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BLの丘
淋しい夜に泣く声 85
2009-11-11-Wed  CATEGORY: 淋しい夜
後半R18(?)でお願いします。

その夜、父親こと湯沢雄吾(ゆざわ ゆうご)は、ただひたすら英人の幸せを願ってその地を後にした。
榛名と幾言かの言葉を交わし、榛名の立場にとても驚いていたが、先程の真摯な言葉を受け止めていたのか、ひたすら「英人を頼む」と頭を下げた。
父は今現在ニューヨークで新聞記者をしているのだそうだ。
榛名も父も休暇中で名刺など持ち合わせていなかったが、お互いが「すぐに連絡のつく存在」と位置付けて、あえて多くの言葉を交わしてはいなかった。
榛名は調べようとすればいくらだって手を伸ばせるだろうし、父も榛名の情報など簡単に手に入れられるはずだ。

英人は去り際に蘇った過去を振り返りながら、ふと一言伝えたい言葉が脳裏を横切った。

「生きていてくれてありがとう…」

どこで生きているのか、死んでいるのかも分からなかった存在。心の底から出会えたことの悦びを感じた。そして、臆することなく打ち明けてくれたこと。それが素直に言葉となって表れた。
父の泣き崩れる姿を見るのは、たぶんこれが最後だろう…。
そんな弱虫な父を見ていたくもなくてそっと榛名の胸を借りれば、分かったように抱き締めてくれる腕がある。
…俺にはこの腕がある…。

神戸に勧められ、榛名に背中を押された旅行が、これほど自分の人生に大きな影響を落とすとは英人自身思ってもいなかった。
得たものの価値はあまりにも大き過ぎる。
いっぺんに受け入れることはできなくても、榛名が言ったように、「いつか英人のためになる」という言葉を信じることができた。


スィートルームにあるベッドはとても広いのに、榛名と英人の二人でいる空間はとても狭かった。
榛名と英人は正面から抱きあい共にベッドに並びながら脇腹をシーツに預けた。吐き出す息はお互いの肌に触れる。
もう何度も達しているはずなのに、身体の芯は疼いていて英人はこの熱をどうしたらいいのかと悩んでしまうくらいだった。
榛名の肉棒は硬さを保ったまままだ英人の中から抜けていない。
どれだけ無茶をさせられても榛名の腰に両足を絡ませている状態だった。
少しでも緩めたら榛名が抜け落ちてしまう…。

ベッドの上に仰向けに寝転がった榛名の上に英人は担ぎあげられた。もちろん秘部は繋がったままで、上に乗せられたところで身体を支える力の無さはより深い位置を探られる。
閉じることを忘れた足の間に榛名の腰が当たる。
支えを失ったような両足が更に榛名に抱え上げられた。重心は繋がる位置だけになり一番深い場所に榛名が入り込むと自然と背が仰け反った。
幾度か榛名の飛沫が体内に押し込まれている。数度抜き差しされれば、それらの絡む水音で英人の方が羞恥に駆られた。
「まだ絡んでくるんだけど…」
背を支えられながら一応控え目に伝えてくる榛名の言葉は卑猥さを増して英人の脳髄に染みる。
幾度イッても緩むことなく力が籠ってしまう後孔に厭らしさを露呈しているようで、羞恥心から更に榛名を咥えこんでしまった。
「ぅんっっ…っ」
「締めるな」
あんなふうに煽られるから身体が反応するのだと言いたいのに、それすら喘ぎ声に変わって榛名を責めることすらできない。
榛名のモノを後ろで咥え込みブルブルと身を捩り自らの先端から先走りがこぼれれば自然と手が向くのに榛名は決してその行為を許してくれようとしない。
片膝の下から抜かれた手が英人の手首を掴んで自身に触れるのを阻止された。榛名の温かな掌が蜜を零す先を触り、その快感にまた全身が震えあがる。
「…っんっっ」
「どうしてほしい?」
英人の何もかも知っているくせに次の欲求を言わせようとする榛名を恨めしいとすら思う。
このまま応えなかったら榛名は耐えられるのだろうか…と一瞬よぎったが、先に根を上げるのは自分だと嫌というほど教え込まれた身体は素直に厭らしい言葉を吐き出した。
「…さ、わって…っ…、っう、ごいて…」

ふっと口角を上げた榛名が「仰せのままに」と悪戯に笑いあげ、英人の敏感な部分を掴んできた。
下から揺す振られる鈍痛と掌で擦られる快感。同時に感じる悦楽は喘ぎ声となってこぼれ落ちる。
幾度か揺すられながら、英人は漏れる啼き声の間に榛名を呼んだ。
「ち…し…、ちしろっ…」
「…っん、なんだ……」
息切れの間から漏れる返答に英人は言いようのない喜びを感じた。
「…っして、…愛してる…」
ドクンっと弾けるような質量が体内で膨らみを増す。
それと同時に身体が反転して英人の背中がシーツの上に転がった。
「あぅぅぅっっ!」
「自業自得。そんなことを言われたら優しくなんかしてやれそうにない」
珍しく余裕をなくした榛名がいた。
自分の身体で感じてくれていることがとても嬉しい。
初めて抱かれた夜もそう思った。でも入れ込む気持ちは全く違う。
あの頃は『抱かれて当たり前』だった身体が今では『抱いてほしい』に変わっている。

激しく蠢きだした肉棒に犯される内壁が喜んでいるのが分かる。
…愛してる、千城だけを愛している…ずっと、ずっと…
英人の脳内で木霊のように繰り返される言葉の重みを、英人はとても深く感じていた。

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コメント

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生きていればこそ分かり合えるんですね
コメント甲斐 | URL | 2009-11-11-Wed 09:17 [編集]
「生きていてくれてありがとう…」という言葉がお父さんの気持ちの全てなんだと思いました。
一緒に暮らしていた頃も別れて暮らすことになってからもずっとその幸せを願っていたこともよく分かってほんとうによかったです。
すぐには理解できなくても、千城と共に生きることで失った時間を取り戻せるような気がします。
あとは、画家としてどれだけ成長していくか、これから花開いていくのが楽しみです。
英人が幸せで良かった☆
コメントメグミ | URL | 2009-11-11-Wed 11:28 [編集]
お久しぶりです~☆
いつも読み逃げですいません。
この旅行が英人自身の過去をも乗り越え、千城さんとの絆を深めることになってよかったです~。

これからも色々あるかも知れませんが、二人なら乗り越えられるはず!
千城の親は結構強敵かも知れませんが・・・
Re: 生きていればこそ分かり合えるんですね
コメントたつみきえ | URL | 2009-11-11-Wed 16:52 [編集]
甲斐様

こんにちは。

> すぐには理解できなくても、千城と共に生きることで失った時間を取り戻せるような気がします。
> あとは、画家としてどれだけ成長していくか、これから花開いていくのが楽しみです。

英人の後ろ向きな性格が少しでも改善されれば一番なのですが…。
そばに千城もいることですし、たぶん過去に苛まれることはあまりなくなると思います。
今回の旅で将来について考えることがたくさんありましたから、あとは実力次第?!

いつもありがとうございます。
Re: 英人が幸せで良かった☆
コメントたつみきえ | URL | 2009-11-11-Wed 17:01 [編集]
メグミ様

こんにちは。お久しぶりです。

> この旅行が英人自身の過去をも乗り越え、千城さんとの絆を深めることになってよかったです~。
>
> これからも色々あるかも知れませんが、二人なら乗り越えられるはず!

一回りも二回りも成長してくれたと思います。
英人に自信を持たせることができた、という点では千城にとっても良い結果だったかな~。

> 千城の親は結構強敵かも知れませんが・・・

うっ!!これは…!!(←考えていなかった人)
野崎のこともありましたよね~。まだ問題山積み?!
第二弾ってことで…(あるのか?←やる気無い人)

コメントありがとうございました。
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