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BLの丘
淋しい夜の果て 5
2009-12-03-Thu  CATEGORY: 淋しい夜
ちょっとの性描写があります。

千城の前では何だってできる…。だって全てを受け入れてくれた…。恥ずかしい身体も、言葉も、過去も未来も全て受け止めると…。

「さすがに誘うのが上手いものだ。君が強請ったのだとよく覚えておきなさい」
言葉を聞いた時、心に痛みが走った。錯覚してしまった自分が恨めしかった。千城の父が望んだのは英人の身体なのではなく言葉だったのだと、おぼろげながらに悟った。
彼の思惑に嵌められて、英人は望んでしまった。欲望を吐き出せる快楽を…。

下半身に纏わる衣類が全てとりさらわれる。事実上、英人は全裸となった。
冷えた空気中に飛び出した英人の中心はブルリと震え、隠すものは何もなかった。
腹に付くほどまで反り立ってしまった分身から蜜がこぼれ、ぽとりと自分の腹の上に落ちた。
微かにフッと鼻から抜ける吐息が漏れ聞こえた。
笑われているのだ…。節操のない厭らしい体だと…。

千城と会って以来、これまでかつて抱かれた男にだって嫌悪感しか示さず、英人の官能を煽る者など千城以外に誰一人としていなかった。
それなのに、ただ千城と同じ目をして同じような声を聞かせる姿に英人の欲望は完全に縋りついてしまった。
蜜を零し、まるで受け入れる時を待つかのようにヒクつく蕾が自分でも分かる。これはもう、襲われているのではなく合意の上と捉えられる状況だった。

冷たい指先が熱いものに触れた。それから握りこまれる。
待っていたかのようにびくびくと脈打つ自分自身が己のものと思いたくなかった。
「いやっ、ちし、…千城、千城っ、千城っっ!!」
拒絶したかったのか、受け入れたかったのかはもう分からない。
剥き出しになった肉欲に手を添えられて扱かれて、同時に揺れ動く自分の腰を感じてしまえば、耐える間を置かずに欲望の果てがこぼれ落ちた。
この瞬間、自分は千城を裏切ったのだと思った。


めそめそと泣き崩れる英人の身体はそれ以上何もされることはなかった。
背中の後ろでシャツに絡みついた腕を解くこともできず、そっと体を丸めるように横向きに転がった。涙が畳の上へと落ちて行った。
彼の目的は英人を男娼として扱うことよりもその階級にもう一度落とすことであって、本気で抱きたいわけではなかった。
「他の人間を呼ぶ」と言っていたくらいだから自分の手を汚す気はなかったのだろう。結果的に同じだと思うけど…。

散々焦らされてようやく放出できたというのに、英人の身体はまだ疼いていた。
だがそれを認めるのも悟られるのも嫌だった。
ヒクついてしまった後ろの孔を鎮めるには願うモノを入れてもらうか時を待つしかない。
ぎゅうっと硬く両足を閉じて耐える英人を、まるで知ったかのように千城の父は見ていた。
何もされることはなかったが、見られてはいた。これ以上のことを英人が強請るのかと確認するように…。
英人の脳裏が彼の姿を視界に入れてはいけないと激しく命令してきた。あの目を見たら自分はまた陥落する…。今度こそ「挿れて」と願ってしまいそうで、彼が望むような落ちぶれた人間になりたくなどないと強く思った。
セックスをする気がない人間を煽りその気にさせたら、本当の薄汚い者だと罵られる。

でももう遅いのかもしれない…。
簡単に感じてしまった体が憎たらしかった。
触れられただけで感じてしまえば、同じ意味を持つような気がしてくる。
どこまでも欲望に見境がなく、誰にでも体を許す卑しい身分に自分はまた堕ちてしまったのかもしれない。

どんな恥を晒してもう一度千城に抱いてくれと頼めるのだろうか…。
やっと、やっと千城に拾ってもらえたのに…。まともな生活が送れる環境を、愛しい人と共に暮らせる日々をようやく与えてもらったのに…。

「自分が起こした行動をもう一度良く考えなさい。このような人間が『榛名』の名を名乗ることなど赦しはしない。あと3日だ。千城が戻るまでここに居れば良い。その時に弁護士を呼んで正式に離縁させよう」
同じ瞳を持ち、似た声色を上げるのに、親子とは思えないほどの冷酷さがあると感じた。

千城の父は英人の背後に近寄った。
何をされるのかと一瞬びくついた英人の左手首を強い力で掴むと、一瞬のうちに英人の薬指から指輪を抜いてしまった。
「あっ!」
「これは預かっておく」
そう言い置いてから、「奥にバスルームがあるから使いなさい」と英人をそのままで放置し、彼は部屋を出て行ってしまった。

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コメント

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コメントたつみきえ | URL | 2009-12-03-Thu 06:56 [編集]
S様

おはようございます。

>英人・・・。この後は千城が全力で英人を守ってくれることを願ってます。

千城、早く帰ってきて~と私も願っているところです。
英人の精神状態がそれまで持てばいいんですけどね…。
卑屈なこの子は次は何を考え始めるのやら。

コメントありがとうございました。
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-03-Thu 07:01 [編集]
名無し様

おはようございます。お越しいただきありがとうございます。

>英人がかわいそう(>_<) 千城の父、大嫌い(;`皿´)

榛名パパというより悪魔パパですね。
英人、みんなに愛されてしまったのでこれ以上のすごいことは避けました。
っていうか私が書けなかった…。

ぜひまた遊びにいらしてください。
コメントありがとうございました。
もうだめかも
コメント甲斐 | URL | 2009-12-03-Thu 18:29 [編集]
千城父ってば残酷な人だなー。
酷い。
英人のことだからあんな言葉の暗示にかかってすっかりそんな気持ちになってしまっているのでしょうね。
汚れた身体で誰でも誘うインランな身体なのだだと
そして千城のそばにいる資格など初めからなかったのだと
早く帰ってきて英人を抱きしめてなぐさめてくれないと壊れちゃうよ。
Re: もうだめかも
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-03-Thu 19:55 [編集]
甲斐様

こんばんは。またのご訪問感謝いたします。

> 英人のことだからあんな言葉の暗示にかかってすっかりそんな気持ちになってしまっているのでしょうね。

なりますね…。
他人の手によって汚された…というより、自分の意思で汚したというふうに捉えてしまいます。身分違いは常々思っていましたが、榛名パパ登場でもっと身に染みたような…。

> 早く帰ってきて英人を抱きしめてなぐさめてくれないと壊れちゃうよ。

英人の精神が破壊される前に千城を戻したいです。
こんな事件の後では二度と千城は目の届かないところに英人をおかないんだろうなぁ。

コメントありがとうございました。
Re:
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-03-Thu 20:12 [編集]
M様

>英人は、三日間も監禁されてしまうのでしょうか?辛いですね~。でも千城は、どんな状況になっても英人を手放す気はないでしょうし、今回の事は危機管理の薄い英人には、千城と生きていく事の自覚と、多くの物を背負っている千城にとっては、英人を守るという事はどういう事なのかという事を再確認させられる良い機会になって、一層お互いの絆が深まってくれると信じています。でも続きは気になって、何度も訪れています。

こんばんは。

何度も?!何度も訪れていただいていると知り頭が下がります。
すみません、定時更新をした方がいいのかしら…。(できないときは謝るという形でも…)
監禁!?
事実上そうなるようです。
千城は何があっても英人を手放さないんだよって英人に分からせてあげたい…
お互いの絆が深まるように進めたいです。

コメントありがとうございました。
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