家政婦の清音が休みの日は、周防と和紀と日生と三人で外食することも多かった。
中華料理、とはいっても、近所にある、いわゆる『ラーメン屋』だ。
あまり綺麗とは言えないが、昔から営業している店で、味には定評があり、和紀も小さい頃から幾度も通っていた。
10席のカウンター席に、4人がけの可動式のテーブルが8席。
一番奥には、6人が座れる座敷が3席ある。
休日などは、家族連れやカップルであっというまに満席になってしまう。
この日は、日生の生活時間を考えても、早めに家を出た。
それより先に、周防が機転を利かせて、「座敷席をリザーブしておいてくれ」と連絡していたのだが。
常連客である周防に、できるだけのことをしてくれる店主に感謝もする。
座布団を4枚も重ねられた上に、日生は座った。
和紀が、膝の上では、万一にも汁などが飛んで火傷したら大変だからとの配慮だ。
ちょっとした『椅子』代わりになっている。
メニューを広げられて、日生は『おこさまラーメンセット』というものよりも、大きなどんぶりに盛られた写真のほうに気をとられた。
たくさんの具が乗った写真は、見るからに美味しそうなのである。
しかもラーメンセットにおもちゃも付いていたが、周防と和紀がたくさん買ってくれていたから興味がなかった。
そのうえ、デザートは大好きなプリンではなく、アイスクリームだった。
そのことに気付いた周防が、「取り分けてやればいい」と、普段の行動を振り返る。
「ひな、どれがいい?お兄ちゃんと一緒に食べようね」
種類の多さと、写真がない読めない字があることに悩んで、色々な具材で隠されている 味噌ラーメンに手をのばしかけて、エビが乗ったものを指してみた。
自分で選べることの自由も、日生を喜ばせる。
見守っていた周防は、日生の動きを見逃していない。
「味噌ラーメンと海鮮ラーメンか。味比べさせるのもいいだろう。あと、チャーハンと餃子と、…酢豚あたりにしておくか」
味噌ラーメンは和紀の大好物だったので、真っ先にそれに目を向けてくれたことは、和紀も嬉しかった。
注文を取りにきた店員に、和紀はチャーシューを二枚にしてもらうことと、コーンの大盛り、味付け卵もふたつ乗せてくれとお願いした。
その他に炒め野菜も乗っているので、一番トッピングが多く見えたのだろう。
それから次々とテーブルに届けられて、賑やかになっていく。
「ひな、餃子、先に食べていようか」
そういって、タレにつけた餃子を、日生用に用意された小さなお椀に乗せてくれる。
「焼き立てで熱々だから、半分に割って、ふーふーして・・・」と和紀はお椀の中をいじくりまわす。
半分の大きさになった餃子を、日生はフォークに刺して口に運んだ。
次の瞬間、ピリッとしたものが口の中に広がって、吐き出してしまった。
まだ熱かったのかと、水の入ったコップを持って和紀が心配したが、涙目になった日生は「からい・・・」とポツリとつぶやいて、ゴクゴクと水を飲んでいた。
「辛い?」
周防が料理の乗ったテーブルの上を眺める。
「・・・ラー油か。普段通り、合わせてしまったからな」
そこまで気が回らなかったとは、なんたる失態・・・と周防は親ながらに後悔する。
ラー油が入ったお椀をこれ以上使わせることはできず、申し訳ないと思いながら新しい器を用意してもらった。
酢豚は甘酢だから日生でも大丈夫だろう。
やがてラーメンが届くと、自分で選んだにもかかわらず、和紀の前に置かれた味噌ラーメンに視線が向かってしまった。
「ひな、麺は冷ましてあげるからね。何から食べたい?」
問われて輝かしいほどのコーンの山に指を向ける。
「まめ」
「これは、まめ じゃなくてコーンっていうの」
「こーん?おとがするの?」
「その『コンコン』じゃなくてね・・・」
和紀はできるだけスープに浸かっていない部分を選んで掬いあげてやる。
口の中でプチブチとはじけるものは、とても甘かった。
持ち上げては空気中でしばらく待機させられた麺は、日生の器に移されて、器用にも箸で短く切ってくれる。
「おにく」
「『チャーシュー』だよ」
「しゃーちゅう?」
「ちゃから始まるの。チャーシュー」
「しゃーちゅう」
この場で教えても、日生は喜んで食べるだけで、間違いには気付かなかった。
「日生、ほら、エビだ。こっちのも食べなさい」
周防からも好きなエビを中心に取り分けてもらって、日生は『中華』というものが好きになれた。
最初は辛い思いをしてしまったけれど。
ラーメンもチャーハンも酢豚も美味しかった。
日生のペースに合わせたせいか、今日のラーメンは、少しのびてしまったが、勉強させられた夕食だと、周防も和紀も感じていた。
普段の食事は清音にまかせっきりのせいか、細部にはなかなか気がまわらないものだ。
お腹がいっぱいになれば、やはりコロンとなってしまった日生で、それははしゃいだこともあったのだろう。
帰り道は、いつものごとく、和紀に大事に抱かれて帰宅した。
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ぼちってしてくれるとうれしいです。
中華料理、とはいっても、近所にある、いわゆる『ラーメン屋』だ。
あまり綺麗とは言えないが、昔から営業している店で、味には定評があり、和紀も小さい頃から幾度も通っていた。
10席のカウンター席に、4人がけの可動式のテーブルが8席。
一番奥には、6人が座れる座敷が3席ある。
休日などは、家族連れやカップルであっというまに満席になってしまう。
この日は、日生の生活時間を考えても、早めに家を出た。
それより先に、周防が機転を利かせて、「座敷席をリザーブしておいてくれ」と連絡していたのだが。
常連客である周防に、できるだけのことをしてくれる店主に感謝もする。
座布団を4枚も重ねられた上に、日生は座った。
和紀が、膝の上では、万一にも汁などが飛んで火傷したら大変だからとの配慮だ。
ちょっとした『椅子』代わりになっている。
メニューを広げられて、日生は『おこさまラーメンセット』というものよりも、大きなどんぶりに盛られた写真のほうに気をとられた。
たくさんの具が乗った写真は、見るからに美味しそうなのである。
しかもラーメンセットにおもちゃも付いていたが、周防と和紀がたくさん買ってくれていたから興味がなかった。
そのうえ、デザートは大好きなプリンではなく、アイスクリームだった。
そのことに気付いた周防が、「取り分けてやればいい」と、普段の行動を振り返る。
「ひな、どれがいい?お兄ちゃんと一緒に食べようね」
種類の多さと、写真がない読めない字があることに悩んで、色々な具材で隠されている 味噌ラーメンに手をのばしかけて、エビが乗ったものを指してみた。
自分で選べることの自由も、日生を喜ばせる。
見守っていた周防は、日生の動きを見逃していない。
「味噌ラーメンと海鮮ラーメンか。味比べさせるのもいいだろう。あと、チャーハンと餃子と、…酢豚あたりにしておくか」
味噌ラーメンは和紀の大好物だったので、真っ先にそれに目を向けてくれたことは、和紀も嬉しかった。
注文を取りにきた店員に、和紀はチャーシューを二枚にしてもらうことと、コーンの大盛り、味付け卵もふたつ乗せてくれとお願いした。
その他に炒め野菜も乗っているので、一番トッピングが多く見えたのだろう。
それから次々とテーブルに届けられて、賑やかになっていく。
「ひな、餃子、先に食べていようか」
そういって、タレにつけた餃子を、日生用に用意された小さなお椀に乗せてくれる。
「焼き立てで熱々だから、半分に割って、ふーふーして・・・」と和紀はお椀の中をいじくりまわす。
半分の大きさになった餃子を、日生はフォークに刺して口に運んだ。
次の瞬間、ピリッとしたものが口の中に広がって、吐き出してしまった。
まだ熱かったのかと、水の入ったコップを持って和紀が心配したが、涙目になった日生は「からい・・・」とポツリとつぶやいて、ゴクゴクと水を飲んでいた。
「辛い?」
周防が料理の乗ったテーブルの上を眺める。
「・・・ラー油か。普段通り、合わせてしまったからな」
そこまで気が回らなかったとは、なんたる失態・・・と周防は親ながらに後悔する。
ラー油が入ったお椀をこれ以上使わせることはできず、申し訳ないと思いながら新しい器を用意してもらった。
酢豚は甘酢だから日生でも大丈夫だろう。
やがてラーメンが届くと、自分で選んだにもかかわらず、和紀の前に置かれた味噌ラーメンに視線が向かってしまった。
「ひな、麺は冷ましてあげるからね。何から食べたい?」
問われて輝かしいほどのコーンの山に指を向ける。
「まめ」
「これは、まめ じゃなくてコーンっていうの」
「こーん?おとがするの?」
「その『コンコン』じゃなくてね・・・」
和紀はできるだけスープに浸かっていない部分を選んで掬いあげてやる。
口の中でプチブチとはじけるものは、とても甘かった。
持ち上げては空気中でしばらく待機させられた麺は、日生の器に移されて、器用にも箸で短く切ってくれる。
「おにく」
「『チャーシュー』だよ」
「しゃーちゅう?」
「ちゃから始まるの。チャーシュー」
「しゃーちゅう」
この場で教えても、日生は喜んで食べるだけで、間違いには気付かなかった。
「日生、ほら、エビだ。こっちのも食べなさい」
周防からも好きなエビを中心に取り分けてもらって、日生は『中華』というものが好きになれた。
最初は辛い思いをしてしまったけれど。
ラーメンもチャーハンも酢豚も美味しかった。
日生のペースに合わせたせいか、今日のラーメンは、少しのびてしまったが、勉強させられた夕食だと、周防も和紀も感じていた。
普段の食事は清音にまかせっきりのせいか、細部にはなかなか気がまわらないものだ。
お腹がいっぱいになれば、やはりコロンとなってしまった日生で、それははしゃいだこともあったのだろう。
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もう 何を言っても しても 何所に居ても やっぱり 可愛いなぁ
ラー油、お子ちゃま日生には まだまだ無理でしょ!
薬味と言えば 我が家の息子も ワサビ、生姜(←生姜焼きはOK)、カラシ、七味、ラー油は ダメですね。
でも 「一味」と「胡椒」だけは OKなんですよ!
もう バンバンと 入れすぎる位に 振り入れちゃうんだよね~
何で そんなに お気に入りなのか さっぱり分かりません(笑)
σ( ̄、 ̄*)ん~~ ?
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薬味と言えば 我が家の息子も ワサビ、生姜(←生姜焼きはOK)、カラシ、七味、ラー油は ダメですね。
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もう バンバンと 入れすぎる位に 振り入れちゃうんだよね~
何で そんなに お気に入りなのか さっぱり分かりません(笑)
σ( ̄、 ̄*)ん~~ ?
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