの穂波と 温かい手料理♪

浮羽の存在で ブラコンから卒業か!?と、思ってましたが、それとこれとは 別のようですね~(苦笑)
まぁ 穂波も所詮 まだ高校生の(中途半端)ガキってことか。

穂波の複雑なこの気持ち、筑穂には分からないだろうなぁ~

『諸君!長い間 心配をかけたな。』
「隊長!もう大丈夫なんですか?」
「隊長!お帰りなさい!」
「隊長~嬉しいっす~」
『う…諸君、ありがとうっ♪で、ちー隊員は?』
「…べ・別の任務を遂行中…です!」
『そ・そうか~… それでは、諸君達も引き続き任務遂行だ!』
「「「(`^´ゝラジャー!」」」

居なかったら それはそれで淋しいってか?
|壁| ̄ー ̄)ニヤリ...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-12-Thu 12:04 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 「筑穂と~福智の~深夜まで~残業デー♪」★'.・.LOVE~(^▽^(^▽^*)~LOVE.・.・:☆
> 2人が、程よい疲れで上機嫌で帰ってみれば 待っていたのは・・・
> オカンムリの穂波と 温かい手料理♪

ちょっと立場なしの筑穂でしたね。
見破られているだけにチクチクと後ろめたさに覆われています。
ホントに"深夜"(寝るまで待つ)デートしないとかなぁ…。
それでも待たれていたら…。開き直って朝帰り?!

> 浮羽の存在で ブラコンから卒業か!?と、思ってましたが、それとこれとは 別のようですね~(苦笑)
> まぁ 穂波も所詮 まだ高校生の(中途半端)ガキってことか。
>
> 穂波の複雑なこの気持ち、筑穂には分からないだろうなぁ~

まだまだお兄ちゃんに甘えたい(?)お年頃なんですね~。
手に入れたものと、失っていくものは違うのかもしれないです。
まぁ、鈍感な筑穂には、弟心は分からないでしょうね。
代わりに気づいているのが福智ですが。

> 『諸君!長い間 心配をかけたな。』
> 「隊長!もう大丈夫なんですか?」
> 「隊長!お帰りなさい!」
> 「隊長~嬉しいっす~」
> 『う…諸君、ありがとうっ♪で、ちー隊員は?』
> 「…べ・別の任務を遂行中…です!」
> 『そ・そうか~… それでは、諸君達も引き続き任務遂行だ!』
> 「「「(`^´ゝラジャー!」」」
>
> 居なかったら それはそれで淋しいってか?
> |壁| ̄ー ̄)ニヤリ...byebye☆

隊長~、おかえり~っ。
でもね、なんだか、あと一話で終わるらしいよ…。
ちー隊員も特別任務で、イケメン探ししているしね~。
次の任務もあるのかなぁ。(どこまで登場する、隊長と部隊?!)
追いだした(?)家政腐さんも淋しがっているのか…。
さ、淋しがって…???ニヤリって…。
コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2024/05 >>
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -


Copyright © 2024 BLの丘. all rights reserved.