【明野視点です】
最上階から下の部屋。
親と共に住む・・・という親離れできない部分を感じながら、でもそこに落ちついたのは、この先の両親を思ってのことだった。
不要な事態は巡ってほしくないが、それぞれの年齢を考えても、すぐに駆け付けられる場所にいたい。
大月があてにならない、といってしまえばそれまでだが、これまで暮らしてきたものをみれば、"頼りがい"にはならなかった。
もう、いくつの頃からだっただろう。
韮崎との付き合いは、自然と寄りそえる温かみがあった。
彼なら、自分だけでなく、他の人間も見守り包んでくれるだろう。
人望は厚いと暮らす日々の中で感じとれていた。
だから、自分が勤めることになる会社に、一緒に入らないかと、提案したのだ。
その特別手当は群を抜き、韮崎を困惑の世界に陥らせていた。
しかし、『やる気』という野心をもった男は、見返りとして、一層の働き具合を示した。
それが、本当の意味で、明野のためだったのか、自身の実力を試したかっただけなのかは聞けないままだ。
「いつか、この会社を離れる。明野がここを見ればいい。面倒を起こしそうな大月は引き取ってやるから」
韮崎が発した声に瞠目しても、どこかで見守ってくれる安心感があった。
『会社』としての組織を引き継ぐのはまた随分先の話だ。
たとえ、失敗したとしても、"受け皿"だけは用意しておいてやると、影ながら含まされた言葉に、返せるものなどなかった。
韮崎は請け負った瞬間に、明野だけではなく、大月の未来も受け入れていたのだ。
「バカか・・・」
憎まれ口がこぼれた。
同時に抱きしめてくれる身体があった。
韮崎がどれほどの人間を抱いたのかなど、両手の指を折っても、足の指まで数えてもとてもたりない。
何もかもを知っていた。
他の人間に逃げたのは、抱きつぶしそうになって明野を傷つけたくない予防策だったのだとも。
誰を抱いていてもいい。必ず戻ってくると、その信頼があったから、許せてこれた。
大月に手を出したのは、いつまでたっても"嫉妬"の感情をみせない明野に、しびれを切らしたからなのだろう。
そこまで節操なしなのかと、罵られたかったのか・・・。
それすらも分かってはいたけれど・・・。
大人げなく、わめき散らすのもどうなのかと自制心の塊になる。
良いツラを見せるのが大人なのか。
でも、大月に、安定した相手が見えたのなら、自分の心も少しは落ちつけそうだった。
部屋に帰った。
この家は、殺風景な大月の部屋とは大きく異なって、人の息使いが聞こえる。
ソファにはいくつものクッション。ダイニングには散らかした紙類。
キッチンでは使いっぱなしのフライパンだとか。
汚れていて嫌な感じはしない。
「言えよ・・・」
韮崎のつぶやく言葉も、なんのことだかわかってしまう。
腕に抱かれて、本当の意味で自分のものなのだと知れた。
・・・もう、大月は抱かない・・・
兄弟共々、見守ってくれた存在だった。
逞しい体に腕をまわして、続きをねだる。
見上げた先に見える精悍な顔。
「ごめん、無理、させたね・・・」
「明野の望みでなきゃ聞かないさ。まぁ、大月は明野に似ていたけれどな」
「比べられると落ちつかない。どうしたって若いの、あっちだし」
「あんなガキと比べている時点でおかしい」
もうこれ以上の言葉はなくていいと、唇をふさがれる。
大月の奔放ぶりは昔から知られていたことだった。
自分の会社に呼び込むのはいい。
だけれど、その影で、問題視されるような行動は避けたかった。
抑えるための手段が韮崎だったのだが。
あまり時間をかけずに、大月はそれなりの人間をつかまえたようだった。
明野としては"またか"と思ったところがあったものの、社内の人間であることと、相手の気持ちを汲み取っては、過去とは違うことをそれとなく知る。
そのあたりは韮崎の見る目に賭けた。
人を"駒"のように使う。
韮崎に対しても、大月に対しても。
順よく、大月も勝沼を、そう、見るのだろうか。
明野が韮崎を他の人間と比べたように。
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ぽちっとしていただけると嬉しいです。
某サイトさま(里の野山に此花咲くや)で、きえちんは『ドSだ』とか言われていましたが、きえちんは、天使さまのようなあたたかいひとです。
鬼畜ぶりなんて書いたことないし―。
登場した人物はいたわっているしー。
そりゃぁ、やくざもどきに襲われた(成俊)ひともいたかもだけど
クスリ打たれてわけわかんない、な、譲原もいたかもだけど
刺されて、この世をさまよった佐貫もいたか???
死んじゃった周防と奈義は、まぁ、ともかくね。
13日は妹の誕生日です。
なーんにもできないでいるなぁ。
最上階から下の部屋。
親と共に住む・・・という親離れできない部分を感じながら、でもそこに落ちついたのは、この先の両親を思ってのことだった。
不要な事態は巡ってほしくないが、それぞれの年齢を考えても、すぐに駆け付けられる場所にいたい。
大月があてにならない、といってしまえばそれまでだが、これまで暮らしてきたものをみれば、"頼りがい"にはならなかった。
もう、いくつの頃からだっただろう。
韮崎との付き合いは、自然と寄りそえる温かみがあった。
彼なら、自分だけでなく、他の人間も見守り包んでくれるだろう。
人望は厚いと暮らす日々の中で感じとれていた。
だから、自分が勤めることになる会社に、一緒に入らないかと、提案したのだ。
その特別手当は群を抜き、韮崎を困惑の世界に陥らせていた。
しかし、『やる気』という野心をもった男は、見返りとして、一層の働き具合を示した。
それが、本当の意味で、明野のためだったのか、自身の実力を試したかっただけなのかは聞けないままだ。
「いつか、この会社を離れる。明野がここを見ればいい。面倒を起こしそうな大月は引き取ってやるから」
韮崎が発した声に瞠目しても、どこかで見守ってくれる安心感があった。
『会社』としての組織を引き継ぐのはまた随分先の話だ。
たとえ、失敗したとしても、"受け皿"だけは用意しておいてやると、影ながら含まされた言葉に、返せるものなどなかった。
韮崎は請け負った瞬間に、明野だけではなく、大月の未来も受け入れていたのだ。
「バカか・・・」
憎まれ口がこぼれた。
同時に抱きしめてくれる身体があった。
韮崎がどれほどの人間を抱いたのかなど、両手の指を折っても、足の指まで数えてもとてもたりない。
何もかもを知っていた。
他の人間に逃げたのは、抱きつぶしそうになって明野を傷つけたくない予防策だったのだとも。
誰を抱いていてもいい。必ず戻ってくると、その信頼があったから、許せてこれた。
大月に手を出したのは、いつまでたっても"嫉妬"の感情をみせない明野に、しびれを切らしたからなのだろう。
そこまで節操なしなのかと、罵られたかったのか・・・。
それすらも分かってはいたけれど・・・。
大人げなく、わめき散らすのもどうなのかと自制心の塊になる。
良いツラを見せるのが大人なのか。
でも、大月に、安定した相手が見えたのなら、自分の心も少しは落ちつけそうだった。
部屋に帰った。
この家は、殺風景な大月の部屋とは大きく異なって、人の息使いが聞こえる。
ソファにはいくつものクッション。ダイニングには散らかした紙類。
キッチンでは使いっぱなしのフライパンだとか。
汚れていて嫌な感じはしない。
「言えよ・・・」
韮崎のつぶやく言葉も、なんのことだかわかってしまう。
腕に抱かれて、本当の意味で自分のものなのだと知れた。
・・・もう、大月は抱かない・・・
兄弟共々、見守ってくれた存在だった。
逞しい体に腕をまわして、続きをねだる。
見上げた先に見える精悍な顔。
「ごめん、無理、させたね・・・」
「明野の望みでなきゃ聞かないさ。まぁ、大月は明野に似ていたけれどな」
「比べられると落ちつかない。どうしたって若いの、あっちだし」
「あんなガキと比べている時点でおかしい」
もうこれ以上の言葉はなくていいと、唇をふさがれる。
大月の奔放ぶりは昔から知られていたことだった。
自分の会社に呼び込むのはいい。
だけれど、その影で、問題視されるような行動は避けたかった。
抑えるための手段が韮崎だったのだが。
あまり時間をかけずに、大月はそれなりの人間をつかまえたようだった。
明野としては"またか"と思ったところがあったものの、社内の人間であることと、相手の気持ちを汲み取っては、過去とは違うことをそれとなく知る。
そのあたりは韮崎の見る目に賭けた。
人を"駒"のように使う。
韮崎に対しても、大月に対しても。
順よく、大月も勝沼を、そう、見るのだろうか。
明野が韮崎を他の人間と比べたように。
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某サイトさま(里の野山に此花咲くや)で、きえちんは『ドSだ』とか言われていましたが、きえちんは、天使さまのようなあたたかいひとです。
鬼畜ぶりなんて書いたことないし―。
登場した人物はいたわっているしー。
そりゃぁ、やくざもどきに襲われた(成俊)ひともいたかもだけど
クスリ打たれてわけわかんない、な、譲原もいたかもだけど
刺されて、この世をさまよった佐貫もいたか???
死んじゃった周防と奈義は、まぁ、ともかくね。
13日は妹の誕生日です。
なーんにもできないでいるなぁ。
たつみきえ | URL | 2013-05-12-Sun 13:07 [編集]
またまちがえてupしたきえちん・・・
もう何もいわぬーっっっ
(ノд-。)クスン
(つか、今頃気付くなよーーーっっっ)
もう何もいわぬーっっっ
(ノд-。)クスン
(つか、今頃気付くなよーーーっっっ)
あら、まちがえてupだったんですね
ちょっと早く読ませていただきました
消沈したきえさまにご褒美を
(*^・^)-☆Chu!!
えー!?ご褒美じゃなくて罰だなんて言わないでくださいね
韮崎×明野は不思議なカップルです
でも二人とも大月がとってもかわいいのでしょうね
何があっても裏切らないし最後は戻ってくると
お互いが根本のところでは信じあっているのだとはわかります
し・か・し!韮崎さん
恋人の弟にまで手を出すのはイカンでしょう
やきもち焼かせたいからって…
知っていて許すお兄ちゃんもお兄ちゃんだけど
どっちもどっちってことでしょうか
ちょっと早く読ませていただきました
消沈したきえさまにご褒美を
(*^・^)-☆Chu!!
えー!?ご褒美じゃなくて罰だなんて言わないでくださいね
韮崎×明野は不思議なカップルです
でも二人とも大月がとってもかわいいのでしょうね
何があっても裏切らないし最後は戻ってくると
お互いが根本のところでは信じあっているのだとはわかります
し・か・し!韮崎さん
恋人の弟にまで手を出すのはイカンでしょう
やきもち焼かせたいからって…
知っていて許すお兄ちゃんもお兄ちゃんだけど
どっちもどっちってことでしょうか
明野が韮崎をそんな風に操ってたなんて(傍ではわからない)
でも 大月を抱かないっと伝えた時点で韮崎も分かって行動していたのか。。。
勝沼がきちんと大月を守れるか 先が楽しみです
きえちん niのドS解釈 周りには分かりずらいですが 痛みが分かるって処で
心は沢山優しい方って捉えています でも一般的には虐めるだけなのかな。
へこましてしまってごめんなさい お話を読んでればきえちんが
優しい方なのは通じていると思います。
そして本当に双子のような妹さまには、何もあげなくても
笑って過ごしている きえちんがいれば それがプレゼントになると思います
湿度が上がってきて体調を壊されませんように
この場を借りて けいったん師匠もお気を付けてくださいね
でも 大月を抱かないっと伝えた時点で韮崎も分かって行動していたのか。。。
勝沼がきちんと大月を守れるか 先が楽しみです
きえちん niのドS解釈 周りには分かりずらいですが 痛みが分かるって処で
心は沢山優しい方って捉えています でも一般的には虐めるだけなのかな。
へこましてしまってごめんなさい お話を読んでればきえちんが
優しい方なのは通じていると思います。
そして本当に双子のような妹さまには、何もあげなくても
笑って過ごしている きえちんがいれば それがプレゼントになると思います
湿度が上がってきて体調を壊されませんように
この場を借りて けいったん師匠もお気を付けてくださいね
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