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BLの丘
夏休みはママも参加 11
2010-08-13-Fri  CATEGORY: 『想』―sou―
夕食は別館の広い畳の間で摂るという。
特別にテーブルを用意させ、全員が座れるように指示を出したのは当然百合子だった。
旅館側とすれば、どこの部屋に潜り込んでいるのかも分からない客室にいちいち料理を運んで揃えるよりは一か所にしてもらって、返ってありがたいくらいだった。
千城は露骨に嫌な顔をしたが、はしゃぎまくる英人と『私の言うことが聞けないの?』的な百合子に従うしかなかった。
旧別荘のこの建物には1階に10の客室と2階に8の客室があった。
2階の一番奥の部屋を、一番乗りした野崎と宮原が占領していたため、2階の反対奥を千城と英人が陣取り、1階を間隔をあけて他の4組が利用するということになった。
各部屋でそれぞれ、夕食までの時間を思い思いに過ごして、18時に集合ということになっていた。(何をしていたかはご想像です。(余談)雅臣は空き部屋を一室ずつ覗いていたらしい…)

夕食時間の前になり、雅臣と龍太が廊下に出るとちょうど安住と一葉、ヒサと那智が見えた。
自分たちも浴衣だったが、那智と一葉は麻織の半ズボンを合わせた甚平姿だった。
6人が廊下で顔を揃える。
雅臣「とても可愛い姿ですね」
安住「浴衣だとね、一葉はすぐに肌蹴ちゃうから」
一葉「そ、そういうこと、言わないで…(////)」(大浴場から部屋に戻る間だけですごいことになったらしい)
ヒサ「安住さんが那智のことにも気を使ってくれて…」
那智「だから、余計なこと言わなくていいのっ」(やはり同じような状態に…)
龍太「雅臣さんも甚平のほうが可愛かったかも」
雅臣「うるさいっ(////)」(人前で『可愛い』と言われることが気に入らない)
安住「(クスクスと笑いながら)では行きましょうか」
別館に個々で訪れるのはなんとなく気が引けるが、皆が一緒であれば心強い。(安住以外が思っていた)

別館の和室には、14名が向かい会って座れる、重厚な座卓が並べられて宴会場なみだった。(どんだけ広い和室?!)
すでに数々の料理が飾ってある。
そんなことよりももっと驚いたのは、リビングで寛ぐ、浴衣姿の年配の男性の存在だった。
風呂上がりと分かる寛いだ姿だから多少の鋭敏さは削がれているのであろうが、千城と良く似た鋭い目つきを持ち、威圧感をどこまでも纏わせるような姿に、安住以外の全員が『これが父親か』と納得していた。
すでに野崎と宮原は到着していて、何やら会話を繰り広げているところだった。
安住と千城の父一世が親しげに挨拶をしたあと、百合子がその他の人間を一通りの紹介をしてくれる。
厳格な顔つきを見せていても、プライベートな時間は穏やかな表情も浮かべた。
一葉と那智は本邸に遊びに行くことがあっても、主に会ったことはなかった。
緊張感に包まれるものの、そこは百合子のおおらかな性格がものを言う。
百合子「まったく、時間になっても来ないなんて、千城と長流くんはやっぱり良く似ているわね~。ベッドに入ったら時間も分からないのかしら」
一世「昼間、はしゃぎすぎて疲れたんじゃないのか?」
百合子「昼間…というより、今よ。その点、あなたたちは配分がうまいとでも言うのかしら」
ちらりと見られて返す言葉もなくなる。
何をしていたのか、全てお見通しの百合子だった。
思わずそれぞれの後ろに隠れてしまう一葉と那智だったりする。
一世「誰かを向かわせて起こさせろ。客人がお待ちかねだ」(素直に”眠っている”と思っている)
安住「いえ、私たちは構いませんから」
ヒサ「(ぐ~~ぅっ)」(腹の虫が鳴っている)
那智「(小声:バシバシ叩きながら)何て恥ずかしいことするのっ?!」
ヒサ「あ…」
百合子「(ホホホ)自然な事よねぇ。いいわ、私が行ってきます」
たぶん、一番早く連れて来られる人間だろう。

そうこうやりとりしているうちに神戸と日野が到着した。
神戸「あ、おじさん、来ていたんですね。遅れてすみません」(全く悪びれていない)
日野「…(すげっ、そっくりっ!!)…、こ、こんばんは。初めまして…」(一応動揺する)
一世「長流君も久し振りだな。相変わらず我が儘な息子たち(複数形)が迷惑をかけているようだが、君たちには本当に感謝しているよ」
神戸「いえいえ、そんなぁ」
百合子「みなさん、席についていてくださいね。すぐ、連れてきますから」
ぱぁーっと飛び出していく『母親』である。

それぞれが並んで座れるようにと、上座に一世夫婦、向かいに千城と英人の席を残し、百合子の隣から安住、一葉、那智、ヒサ、龍太、雅臣、反対側に神戸、日野、野崎、宮原と並んだ。
みんなでそれぞれの部屋がどうだったとか(一番興味津々なのは雅臣だったが)雑談を繰り広げていたところ、10分もしないうちに、百合子に引きずられるようにして千城と英人が姿を現した。
一世の顔を見るなりやはり甚平を着た英人が咄嗟に謝る。
英人「ご、ごめんなさい…」
千城「こんな早い時間に夕食という方が間違えている」
一世「着せる手間がない分、英人君にはその方が似合ったな」(英人の姿に何か言いたそうだった)
全員「…(なにごと???)…」
千城「二度とご迷惑はおかけいたしません」(屈辱的ながらも一応他人行儀な挨拶は榛名家?!それとも父と息子の関係か?!)
百合子「お父様の躾けはまぁいいわ。遅くなればなるほど夜の時間が減るだけよ。楽しみたかったらさっさと行動しなさい」
千城を促す言葉には棘があった。
席につかせると今宵の宴が始まった。
千城に対する百合子のその説得の仕方もどうなのか…と数人は思っていたが…。

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この先何もなくなると思います。
努力はしますが期待しないでください。
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2010-08-13-Fri 00:58 [編集]
夕食までのひと時をどんなに楽しくお過ごしだったのかは想像するとして、かわいい甚平姿も似合うんでしょうね
浴衣では”人前に出したくない”とか言いそうな人もちらほら居そうですしね
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-08-13-Fri 07:26 [編集]
甲斐様
おはようございます。

> 夕食までのひと時をどんなに楽しくお過ごしだったのかは想像するとして、かわいい甚平姿も似合うんでしょうね
> 浴衣では”人前に出したくない”とか言いそうな人もちらほら居そうですしね

浴衣はね…。安住が言うようにはだけちゃうんですよ。
ま、お子様はお揃いってことで。
お部屋の配置とか、お部屋での中でのこととか、みんな、読者様にご想像させてしまってすみません。
コメントありがとうございました。
No title
コメントきえ | URL | 2010-08-13-Fri 07:29 [編集]
ら様
おはようございます。

>流石千城のママって感じですww 子供達3人は甚平さんなんですね( ´艸`) かわいい姿を想像してしまいました^^ 暑い日が続くようですので、無理をしないで下さいね。

お子様ですから…。甚平でいいんです。
百合子ママ、またしても…って感じですか。
遅れてきた息子にピシャリ言い放ちます。
お気遣いありがとうございます。
コメントありがとうございました。
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