英人はトイレから出られなかった。時が経つにつれ不安ばかりが募る。千城を責める気にもなれなかった。
いつも英人は悪い方向へと物事を捉えてしまう。今もそうだ。
ジョージに手を上げたところを見られ、更にジョージから聖とのことまで彼の都合の良いように伝えられたとしたなら…と思うと千城に嫌われてしまうと脅えた。
そして、英人の言い分も聞かずに出ていかれてしまったこと。ジョージから聞かされたこと。やっぱり英人は『お荷物』だったんじゃないかとまた思い始めてしまったこと。何もかもが英人を攻めてくる。
トイレから動けずにポロポロと泣いていたところに、いつまでたっても玄関口に出て来ないと千城が戻ってきた。
「今度はどうした?一人にしてしまったことは悪かったと思うが…」
千城の言い方は穏やかで英人を心配しているようでもあったが、一度自分を蝕んでしまった不信感は簡単に消えない。
千城の本心では英人のことをどう思っているのだろう。英人にはいつも甘いが、他人の前では本音が漏れているのではないだろうか。誰としてそれを英人に伝える者はいなかったが、ジョージが改めて現実を突き付けてきたような気になって仕方ない。
言葉尻に泣き崩れるジョージを放ることなどできなかったと含まされている気がする。実際英人が叩いてしまったところを見られている以上返す言葉もないが、これまで甘やかされていただけに掌を返したような冷たさの方が強く響いてきた。ジョージの言い分を信じてほしくなかった。
千城は腕の中に英人を入れてくれたが、どこか迷惑に思われているのではないかと英人は思わずにいられなかった。
英人は赤ん坊のように手がかかり、そろそろ面倒に思われてきているのではないか…。だって英人は『何もできない』から…。
「ディビス氏たちには先に帰ってもらったから。ジョージにも俺から謝っておいた。彼も無理強いしたと反省していたし。もう英人は気にしなくていい」
宥めるように背中や髪を撫でられても英人は一向に落ち付くことなどできない。
千城に負担をかけたことは事実で、こうして千城に嫌われる出来事を増やしたくない。
「違うの…ちがうの…」
英人が掠れるような声を上げて必死に誤解を解こうとするのを千城は「もういいから」と英人の口を閉じさせようとした。無理して説明しなくていいと言われているようだ。
「二人にしてしまった俺が悪かった。会話もどこかで食い違うところがあったのだろう。うまく伝わらなかったからといって英人を怒ることはしないから」
英人が言い訳をすると捉えたようだった。事の起こりは英人とジョージの間で満足いく話し合いができなかった結果だと千城の中で決めつけられている。
英人はいつもうまく説明できないから千城なりに答えを生んだのだろうが、何よりジョージの言うことを鵜呑みにされているのが悔しかった。
益々涙を零した英人を見て千城はようやく英人の異変に気付いたらしい。
「英人?」
優しく宥められていた口調が疑問形に変わっただけで千城の不機嫌を煽った気にさせられる。
どんどんと千城を苛々させてしまうのではないだろうかと不安に襲われる。
千城の導き出した答え以上に上手に説明できる自信もなかったし「何が違う?」と怒らせるような態度に出られたらどうしようかと思う。
語ろうとしていたことを止められ余計に自信を失った英人が黙れば千城から小さな溜め息が落ちた。
「英人、言いたいことがあるなら言ってくれ。昨日のように英人以外の人間から伝えられるようなことはもうされたくない。おまえを怒ることも責めることもしないから」
今の英人はどんな言葉も態度もマイナスの方向にしか働かなかった。千城の溜め息は『重荷になった』と受け止められたし、千城に日野を頼ったことを思い出させイラつかせてしまったと感じる。
何から話していいのかももう分からなくなって嗚咽が混ざり出せば千城の表情に困惑が宿った。
「英人が話してくれなければ俺はどうしていいのか分からないままだ。英人を置いていってしまったことは心から謝るから機嫌を直してくれ。これ以上泣いて欲しくない」
こんな状態に陥っては英人から何一つ語られないと悟ったのか、千城の切羽詰まったような声が降ってきた。
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いつも英人は悪い方向へと物事を捉えてしまう。今もそうだ。
ジョージに手を上げたところを見られ、更にジョージから聖とのことまで彼の都合の良いように伝えられたとしたなら…と思うと千城に嫌われてしまうと脅えた。
そして、英人の言い分も聞かずに出ていかれてしまったこと。ジョージから聞かされたこと。やっぱり英人は『お荷物』だったんじゃないかとまた思い始めてしまったこと。何もかもが英人を攻めてくる。
トイレから動けずにポロポロと泣いていたところに、いつまでたっても玄関口に出て来ないと千城が戻ってきた。
「今度はどうした?一人にしてしまったことは悪かったと思うが…」
千城の言い方は穏やかで英人を心配しているようでもあったが、一度自分を蝕んでしまった不信感は簡単に消えない。
千城の本心では英人のことをどう思っているのだろう。英人にはいつも甘いが、他人の前では本音が漏れているのではないだろうか。誰としてそれを英人に伝える者はいなかったが、ジョージが改めて現実を突き付けてきたような気になって仕方ない。
言葉尻に泣き崩れるジョージを放ることなどできなかったと含まされている気がする。実際英人が叩いてしまったところを見られている以上返す言葉もないが、これまで甘やかされていただけに掌を返したような冷たさの方が強く響いてきた。ジョージの言い分を信じてほしくなかった。
千城は腕の中に英人を入れてくれたが、どこか迷惑に思われているのではないかと英人は思わずにいられなかった。
英人は赤ん坊のように手がかかり、そろそろ面倒に思われてきているのではないか…。だって英人は『何もできない』から…。
「ディビス氏たちには先に帰ってもらったから。ジョージにも俺から謝っておいた。彼も無理強いしたと反省していたし。もう英人は気にしなくていい」
宥めるように背中や髪を撫でられても英人は一向に落ち付くことなどできない。
千城に負担をかけたことは事実で、こうして千城に嫌われる出来事を増やしたくない。
「違うの…ちがうの…」
英人が掠れるような声を上げて必死に誤解を解こうとするのを千城は「もういいから」と英人の口を閉じさせようとした。無理して説明しなくていいと言われているようだ。
「二人にしてしまった俺が悪かった。会話もどこかで食い違うところがあったのだろう。うまく伝わらなかったからといって英人を怒ることはしないから」
英人が言い訳をすると捉えたようだった。事の起こりは英人とジョージの間で満足いく話し合いができなかった結果だと千城の中で決めつけられている。
英人はいつもうまく説明できないから千城なりに答えを生んだのだろうが、何よりジョージの言うことを鵜呑みにされているのが悔しかった。
益々涙を零した英人を見て千城はようやく英人の異変に気付いたらしい。
「英人?」
優しく宥められていた口調が疑問形に変わっただけで千城の不機嫌を煽った気にさせられる。
どんどんと千城を苛々させてしまうのではないだろうかと不安に襲われる。
千城の導き出した答え以上に上手に説明できる自信もなかったし「何が違う?」と怒らせるような態度に出られたらどうしようかと思う。
語ろうとしていたことを止められ余計に自信を失った英人が黙れば千城から小さな溜め息が落ちた。
「英人、言いたいことがあるなら言ってくれ。昨日のように英人以外の人間から伝えられるようなことはもうされたくない。おまえを怒ることも責めることもしないから」
今の英人はどんな言葉も態度もマイナスの方向にしか働かなかった。千城の溜め息は『重荷になった』と受け止められたし、千城に日野を頼ったことを思い出させイラつかせてしまったと感じる。
何から話していいのかももう分からなくなって嗚咽が混ざり出せば千城の表情に困惑が宿った。
「英人が話してくれなければ俺はどうしていいのか分からないままだ。英人を置いていってしまったことは心から謝るから機嫌を直してくれ。これ以上泣いて欲しくない」
こんな状態に陥っては英人から何一つ語られないと悟ったのか、千城の切羽詰まったような声が降ってきた。
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英人君に一番必要なのは無条件に信じて大切にしてくれる存在。そして何があっても自分がそばにいてもいいのだと信じさせてくれる存在だと思います。
千城さんに必要なのは、何があっても英人を信じ優先にして『英人が一番だ』ということを信じさせることだと思います。
英人君はわがまま言ったり千城さんの邪魔をすることなどなかったし、そうすることを一番恐れているというのに。
だから、どんなときでもまず信じて、話を聞くことが大事なのに。
知り合ってからは長くない神戸さんとか、親しくしていたわけではなかった日野さんはそこんとこよーくわかったというのに、千城さんはダメダメですね。
ビジネスでは相手の思惑とか裏の顔とか策略なんてお見通しでしょうに。ジョージに騙されたり英人の想いが全く分らなかったり、恋する少年千城さんは恋愛に未熟すぎ。
関係した女性の数は膨大（でしょう、きっと）でも、恋愛初心者は英人君と同等かも？一緒に成長しなきゃね。
千城さんに必要なのは、何があっても英人を信じ優先にして『英人が一番だ』ということを信じさせることだと思います。
英人君はわがまま言ったり千城さんの邪魔をすることなどなかったし、そうすることを一番恐れているというのに。
だから、どんなときでもまず信じて、話を聞くことが大事なのに。
知り合ってからは長くない神戸さんとか、親しくしていたわけではなかった日野さんはそこんとこよーくわかったというのに、千城さんはダメダメですね。
ビジネスでは相手の思惑とか裏の顔とか策略なんてお見通しでしょうに。ジョージに騙されたり英人の想いが全く分らなかったり、恋する少年千城さんは恋愛に未熟すぎ。
関係した女性の数は膨大（でしょう、きっと）でも、恋愛初心者は英人君と同等かも？一緒に成長しなきゃね。
甲斐様
こんにちは。(こんばんは、ですかね)
年賀状作りや大掃除に追われパソも開けず明日の更新がヤバイ私です。
(なのに粗大ゴミは『お付き合い』とか言って出かけている。超イライラっ(愚痴ってどうする!?))
> 英人君に一番必要なのは無条件に信じて大切にしてくれる存在。そして何があっても自分がそばにいてもいいのだと信じさせてくれる存在だと思います。
> 千城さんに必要なのは、何があっても英人を信じ優先にして『英人が一番だ』ということを信じさせることだと思います。
日野くんじゃないけど、お互い意思の疎通がたりていないんだって思います。
千城はなんだーかんだーいって英人を腕の中に収めちゃうし、英人はあれこれ言われて、まぁいいやって縋っちゃうし。
心の一番奥の一番肝心なところに隙間があるから疑心暗鬼になってしまうのです。
> 知り合ってからは長くない神戸さんとか、親しくしていたわけではなかった日野さんはそこんとこよーくわかったというのに、千城さんはダメダメですね。
人間的にできているのはやっぱりこちらの２名なんでしょうね。
お忘れと思いますが、以前野崎にも千城はこれまで人間味がなかったと言われているくらいの人です。
> ビジネスでは相手の思惑とか裏の顔とか策略なんてお見通しでしょうに。ジョージに騙されたり英人の想いが全く分らなかったり、恋する少年千城さんは恋愛に未熟すぎ。
> 関係した女性の数は膨大（でしょう、きっと）でも、恋愛初心者は英人君と同等かも？一緒に成長しなきゃね。
人間を『物』として扱うようにと育った千城には"初体験"な出来事でした。
恋愛事情については教育は受けていないので(?!)心の処理に困っております。
そして英人も似たり寄ったりの立場なので…。
周りからいっぱい刺激をもらいながら一緒に悩むように私からも忠告しておきます。
コメントありがとうございました。
こんにちは。(こんばんは、ですかね)
年賀状作りや大掃除に追われパソも開けず明日の更新がヤバイ私です。
(なのに粗大ゴミは『お付き合い』とか言って出かけている。超イライラっ(愚痴ってどうする!?))
> 英人君に一番必要なのは無条件に信じて大切にしてくれる存在。そして何があっても自分がそばにいてもいいのだと信じさせてくれる存在だと思います。
> 千城さんに必要なのは、何があっても英人を信じ優先にして『英人が一番だ』ということを信じさせることだと思います。
日野くんじゃないけど、お互い意思の疎通がたりていないんだって思います。
千城はなんだーかんだーいって英人を腕の中に収めちゃうし、英人はあれこれ言われて、まぁいいやって縋っちゃうし。
心の一番奥の一番肝心なところに隙間があるから疑心暗鬼になってしまうのです。
> 知り合ってからは長くない神戸さんとか、親しくしていたわけではなかった日野さんはそこんとこよーくわかったというのに、千城さんはダメダメですね。
人間的にできているのはやっぱりこちらの２名なんでしょうね。
お忘れと思いますが、以前野崎にも千城はこれまで人間味がなかったと言われているくらいの人です。
> ビジネスでは相手の思惑とか裏の顔とか策略なんてお見通しでしょうに。ジョージに騙されたり英人の想いが全く分らなかったり、恋する少年千城さんは恋愛に未熟すぎ。
> 関係した女性の数は膨大（でしょう、きっと）でも、恋愛初心者は英人君と同等かも？一緒に成長しなきゃね。
人間を『物』として扱うようにと育った千城には"初体験"な出来事でした。
恋愛事情については教育は受けていないので(?!)心の処理に困っております。
そして英人も似たり寄ったりの立場なので…。
周りからいっぱい刺激をもらいながら一緒に悩むように私からも忠告しておきます。
コメントありがとうございました。
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