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BLの丘
乱反射 21
2012-10-27-Sat  CATEGORY: 乱反射
上気した頬。湯気のたつ肌は恥ずかしそうに水滴を拭っていたが…。
いじらしさ全てが男心を刺激してくれる。
思わず誰の目にも晒させたくなく、包んでかくしてしまいたい思いが襲ってくる。
見つめている自分も何なのだが…。
あつみはひたすら若美の顔を脳内に思い浮かべて、冷静さを呼び戻した。
着替えている真室を残して、喉が渇いているであろう真室のために、自動販売機から瓶入りの牛乳を買ってやる。
脱衣所の隅に置かれた長椅子に座って待っていれば、真室が「お待たせしました~」と寄ってきた。
慌てさせているわけではないが、まだ濡れたままの髪や、上気した肌は見慣れた普段の姿よりもずっと艶っぽい。
「ちゃんと乾かさないとだぞ」
呪文のように『落ち着け、落ち着け』と内心で唱える。
ひと息ついたらドライヤーを当ててやろうと、渡した牛乳を、真室はゴクゴクと美味しそうに飲んでくれた。
…が! 口端から零す光景に、人一倍卑猥さを感じて、治めたはずのムスコが…。
零した牛乳を舌先で舐めとるか、手の甲で拭うか…。
全ての仕草が誘っているようにしか見えないのは自分の欲望の果てか…。

あつみは咄嗟に手にしていたタオルで口端を拭ってやって、妄想を脇に避ける。
「ま、真室、…ピザ決まった?」
もう話題を反らしていくしかない。
半分ほどになった瓶を両手で握って、「湯田川さんの好きなもので…」といじらしいことを口にしてくれた。
「僕、頼んだことないんです…。だからお薦めのものでいいです…」
自分では選べないのだと、その世界に面識がないのだと改めて伝えてくれる。
出されるものが全てだった真室にとって、自分で選択する意思はなかったのだろうか。
さらに分からないからこそ、選んだものであつみをがっかりさせたくないこと。
「真室が食べたいものでいいのに…」
「ぼ、僕は湯田川さんが食べたいものが知りたいです…」
上気した肌は、その台詞をもって、もっと色づいたように思えた。
話を反らしたつもりが、どうしたってあつみにとって逆効果となって表れてくる。
全ての行動がいじらしく可愛らしく、人目さえなければこの場で抱きしめて押し倒したい衝動にかられた。
必死で思い浮かべる若美の姿と、周りの状況が、どうにかあつみを押し留めてくれる。

「うん、分かった。…じゃあ、髪乾かして、帰ろうか…。飲み切れる?」
半分残った牛乳を促し、家へ帰ることをほのめかすと、うんうんと頷いて慌てたように空にした。
ここが”寛ぐ”場所ではないことを、真室も気付いたらしい。
慌てさせるようで後ろめたかったのだが…。ここが自宅とは違うところでもある。

家に戻り、約束通り、レンジでチンの冷凍チャーハンを作ることにした。
その前に、やはり真室の期待するデリバリーのピザを注文する。一枚のピザで複数の味が味わえると教えると、あつみに任せるだけでなく、真室も参加してきた。
やはり興味を注がれるものはあるのだろう。
ついでと言わんばかりにサイドメニューのフライとサラダをオーダーしていたのだが。
「すごいですねぇ。頼んだら届けてくれるんだぁ」
「まぁ、それが商売だしね」
「うち、ピザもパンも、お兄ちゃんに言うと作られちゃうし…」
「はぁっ?!作るの?!」
そんな簡単に作れてしまうものなのかと疑問も湧くところだった。
いとも簡単なように言ってくれるところがまた素晴らしい。
どうして真室が市販品…、冷凍食品などに興味を示すのか、改めて分かった気がした。
たぶん、他人の味…というか、目を惹かれるものがこの世にはたくさんあるのだ。
CMなどで見るだけのもの。
しかし…。自分との共同生活など、こんな展開ばかりだろう。
そこは、兄上に、「なにを食わせているんだ」と文句をいわれそうなところなのだろうが…。
あたりまえだが、一層の不安が増す。
一緒に住み始めたのなら…。兄の存在があったのなら…。
生活はどう変わっていくのか、期待と恐れ多いものが錯綜した。

酒の味は分からないと言っていた真室だが、気分を落ち着かせるためもあるのか、買ってきたビールを要求してきた。
照れ隠しのようなものもあるのだろう。
酔って少しは誤魔化したいものがある気分は、なんとなく知れてくる。
ベッドを背にして、隣に並んで座った。
クッションを当てては、ちょうどいい加減を作る。居心地の良さを覚えてくれるのは許されていることを感じるようで胸の奥が温まった。
チンしただけのチャーハンを、「美味しいっ」と目を輝かせて喜んでくれる。
家庭の味とはまた違うものがそこにはある。
さらに届けられた、熱々のピザやサイドメニューに、自分は何もしなくても食べられる状況があることに酷く感激していた。
あつみもたまにはこんな食事でもいいかな…と思えるが、やはり求めてしまうのは人の温かみだ。
先日、一品ずつ出してくれた若美の料理は、ジンとできるものがあった。
別にそれを求めて真室にモーションをかけているわけではない…。

喜んで食べてくれる姿は無邪気で微笑ましい。
小さな部屋。狭いテーブルで、乗せきれないような豪華な食事が並ぶ。…豪華とは言い難いのかもしれないけれど…。
一人ではありえない光景だった。
誰かがいる。それだけで華やかさが生まれる。
もちろん相手が真室だからこそ、感じられること…。
アルコールを含んで、また奔放になる真室がいる。
ふたりきりでいて、となりにいて…。
湯上りの温かな肌もここにあって…。
食べては伸びたチーズが、真室の唇から零れ落ちた。
ツーとつながったチーズは再び、勝手な妄想を生んでくれる。
あつみが伸ばした人差し指の先に絡めてすくったチーズを、そのすぐそばで舐めとり、またそのまま唇を寄せた。
驚いた真室も流れを感じてくる。
もう一度くちづけてくるのは真室のほう。
何もかもを受け入れ、また求めてくる人に押さえるものなどないだろう。

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コメント

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食べ頃でーすっ。
コメントちー | URL | 2012-10-27-Sat 05:11 [編集]
銭湯で牛乳。片手は腰に置いてゴクゴクっ。
でも、半分しかなのね。
男子たるもの一気に飲めっ!←誰?
けど、両手で瓶を持つマムは可愛いから許すぅ。
レンチンチャーハンやデリバリーピザを美味しい美味しいって、食べる真室はそれこそ美味しそうなんじゃ?
あっちゃんのコアツが食べたいと言ってるよ(笑)
私的には、もっと焦らして欲しいなあと思います。
お兄ちゃん、電話して?休憩中とか言ってマムに電話~。ジリジリするあっちゃん、見たいなあ。
(はい、想像しとくよ♪)


「師匠、ゲームに新しい写真追加ぁ」
「ちー、こ、これは・・・」
「お風呂上がりシリーズでーすっ」
「・・・盗撮・・・?」
「やだなあ、ちゃんと本人の許可は取ってます」
「あ、あれ?保護者達はなんで脱いでるの?」
「ちー、お気に入りは牛乳マムちゃんとプリンひなちゃん。可愛い♪」
「じゃなくって~。なんで、裸なの・・・あ、ちー、これ欲しいっ」
「だって、ちー、筋肉フェチだしー。師匠、それも良いけどこっちも良くない?」

どうやって許可を得たかは、○場カメラマンちーの秘密です。

神田川が頭の中、グルグルしてる~。ヒー(*_*)
Re: 食べ頃でーすっ。
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-27-Sat 07:20 [編集]
ちー様
おはようございます。

> 銭湯で牛乳。片手は腰に置いてゴクゴクっ。
> でも、半分しかなのね。
> 男子たるもの一気に飲めっ!←誰?
> けど、両手で瓶を持つマムは可愛いから許すぅ。
> レンチンチャーハンやデリバリーピザを美味しい美味しいって、食べる真室はそれこそ美味しそうなんじゃ?
> あっちゃんのコアツが食べたいと言ってるよ(笑)
> 私的には、もっと焦らして欲しいなあと思います。
> お兄ちゃん、電話して?休憩中とか言ってマムに電話~。ジリジリするあっちゃん、見たいなあ。
> (はい、想像しとくよ♪)

お得意の妄想を(爆)
美味しそうに食べる真室に、とうとうあつみが食いつきました。
ご飯は腹八分目がちょうどいい。
ムスコはもう飢えてて植えたくて…の状態ですから。
今月いっぱいで終わりにしたかったんだけれど、無理だなぁ。
焦らしている暇はないです(笑)

> 「師匠、ゲームに新しい写真追加ぁ」
> 「ちー、こ、これは・・・」
> 「お風呂上がりシリーズでーすっ」
> 「・・・盗撮・・・?」
> 「やだなあ、ちゃんと本人の許可は取ってます」
> 「あ、あれ?保護者達はなんで脱いでるの?」
> 「ちー、お気に入りは牛乳マムちゃんとプリンひなちゃん。可愛い♪」
> 「じゃなくって~。なんで、裸なの・・・あ、ちー、これ欲しいっ」
> 「だって、ちー、筋肉フェチだしー。師匠、それも良いけどこっちも良くない?」
>
> どうやって許可を得たかは、○場カメラマンちーの秘密です。
>
> 神田川が頭の中、グルグルしてる~。ヒー(*_*)

曲は頭の中をグルグルしますよね~。
ちー様、とうとう盗撮まで(/ー\*)
ジャンル分けされたのね。
温泉編? 遠足編? 色々なシーンが登場してきそうです。
プリンひな、なんだか懐かしかった…(^_^)(よく覚えてるなぁ、読者様)
コメントありがとうございました。
No title
コメントけいったん | URL | 2012-10-27-Sat 11:24 [編集]
きっと あつみ以上にマムの方が ずっと心臓バクンバクンでしょうね
ただ 何を如何していいか 分からないでしょうけど(笑)
見るモノ全てが 自分が体験した事の無いものばかりで ハイテンションになってるのが 可愛い♪

明日からは ”R”(@∇@)?

「我が友よ、とうとうシリーズものへと手を着けたのね!」
「(≧∇≦)ノ ハーイ♪」
「筋肉フェチなのね♪ 私は 鎖骨と前腕フェチ~♪」
「ホゥホゥ(o-∀-))♪」
「胸が肌蹴て鎖骨がチラリの 腕まくりしたシャツ姿なんか最高~~!ボォ--(//▽//)。o ○」
「おーい、おーい、意識が何処かに飛んで行ってるよ…ダメだ、こりゃぁ…」

きえ様は、何フェチなの?
(萌え~♡)Oo(о'¬'о)ジュルリ♪...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2012-10-27-Sat 11:56 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> きっと あつみ以上にマムの方が ずっと心臓バクンバクンでしょうね
> ただ 何を如何していいか 分からないでしょうけど(笑)
> 見るモノ全てが 自分が体験した事の無いものばかりで ハイテンションになってるのが 可愛い♪

うん、真室も精一杯で、あつみの後を追ったと思います。
初体験(?)の出来事に思考を少しばかり奪われておりますが。
それくらいが緊張をほぐすためにも、真室にとってちょうど良いのではないかと。
今回、あつみ視点なので、ちょっとばかり真室の心境が読みとりづらいところはあるかと思います。
皆様の逞しい妄想劇に感謝しています。(←)

> 明日からは ”R”(@∇@)?
>
> 「我が友よ、とうとうシリーズものへと手を着けたのね!」
> 「(≧∇≦)ノ ハーイ♪」
> 「筋肉フェチなのね♪ 私は 鎖骨と前腕フェチ~♪」
> 「ホゥホゥ(o-∀-))♪」
> 「胸が肌蹴て鎖骨がチラリの 腕まくりしたシャツ姿なんか最高~~!ボォ--(//▽//)。o ○」
> 「おーい、おーい、意識が何処かに飛んで行ってるよ…ダメだ、こりゃぁ…」
>
> きえ様は、何フェチなの?
> (萌え~♡)Oo(о'¬'о)ジュルリ♪...byebye☆

きえちんは声フェチです~♪
あと身長差♪
もちろん筋肉は大事ですよ~。
上から低い声で「おまえ、なにやってんの…」とか、ちょっと呆れられたように声掛けされたら
それだけでふにゃぁ~~~ってなってます(≧∇≦)キャー♪(←反省はしない)
けいったん様が言うシーンもいいわぁぁぁ。
皆様、いろいろなところに"萌え"を感じるのですねぇ。
コメントありがとうございました。
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