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BLの丘
晴れ時々雨、また土砂降り 1
2012-07-24-Tue  CATEGORY: 晴れ時々
リクエスト企画です。
キリ番様、素晴らしい提案、ありがとうございました。
空っぽの頭が、少しずつ動き出します。
頂いたものは、神戸と日野の…なにやらアヤシイ大人の関係…というか、メロメロにされちゃう大人というか…。
ご希望通りのものが書ける自信はまったくありませんが…。
端っこでも楽しんでもらえたらいいです。

(つか、あちこち、風呂敷、広げすぎだよね…。汗)




神戸長流(かんべ たける)が経営する『想―sou―』というバーは、常連客でそこそこ繁盛している。
売り上げを全く気にしないことに、バーテンダーの日野尚治(ひの しょうじ)は呆れながらも、好き放題やらせてくれていると満足気味だ。
あえて言葉にしなくても通じてしまう意思の疎通があることに、長流は影ながら微笑んでいた。

自分の店…とまでは言わせないけれど、その昔知り合った仲間のような人たちを店によんでいることは、長流も知っていた。
そうやって客足が増えてくれるのは嬉しいことでもあったのだが…。

過去のゲイバーに勤めていた時には、まったく男に興味を示さなかったはずの尚治が、やたらと気にかける人がいると思うのは勝手な思い込みだろうか…。
単純に売り上げを望んで…、昔話を懐かしんで…、その程度に思えないのは、長流の嫉妬なのかもしれない。
だけど、そんなものを表立って表せるはずがなかった。

いつものように、カウンターの内席に収まって、来る客、尚治が交わす客とのやり取りを耳に収める。
尚治が一切隠さず、この店の中で伸び伸びとやってくれることは、長流にとっても嬉しい出来事だった。
どこか自分というものを隠して、人に気遣うばかりの性格を良く知っていた。
育った環境が、その気遣いを生むのだろうか。
それらから解放してあげること…。
自分の前で見せてくれる本能のようなものに、長流も安堵するところがある。
生かしているのは自分なのだ…というような、なにかなのだろうか…。

かつての良く知った友人に案内状を出していることは長流も承知していた。
嫌われることなく、お互いの存在を理解し、…だからこそ晒して許せる人たちが集まってくれる。
認めてくれない人…、その線引きを尚治ははっきりと感じているのだろう。
そこには踏み込まない。教えることもない。
ましてや、自分たちの関係など…。

やってきた客に見覚えはなかった。
入口のドアの高さから身長はすぐに計れる。
たぶん、長流よりも数センチは小さいだろう。
華奢な体つきなのだとは、見慣れた榛名英人(はるなひでと)と同等ぐらいだと判断出来た。
そして歳も同じくらいだろう。だからこそ、親しさもあるのだろうか。
入ってきた途端、尚治に視線を合わせ、慣れたようにカウンター席に落ち着く。
客商売だとは分かっていても、親しげに話しかけられる姿は、気分が良い…とは到底言えない出来事になった。

「なかなか来られなかった…」
「あっちの店の客、奪うと俺も文句言われそうなんだけれどな」
苦笑で迎える台詞。
『あっちの店』とは、長年尚治が勤めたバーのことだろう。
そちらから流れてきた客は確かに多い。
それにしても、男に興味がなかったはずの尚治が、明らかに男を相手にすると思われる人間に対して親しみを見せることが、どこか信じられなかった。
そういったことは、さりげなく反らして、ノンケを貫き通してきたはずだ。
「尚治いなくなっちゃったじゃん」
「こっち、ナンパ的なのは断っているんだけど」
店の方針はそれぞれあるけれど…。
もちろん、以前の店とは違っている。
一夜にして”出会い”を容認した趣向を、この店には取り入れていなかった。
だから、今も尚治から、皮肉に似た台詞があったのだろう。

…こいつ、誰…?

不穏な空気を漂わせる気はなかったけれど…。
長流の中に湧いた疑問は音になることはなかった。
少しだけ睨み見る形になってしまったのだろうか…。
大人げないと咄嗟に長流も気付いて視線を反らす。
だけど、差し伸べられた視線の意味を、カウンターに座った男は気付いたのだろうか。
「ふんっ」となぜか、あざけ笑うような笑みが視界の隅にうつる。
「尚治の作るお酒、飲めないってさみしいんだからぁ」
舌にひっかかる…、いや、喉に絡むような発言は、明らかに尚治を狙ったものだろう。
過去から男に興味にない尚治に気付くものはないのかもしれないけれど…。
今は状況が違っていた。
自分が開発してしまったところがある。
確実に狙った対象が、男に堕ちたことを知れば、つけいる余地があると想像できるのだろう。
お互い、一夜を含め、遊んだ数は今更言いたくないほど…。いや、数え切れないほど…。
そこに”冒険心”は含まれるのだろうか…。
男にまで興味を向けられるとしたなら…。
好みはそれぞれだが、若い男が若い人間に惹かれるのは充分なほど理解できること。
それが男か女かはともかく…。

「ショウ…」
まるで二人の会話を途絶えさせるように、話しかけた長流の声は、「ちょっとまって」と客を優先させる台詞に押し留められた。
ニヤリと笑った男の顔を、絶対に忘れないと長流は思った。
無意識に対応する恋人を、初めて恨めしいと思った瞬間でもあった。

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コメント | | 2012-07-24-Tue 19:53 [編集]
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あれ?
コメントちー | URL | 2012-07-24-Tue 21:04 [編集]
日野くん?誰?ソノコ。どこの子よ?

神戸さんが、拗ねてますよ~。
もしもーし!後が怖いですよー?

キリバン踏みたかったなあ。でも、自分が来たときヤバかったのよー。
しかも、こんな素敵なリクエストは出来ない。
えー、自信あります(笑)

Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-25-Wed 06:56 [編集]
り様
おはようございます。

> リクエスト主です。
> こんなに早くに読めるなんてっ(T_T)。

素敵なリクエスト、感謝です。
人にヒントをもらわないと書けない私って…。・゚・(ノД`)・゚・。

> そうそう、これなんですよ、こんなもやもやが欲しかった!
> ショウはノンケだったから大して気に留めてなかっただけで、
> 優しいし面倒見が良いから絶対狙ってたコはいたはずっ。
> 保育士、存分に大人に妬かれて追っかけられるがいいよっ。
>
> すみません、取り乱しました・・・
> 私の妄想以上です~。続きが楽しみですっ♪

もっと取り乱してくださ~い♪
そしてプロットをくださーい(←オイ)

勢いで書き始めております。
次の展開、どうなるんでしょうねぇ。
お気に召してくださって嬉しいです。
そんなショウに狙いを定めて襲っちゃったのが長流クンでしたが…。
そういう隠れた場所まで突き詰めて読んでくださる読者様の脳内、本当にすごーいです。
全然書けていない私なんですけれどね…。
皆様に補ってもらっております。
今後もお楽しみいただけるようなものを書いていきたいです。
コメントありがとうございました。


Re: あれ?
コメントたつみきえ | URL | 2012-07-25-Wed 07:02 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 日野くん?誰?ソノコ。どこの子よ?
>
> 神戸さんが、拗ねてますよ~。
> もしもーし!後が怖いですよー?

痕が怖いよね~。
あ、後だ…。
さぁ、誰なんでしょうね。
昔の、馴染みの客ってだけなのでしょうか。

> キリバン踏みたかったなあ。でも、自分が来たときヤバかったのよー。
> しかも、こんな素敵なリクエストは出来ない。
> えー、自信あります(笑)

そんな自信持たないで~っ。
皆様の脳内、私にとって貴重なものになっております。
最近なんだかとても早くキリ番がやってくるので次のの設定を考えてしまっています。
ちー様がいらっしゃったとき、どんなヤバさだったのでしょう。
是非次、狙ってください。(←っていくつだ?!)
コメントありがとうございました。

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