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BLの丘
雛鳥の巣立ち 10
2009-12-23-Wed  CATEGORY: 淋しい夜
R18 性描写があります。ご注意ください。

時刻は太陽が昇り始めた頃だった。
千城は今日も出勤しなければならず、英人だって年末の大忙しに休むことなど許されない。それにも関わらず重なってしまった体に興奮は抑えきれず、触れられるたびに「もっと…」と英人は強請り続けた。
尖りきってしまった胸の蕾は幾度も舐められて大きさを増している。滑るように胸の下から脇腹へと唇が通って臍の中まで丹念に舐められる。後孔を弄る指だけでは耐えられず、焦れたように腰が揺れた。充分に解された鎮まりは淫猥な音と香りを立ち上らせて千城は英人の肌を堪能し続けた。
「は…やく…」
掠れるような声を上げ、千城を迎え入れたいと英人が千城の頬に手を伸ばせば小さく頷いて熱棒が宛がわれた。
「…は…ぁ…ぁ…」
たっぷりと塗り込められた潤滑剤の滑りを借りても一番大きく開かれる最初の辛さに苦しさを感じる。でも繋がる嬉しさのほうが勝った。
徐々に入り込む千城も、蠢く英人の内部に荒い息を吐いた。全てを収めて安堵の息をついてからも千城は英人を焦らすことをやめなかった。ゆっくりとした動作で長いこと中を擦られ、千城が動くたびに入れられた千城の灼熱が浅瀬を弄るようなもどかしさを感じて震えた。
こんなことをするから『嫌い』と言いたくなるのだと内心でぼやく。
まるで抜け出てしまいそうな千城に思わず彼の根元に指を添え留めようとした。同時に英人の腰が動いた。
「うっ」
苦しそうに呻いた千城を体内に手繰り寄せてから、離れなかったことに安堵しつつ逆に襲われたような千城が憎々しげに英人を抱え込んだ。
「欲しいならそう言え」
「うん、千城が欲しい…。全部、いっぱいにして…」
焦らされて昂ぶった体を早くどうにかしてほしい。
恥ずかしさこの上ない台詞がポロリと漏れてしまうのは昨日の千城を責めた言葉への謝罪もあった。そしていまだに酔いの残る体が大胆にさせる。
簡単に『ごめんなさい』してしまう自分を軟弱だとか思いながら、でもやっぱり千城の腕に囲まれていたいのだと心の底から思った。
「聖とはなんにもないからね。苛めないで。日野ともなんにもないよ。二人とも俺の為に…」
「もういい。全てはおまえを信じる」
こんな場所で他人の名前など聞きたくもないと言った感じで千城は英人の唇を塞いだ。
英人の中にちょっとした罪悪感はあった。聖と過ごした僅か数分の時は千城には絶対に聞かせられないものだ。危険な逃避行に変わりないけど、思い返すと少しの興奮をもらったのも確かだった。千城と一緒になって以来、誰かと触れることもなかったが、危険な香りがしなかったのは久しぶりだった。深い意味は何もなかったと闇の中に葬った。聖も『内緒』と言ったくらいだから今後話題に持ち出されることもないだろう。
千城の思いを全身で受けながら英人は揺す振られることを願った。あたえられる愛撫の強さに酔いしれ、大きく足を割り開く。千城の肩に足を抱え上げられ、迫る快楽の波に埋もれた。
体に与えられる痛みが快楽に変わるように、心に刻まれたすれ違いもいつか同化するのだろう。
「愛している」
唇の端から漏れるような言葉が体の全てを覆っていく。
「んっ…」
応えるように伸ばした舌先を絡め取られて、英人は喜悦の中へと追い込まれた。
最初こそゆるゆるとした抽挿だったが、千城の極みをたどるように激しく動く腰つきに啼く声は高いものへと変わった。
「んっ、…っあっっぁ…っっ!」
やがて堪え切れなくなった英人自身に千城の指が絡められて、屹立から沸騰するように白濁が飛んだ。もらった快楽にきつく締めあげる孔の中で千城の熱い飛沫が散った。
荒々しい呼吸を感じながら一つとなった時を感じた。
「千城…」
心の奥底から思うのは『好き』と『愛している』しかなかった。
出勤前の営みはあまりにも大きな衝撃となって、英人はその日体調不良を理由に『休日願い』を出した。昨日のパーティーに神戸も訪れていたし、なんとなく状況を察したのだろう。
「仲直りはできたの?千城の独占欲に火を付けられて英人君を外出禁止にされたんじゃこちらも困るからね」
今日一日だけだよ、と付け加えられた言葉に全てを見透かされているようで思わず顔が赤くなる。

「せっかく日本に居るのだから」とディビス夫妻から食事の招待を受けた。前日のパーティー会場で、目の前で痴話喧嘩を繰り広げられ、まともに挨拶もできなかったと英人に会いたがっているようだった。すでに千城との関係については千城から聞いているようである。
帰宅前の千城に呼びつけられ「車を回した」と言われては断る口実も見つけられずに素直に従うしかない。
きっとジョージもいるのだろうと不安はあったが、明け方の千城との交わりで心には余裕もできていた。
ディビス一家をもてなす為の料亭の暖簾をくぐると、和の趣をふんだんに取り入れた座敷にはすでに全員が揃っていた。
子供はジョージだけなのかと思っていたらジョージよりも若い三つ編みの女の子が居た。12、3歳といったところだろうか。どたばたしてしまった会場で見落としたのは仕方のないことなのかもしれない。
大きな座卓に千城と並んで座り、前に4人の顔を見た。
遅れたことを詫びる英人に一家は気さくな態度を向けた。ディビス氏も少しの日本語ができるらしく、英人にはなるべく日本語で話しかけてくれる雰囲気を作ったが、千城と向かえばどうしても英語になってしまう。気持ちがストレートに通じるから話しやすいのだろう。
ジョージも多少の日本語を理解していたようだが、娘のエミリーは全く分からず、英人同様に飛び交う母国語が頼みの綱だった。
双方で日本語と英語の意味を確認したり訂正したりして、千城を通訳にしながら進められる食事は明るくとても楽しいものになった。
気にしたジョージも一家の手前があるのか、それとも千城の顔が見えるからなのか、昨日のようにあからさまに英人に対して嫌悪や嫉妬を表しては来なくて一安心していたが、終始機嫌は良さそうではなかった。

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コメント

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仲直り記念日♪
コメント甲斐 | URL | 2009-12-24-Thu 00:43 [編集]
はー、、、仲直りできてよかった。
日野さんも聖君も安心することでしょう。

それにしてもパーティー会場で繰り広げてしまった痴話喧嘩は、どう説明されているんでしょうねえ。ディビス一さんたちへは事実を語ったようですが、後始末に苦労したのは千城父なのでしょうね。

年末の忙しいときに急に休まれちゃ困りますよね。
犬も喰わないのもほどほどに・・・と周りは思っていることでしょうが神戸さんはちょっと面白がってます。
Re: 仲直り記念日♪
コメントたつみきえ | URL | 2009-12-24-Thu 07:14 [編集]
甲斐様

おはようございます。真夜中のご訪問感謝いたします。

> はー、、、仲直りできてよかった。
> 日野さんも聖君も安心することでしょう。

日野君に諭されて千城も色々考えた模様。
そんでもって言葉のいらないスキンシップで「これでいいや」と感じる英人だったり…。

> それにしてもパーティー会場で繰り広げてしまった痴話喧嘩は、どう説明されているんでしょうねえ。ディビス一さんたちへは事実を語ったようですが、後始末に苦労したのは千城父なのでしょうね。

可愛い息子のためにあっちでもこっちでもペコペコしていたかも。(するのか?この父が…?)
でも会場にいた皆さん、固まっていたでしょうね。
暴力沙汰にまで発展しちゃって…。
「あの品の良い(?)息子さんが人に手をあげるなんて…」とか囁かれていそうです。

> 年末の忙しいときに急に休まれちゃ困りますよね。
> 犬も喰わないのもほどほどに・・・と周りは思っていることでしょうが神戸さんはちょっと面白がってます。

神戸は今まで見られなかった千城が見られるという意外なところで楽しんでいるところがあります。
千城をやり込められるネタを探すことをもちろん忘れていません。
このままじゃどんどん弱みを握られるばかりの千城です。

コメントありがとうございました。
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