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BLの丘
淋しい夜の果て 4
2009-12-02-Wed  CATEGORY: 淋しい夜
ぬるい性描写があります。

千城の父の力も相当なものだった。怒りがあるから余計に滾るのだろうか。
体を押さえられ片手だけでシャツの前身ごろを引っ張られたというのに英人の体まで一瞬浮き上がるようだった。
ブチブチブチッと飛んだボタンは一つとして英人の近くには落ちなかった。

「いやぁぁぁっ!!」
白い肌が剥き出しにされることへの羞恥と、怒り狂う猛獣のような千城の父の存在に一気に肌が粟立った。
英人の肌蹴た胸元に視線を落とした彼の瞳が薄汚いものを見るように細められた。
昨夜の情事で、英人の身体には千城が散らした無数の痕が付けられていた。
身を捩ろうとしても自由になったのは右手だけで、必死に破けた衣類を合わせようとした。
「この外道がっ!」
パシンっと頬に激しい痛みが走る。それは二度三度と両頬に続いた。
口の中に鉄の味がした。歯を食いしばろうとした時に、叩かれると同時に噛んでしまった内側の頬肉から血が流れた。

「ゲボッ」
血と唾液でむせ返った英人を気に留めることもなく、逆らう気力を一気に無くした英人に冷酷な言葉が降り注ぐ。
「遊びだけで終わらせれば良いものを…っ!他の者を呼ぼうかと思ったが、千城の恥をこれ以上晒すわけにもいかない」

何を意味するのだろうか…。
閉じたはずのシャツを僅かな隙に肩から抜かれてしまった。もっと悪いことに絡まったシャツは袖口で引っかかり英人の手の自由を奪っていた。
「な、に、を…」
「男娼なら誰だって相手はできるのだろう?私も久し振りだ。存分に愉しませろ」
低い声はどこか千城に似ていると思った。

流れるような行動に英人の思考は付いて行かなかった。下半身は跨った彼の重みで押えこまれている。腕は後ろで縫い止められるようであり、冷たく感じる指先が否応なく胸元に触れられた。
まだ熟れている乳首を指先で抓まれた時、ふと見上げてしまった強い力を持つ瞳に愛しい人を思い浮かべてしまった。
途端に跨がれた彼の足の付け根の下でピクリと反応するものがあった。

…ちがうっ!!違うっ!これは千城じゃないっ!!
英人は必死に心を抑えて目を閉じた。瞳を合わせた瞬間に、英人の脳裏に蘇る姿があったから反らしたかった。
だけど一度焼きついた眼光は脳裏を離れることはなかった。そしてひたすら思い出す材料にしかならない。
「良い反応だな」
触れた肉に蔑む笑いと声が英人の耳に響いてくる。その声すら目を閉じた英人には千城の顔を思い浮かべるものだった。

千城の父が男を相手にできる術を知っているとはとても思えなかったが、先程の発言を聞いても過去に経験があるのは漠然と分かった。彼の手は絶妙な触れ具合で英人を煽り立てた。触れる以外の何をするわけでもない。それなのに、英人の身体は確実に陥落への道をたどった。
何もかもが似ていた。親子とはここまで似るものなのかと聞こえる声や触れる指先の冷たさに思い出す者はただ一人だった。
千城以外の人間の誰にも反応しない身体であったはずなのに中心が熱い…。
彼は慣れたような手付きで英人の身体中をまさぐった。そして千城のように英人の感じる部分を簡単に見つけた。
染みを付けるほど勃ちあがってしまったジーンズの中で窮屈さを訴える分身に気付きながら、布地の上から数度撫でるだけでそれ以上の刺激はくれない。布越しの触れられ方はもどかしさだけを英人に感じさせた。
普段であれば多少自分で触ることぐらいできる。いつも千城に阻止されてしまうが、何を言っても英人の望むように絶頂を迎えるための手淫や口淫で愛撫してくれる瞬間を幸せな時だったのだと思えた。

決して許してもらえない苦しみの中で、自然と動いてしまう腰の動きに自らの堪え性の無さを呪った。
「千城はきっと君を捨てないだろうから、君が千城を裏切るんだ。一度でも吐き出せ。誰の手でも堕ちる存在なのだと充分なほど分からせればいい」
千城の父が何を望むのか、呆然としてきた英人の頭でも理解できた。
彼は息子を信じていたし、どこまでも貶めたのが英人だと言いたいのだろう。
たった一度の放出がどんな意味を携えるのか、幾人もの男を相手にしてきた英人には簡単に分かることだった。
それに千城の嫉妬心は恐ろしいほど知っている。英人が快楽の波に飲み込まれたと知れば、千城は黙っていないだろうし、最悪の場合は捨てられる。その状況を作れと榛名の父は促した。
『快楽の海に溺れる』…
反応するということは相手に体を許すこと。しかも今は最悪なことに、直接触れられてもいない。
もしも達してしまったとなれば、彼は嬉々と報告し、千城は節操無しと罵るのだろう。
…いやだ、感じたくない…

思いは虚しかった。
「どれだけいやらしい体なんだ」
耳元で囁かれる声はとても痛くて脳髄まで染み込んでくる。感じてしまいたくないのにビクビクと体は撥ね、最後の瞬間を待ちわびていた。
千城の父が見る瞳の中には英人の淫らな姿が映しだされている。否応なく反応するし、体には卑下た笑みが届いた。
それなのに英人の快楽の渦は迸る兆しを見せた。

優しく自分を包み込んでくれた腕が欲しい…。

千城の父は「出せばいい」と言うのに、窮屈な衣類を取り払ってくれるわけでもないし、相変わらず微妙な位置を撫でまわすだけだった。
長いこと放出できない苦しみの中で、厭らしくも手に擦りつけるように腰が動いた。
「…あ、…あぁ…、も…」
強請りたくなどないと思うのに、この辛さから逃れられるのであれば乞うてしまおうかと心が蝕まれる。
意識まで朦朧とする中で僅かに開けた目に飛び込んできたのは、あの鋭い眼光だった。
英人の中で繰り広げられた激しい葛藤は、その目を見た時に崩れ去った。

「はっ…はっ…、ね、も、…触って…」
英人の目の前にいたのは『千城』だった。

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コメント

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コメント | | 2009-12-02-Wed 09:47 [編集]
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Re: おはようございます…
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-02-Wed 10:05 [編集]
M様

おはようございます。
お出掛けする前に…と開いたらM様がいらっしゃっていました。

> 榛名パパひどいです。朝からやめて~と叫んでしまいました…(/_・、)
> 英人間違っちゃダメ~!千城さんが空の向こうで助けに来れないなら、きえさん助けてあげて下さいです(>_<)お願いします(>_<。)

ごめんなさ~い(>_<)
M様を泣かせてしまいましたっ!!
朝からこんなひどいものを書いてしまった私にお仕置きを…(え?)
一番似てほしくない目が千城にそっくりだったのが錯覚を招いちゃいました。
英人、頑張って現実を見よう!と私も陰ながら囁いておきます。

コメントありがとうございました。
コメントメグミ | URL | 2009-12-02-Wed 12:53 [編集]
こんにちわ~☆
新連載も楽しんで読ませていただいております♪

そして・・・千城パパ!
危険人物ですね(汗)

英人の身体は千城専用になっているはずなのに・・・。
血筋って・・・怖い(涙)

次回も楽しみにしております☆
Re: タイトルなし
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-02-Wed 16:26 [編集]
メグミ様

こんにちは。

> そして・・・千城パパ!
> 危険人物ですね(汗)

き、危険です…っ!!

> 英人の身体は千城専用になっているはずなのに・・・。
> 血筋って・・・怖い(涙)

どんだけそっくりだったんですかね…。
二人の間でいじくりまわされる存在にならなければいいですけど…。
(千城から投石が…っっ)
> 次回も楽しみにしております☆
はーい。またお越しください。
コメントありがとうございます。
千城父酷いよ
コメント甲斐 | URL | 2009-12-02-Wed 17:29 [編集]
英人君かわいそう。
父親の性格ややりそうなことわかってなかったんでしょうかね。
こんなに酷いことする人間で、『息子を騙した男』に対してどんな報復をするか想定もしていなかったんでしょうか。
甘いな、千城さん。
英人君壊れそう。
野崎氏はやっぱり榛名家の人なんですね。千城さんが知ったら哀しむし怒るのに・・・・。
Re:
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-02-Wed 17:29 [編集]
S様

こんばんは。
いつもご来店ありがとうございます~。

>英人気づいて~。千城じゃないよ~(>_<) あ~誰でもいいから英人を救ってあげて~。

幻覚を見ちゃだめよって私も囁いているところです。
榛名パパにも、息子のことだけじゃなく、その愛する人も見てやってよっって…。

榛名家に近づける人間…
うーん、考えました。千城以外に救える人…。いたか…???

コメントありがとうございました。
Re: 千城父酷いよ
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-02-Wed 17:47 [編集]
甲斐様

こんばんは。お越しいただきありがとうございます。
うろうろしていたら発見しました。お返事遅くならなくて良かったです。

> 英人君かわいそう。
> 父親の性格ややりそうなことわかってなかったんでしょうかね。
> こんなに酷いことする人間で、『息子を騙した男』に対してどんな報復をするか想定もしていなかったんでしょうか。
> 甘いな、千城さん。

まさか、まさか、まさかの展開でした。
長年親子の関係よりも上下関係のような付き合いの家庭ですから…。

でもどこか前兆はあって危惧はしていたのだと思います。
車の送り迎えを断りつづけたのは英人だったし…。
さすがに1カ月もたってこのタイミングで…とは千城も油断したのかしら。

> 英人君壊れそう。
> 野崎氏はやっぱり榛名家の人なんですね。千城さんが知ったら哀しむし怒るのに・・・・。

千城が帰るまで英人の精神が持つことを祈ります…(え?)

所詮野崎は榛名パパに育ててもらった人間です。
千城を守ろうと働く気持ちと榛名家から信頼されようと努力するところで傾いたようです。

コメントありがとうございました。
いや~っ
コメントちぃ | URL | 2009-12-02-Wed 22:53 [編集]
やばいです。

千城っ
戦闘機で帰って来て!!

でも盛り上がってきました。

ドキドキしますv-238

でも、英人を傷つけないで。。パパぁ(泣)

まだまだ
この物語

生き続けて欲しいです。
Re: いや~っ
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-02-Wed 23:28 [編集]
ちぃ様

こんばんは。

> やばいです。
> 千城っ
> 戦闘機で帰って来て!!

戻したいっ!!
出張とか言っているときではありませんっ!
どこでもドアでも用意したいです。

> でも盛り上がってきました。
>
> ドキドキしますv-238

こんなのでお気に召しているのでしょうか…。

> でも、英人を傷つけないで。。パパぁ(泣)

榛名パパ、どう動くんだろう…(まだ謎な展開…)
息子は可愛がっているのにねぇ。

コメントありがとうございました。
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