圭吾と一緒にこの店で働き出したのは1年前だ。
3年前、他店舗にヘルプとして行った時に圭吾に出会った。
当時孝朗がいた店には3人の社員がいたから、何かと他店舗に回されることが多かった。
初めて行く店には多少の緊張も混じるが、社員同士はなにかと結びつきがあって、全く知らない存在でもない。
アルバイト時代があった孝朗は尚更だ。知っている人間も数多くいた。
その時も深夜の営業をまかせられた。
細かい事務処理はなく、ただ、店を守る存在としていてほしいという役割。
第一印象の圭吾は孝朗にとって、良くはないものだった。
夜中になった途端、真っ白なコックコートはボタンを外し着崩され、くるぶしまでくるむはずの黒のエプロンも巻いていない。
同じ社員として咎めたい気分はあったが他店舗の人間に言うのは筋違いなのだろう。
夜という、束縛されない気安さもあるのだと思う。
しかも社員としては、自分よりもこの世界で経験を積んでいた人だった。規則は表向きで、実情は崩されるもの。完璧に守られるものでもない。
深夜の勤務の中で、平然と圭吾は眠りについていたし、そんな人間に好印象なんて持てなかった。
覆ったのが共に働くようになってから。
圭吾の動きには無駄がなかった。
全てを見通し先を読む力を備え、周りの人間ともうまくやっていく。
数多くの人間を見てきていたから、その実力の高さはすぐに分かる。
以前見た姿は、サボっている、というよりも要領よくこなした結果であったのだと気付くまでに時間はかからなかった。
色々と話をするうちに自然と打ち解けていく。
夜一緒に働けば、気遣われることもたくさんあった。
ただでさえ人手が減る時間だから、ホールも厨房も協力しあう。
そんななかで感じる親しみと頼りがい。
今、目の前にいる圭吾が、それ以上の、特別な感情をもって自分を見ていたと告げてくる。
社内での恋愛関係なんて嫌というほど見てきたが、自分が対象にされるとは思ってもいなかった。
だがそこには危険が付きまとった。ヘタをすればこの会社にはいられないだろう。
「けい…ご…」
「こんな風に迫られて抵抗も何もなしか?誰にでもこうやって体、渡すのかよ?ムカつき過ぎっ」
一緒に寝てしまったことも今抱きしめられてキスをされたことも、大宮にすら抱きかかえられたことも、”簡単”に体を許すと捉えられてしまうのか…。
そんなことはこれまでなかったことだし、突然のことに抵抗する間がなかっただけ。
経験がないから危機感がないと言われればそれまでなのだが…。
疑われるのは本意ではない。
「違う…」
圭吾だから許せた様々なことだったのかもしれない。
そのことを改めて気付かされる。他の人間だったら、確実に拒否したい心理が浮かぶ。
泊まることだってしないだろう。どれだけ眠い体に鞭打っても自室に帰る。
到と二人きりでの飲みの席を作らなかったのも、なんとなく知れた。
大宮に触れられてしまったのは、迂闊だったのかもしれないけれど、嬉しくも喜ばしいことでもない。
「本庄さーん、オーダー入りましたよ~っ」
遠くから厨房のアルバイトの声が聞こえてきた。
どこにいるのかと探されているのだろう。
「あー、今行くっ」
孝朗に聞かせるような低い声ではなく、響かせる声をあげてから、また圭吾は孝朗に向き直る。
「それ、俺を認めてくれてんの?…タカ、今日終わったらうちに来いよ。話がある」
有無を言わせない口調だった。
頷いたのは、圭吾と離れたくなかったから…。
たくさんの人間と触れあいながら過ごしてきた日々だったが、こんなに安心して過ごせる人はいなかった。
隣で眠ってしまったのも初めてのことだ。
朝を迎えて、一緒に帰った先。
いつものように酒とつまみを用意した圭吾から発せられたのは「一緒に店を辞めないか?」ということだった。
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朝ドラの時間に間に合ったかな…。
3年前、他店舗にヘルプとして行った時に圭吾に出会った。
当時孝朗がいた店には3人の社員がいたから、何かと他店舗に回されることが多かった。
初めて行く店には多少の緊張も混じるが、社員同士はなにかと結びつきがあって、全く知らない存在でもない。
アルバイト時代があった孝朗は尚更だ。知っている人間も数多くいた。
その時も深夜の営業をまかせられた。
細かい事務処理はなく、ただ、店を守る存在としていてほしいという役割。
第一印象の圭吾は孝朗にとって、良くはないものだった。
夜中になった途端、真っ白なコックコートはボタンを外し着崩され、くるぶしまでくるむはずの黒のエプロンも巻いていない。
同じ社員として咎めたい気分はあったが他店舗の人間に言うのは筋違いなのだろう。
夜という、束縛されない気安さもあるのだと思う。
しかも社員としては、自分よりもこの世界で経験を積んでいた人だった。規則は表向きで、実情は崩されるもの。完璧に守られるものでもない。
深夜の勤務の中で、平然と圭吾は眠りについていたし、そんな人間に好印象なんて持てなかった。
覆ったのが共に働くようになってから。
圭吾の動きには無駄がなかった。
全てを見通し先を読む力を備え、周りの人間ともうまくやっていく。
数多くの人間を見てきていたから、その実力の高さはすぐに分かる。
以前見た姿は、サボっている、というよりも要領よくこなした結果であったのだと気付くまでに時間はかからなかった。
色々と話をするうちに自然と打ち解けていく。
夜一緒に働けば、気遣われることもたくさんあった。
ただでさえ人手が減る時間だから、ホールも厨房も協力しあう。
そんななかで感じる親しみと頼りがい。
今、目の前にいる圭吾が、それ以上の、特別な感情をもって自分を見ていたと告げてくる。
社内での恋愛関係なんて嫌というほど見てきたが、自分が対象にされるとは思ってもいなかった。
だがそこには危険が付きまとった。ヘタをすればこの会社にはいられないだろう。
「けい…ご…」
「こんな風に迫られて抵抗も何もなしか?誰にでもこうやって体、渡すのかよ?ムカつき過ぎっ」
一緒に寝てしまったことも今抱きしめられてキスをされたことも、大宮にすら抱きかかえられたことも、”簡単”に体を許すと捉えられてしまうのか…。
そんなことはこれまでなかったことだし、突然のことに抵抗する間がなかっただけ。
経験がないから危機感がないと言われればそれまでなのだが…。
疑われるのは本意ではない。
「違う…」
圭吾だから許せた様々なことだったのかもしれない。
そのことを改めて気付かされる。他の人間だったら、確実に拒否したい心理が浮かぶ。
泊まることだってしないだろう。どれだけ眠い体に鞭打っても自室に帰る。
到と二人きりでの飲みの席を作らなかったのも、なんとなく知れた。
大宮に触れられてしまったのは、迂闊だったのかもしれないけれど、嬉しくも喜ばしいことでもない。
「本庄さーん、オーダー入りましたよ~っ」
遠くから厨房のアルバイトの声が聞こえてきた。
どこにいるのかと探されているのだろう。
「あー、今行くっ」
孝朗に聞かせるような低い声ではなく、響かせる声をあげてから、また圭吾は孝朗に向き直る。
「それ、俺を認めてくれてんの?…タカ、今日終わったらうちに来いよ。話がある」
有無を言わせない口調だった。
頷いたのは、圭吾と離れたくなかったから…。
たくさんの人間と触れあいながら過ごしてきた日々だったが、こんなに安心して過ごせる人はいなかった。
隣で眠ってしまったのも初めてのことだ。
朝を迎えて、一緒に帰った先。
いつものように酒とつまみを用意した圭吾から発せられたのは「一緒に店を辞めないか?」ということだった。
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朝ドラの時間に間に合ったかな…。
孝朗の答えが 出ないまま(笑) 夜勤明けの朝
圭吾から 発せられた言葉は 予想外のもの!Σ(@@)
ホヘッ!(*'ω'*)...ん?...byebye☆
圭吾から 発せられた言葉は 予想外のもの!Σ(@@)
ホヘッ!(*'ω'*)...ん?...byebye☆
孝朗は自分の気持ちに気付いたのかな?(笑)
圭吾からのビックリ発言Σヽ(゚Д゚○)ノ
プ・・・プロポーズ?(*ノωノ)
(・艸・`; ぁ…まだ違う?(爆)
圭吾からのビックリ発言Σヽ(゚Д゚○)ノ
プ・・・プロポーズ?(*ノωノ)
(・艸・`; ぁ…まだ違う?(爆)
けいったん様
こんにちは~。
> 孝朗の答えが 出ないまま(笑) 夜勤明けの朝
>
> 圭吾から 発せられた言葉は 予想外のもの!Σ(@@)
>
> ホヘッ!(*'ω'*)...ん?...byebye☆
孝朗の気持ちはまだ曖昧なところをさまよっていますかね…。
予想外の?!(あら、そうでした???)
いろいろと考えていたような圭吾ですが、ちょっと勢いに乗って~。
動きだしちゃいました。(フフフ)
コメントありがとうございました。
こんにちは~。
> 孝朗の答えが 出ないまま(笑) 夜勤明けの朝
>
> 圭吾から 発せられた言葉は 予想外のもの!Σ(@@)
>
> ホヘッ!(*'ω'*)...ん?...byebye☆
孝朗の気持ちはまだ曖昧なところをさまよっていますかね…。
予想外の?!(あら、そうでした???)
いろいろと考えていたような圭吾ですが、ちょっと勢いに乗って~。
動きだしちゃいました。(フフフ)
コメントありがとうございました。
らぅら様
こんにちは~。
> 孝朗は自分の気持ちに気付いたのかな?(笑)
>
> 圭吾からのビックリ発言Σヽ(゚Д゚○)ノ
> プ・・・プロポーズ?(*ノωノ)
>
> (・艸・`; ぁ…まだ違う?(爆)
気持ち、ハッキリしたんですかね~ぇ。
プロポーズ!!!(爆)
あぁ、確かにそんな感じだ(o´艸`o)
相変わらず急展開を見せる我が家です…。
コメントありがとうございました。
こんにちは~。
> 孝朗は自分の気持ちに気付いたのかな?(笑)
>
> 圭吾からのビックリ発言Σヽ(゚Д゚○)ノ
> プ・・・プロポーズ?(*ノωノ)
>
> (・艸・`; ぁ…まだ違う?(爆)
気持ち、ハッキリしたんですかね~ぇ。
プロポーズ!!!(爆)
あぁ、確かにそんな感じだ(o´艸`o)
相変わらず急展開を見せる我が家です…。
コメントありがとうございました。
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