圭吾と共に過ごす入浴シーンは免れた。
孝朗がブーブーと文句タラタラに言い続けて、苦笑した圭吾が「そういうタカも好き」と発言したことで幕を閉じる。
要するにからかいたいだけらしい。
歩き疲れた体を引きずって辿り着いたホテルの部屋。決して安くはない『ダマスクローズ』の入浴剤(液)をバスタブの中に垂らしてくれる。
ふんわりとした甘い香りが、バスルームだけではなく部屋中に漂った。
不思議な感覚だ。
圭吾が言ったように、『異国に来た』とつくづく思わされるような物だ。
「タカ、気持ちいい?」
シャワーカーテンの向こうから聞こえた声に、咄嗟に警戒心が募る。
「来るな―――っっ」
「あー、はいはい。覗かないよ。昨日、いっぱい見たし。夕ご飯用意しているんだけど、サンド、飽きちゃった?スープとか作ろうか?」
聞き捨てならない台詞はあるものの、さらりと流してしまえばそれまでだ。
孝朗の胃を気遣ってくれる。
それほど空いていないはずの胃なのに、時間が経てば空腹感を表してくる。
部屋で食事が摂れることがこんなにありがたいとも思わなかった。
圭吾の計画通り、本当に太りそうである。
「食べられれば何でもいいよ」
適当な返事をしたが、なんとなく理解したらしい圭吾は、部屋の中で調理していた。
孝朗が風呂を出ると、携帯用の調理クッカーと呼ばれる四角い鍋の中に、本日買った野菜が煮込まれてスープが仕上がっていた。
“ナントカ・クッカー”はご飯まで炊ける猛者ぶりらしい。(今は米はないけど…)
圭吾も素早くシャワーを浴びてくると、部屋の中での晩餐会が始まった。
カフェでもらった肉と野菜を挟んだサンドと、果物とチーズが並べられた前菜。お腹が温まるスープが並べられている。
「一日サンドばかり」と圭吾は零していたが、それぞれ異なるものだったから飽きると言うほどでもない。
ホテルのルームサービスで頼んだら、何倍以上の値段が付けられるのかというものばかりだ。
いつもながら、咄嗟にこれらを作れることに感心してしまう。
夜に訪れた空腹感はあっという間に満たされていく。
「タカ、宮殿に行きたいって言ってたよな」
「けど、圭吾はバザールに行きたいんでしょ?」
「行きたいけど、観光できるときにしておかないとさ。今日だって結構混んでたし」
観光施設は何かと混雑して、朝一番で行くのがいい場所もある。
バザールはいつ行ってもさほど変わらなく、ましてや、自由がきく自分たちに、それほど時間は気にされない。しかし、入場するために並んで時間が潰れることはやはり無駄だった。
多くの都市を移動しないから圭吾なりの気使いもあるらしい。
明日の予定を口にしながら夜が更けていく。
明け方にアザーン(礼拝への呼びかけ)が街に響きわたって目覚めた時、孝朗は圭吾の腕の中にいた。
一つのベッドで過ごした一夜に、その前の晩のような激しさはなかった。そう、並んで寝ただけ。
それはそれで良かったのだが、なんとなく物寂しさも感じてしまう。
胸元に顔を埋めてスンと息を吸うと圭吾の香りが鼻腔を撫でた。
筋肉質な胸筋にそっと触れてみる。
自分にはない逞しさが羨ましくもあるが、この体に寄り添える喜びもある。
孝朗が圭吾と同じような体格だったら見向きもされなかったのだろうか…。
自分を包んでいた腕に力がこもった。
「タカ、そういうことしないの…。煽られるから…」
どうやら圭吾も目覚めていたらしい。
焦って離れようとしたが、所詮孝朗の力で敵うわけがなかった。
「べ、別に、煽ってなんか…」
「無意識にやってるわけ? …、先が思いやられるんですけど…、俺…」
呆れた声が降り注いでくる。
ちょっとした仕草の何が悪いのかも孝朗には気付けなかった。
密着した体の下腹部に、硬くなった雄芯が当たった時、物寂しさが消えて、小さな喜びと大きな興奮に襲われた。
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孝朗がブーブーと文句タラタラに言い続けて、苦笑した圭吾が「そういうタカも好き」と発言したことで幕を閉じる。
要するにからかいたいだけらしい。
歩き疲れた体を引きずって辿り着いたホテルの部屋。決して安くはない『ダマスクローズ』の入浴剤(液)をバスタブの中に垂らしてくれる。
ふんわりとした甘い香りが、バスルームだけではなく部屋中に漂った。
不思議な感覚だ。
圭吾が言ったように、『異国に来た』とつくづく思わされるような物だ。
「タカ、気持ちいい?」
シャワーカーテンの向こうから聞こえた声に、咄嗟に警戒心が募る。
「来るな―――っっ」
「あー、はいはい。覗かないよ。昨日、いっぱい見たし。夕ご飯用意しているんだけど、サンド、飽きちゃった?スープとか作ろうか?」
聞き捨てならない台詞はあるものの、さらりと流してしまえばそれまでだ。
孝朗の胃を気遣ってくれる。
それほど空いていないはずの胃なのに、時間が経てば空腹感を表してくる。
部屋で食事が摂れることがこんなにありがたいとも思わなかった。
圭吾の計画通り、本当に太りそうである。
「食べられれば何でもいいよ」
適当な返事をしたが、なんとなく理解したらしい圭吾は、部屋の中で調理していた。
孝朗が風呂を出ると、携帯用の調理クッカーと呼ばれる四角い鍋の中に、本日買った野菜が煮込まれてスープが仕上がっていた。
“ナントカ・クッカー”はご飯まで炊ける猛者ぶりらしい。(今は米はないけど…)
圭吾も素早くシャワーを浴びてくると、部屋の中での晩餐会が始まった。
カフェでもらった肉と野菜を挟んだサンドと、果物とチーズが並べられた前菜。お腹が温まるスープが並べられている。
「一日サンドばかり」と圭吾は零していたが、それぞれ異なるものだったから飽きると言うほどでもない。
ホテルのルームサービスで頼んだら、何倍以上の値段が付けられるのかというものばかりだ。
いつもながら、咄嗟にこれらを作れることに感心してしまう。
夜に訪れた空腹感はあっという間に満たされていく。
「タカ、宮殿に行きたいって言ってたよな」
「けど、圭吾はバザールに行きたいんでしょ?」
「行きたいけど、観光できるときにしておかないとさ。今日だって結構混んでたし」
観光施設は何かと混雑して、朝一番で行くのがいい場所もある。
バザールはいつ行ってもさほど変わらなく、ましてや、自由がきく自分たちに、それほど時間は気にされない。しかし、入場するために並んで時間が潰れることはやはり無駄だった。
多くの都市を移動しないから圭吾なりの気使いもあるらしい。
明日の予定を口にしながら夜が更けていく。
明け方にアザーン(礼拝への呼びかけ)が街に響きわたって目覚めた時、孝朗は圭吾の腕の中にいた。
一つのベッドで過ごした一夜に、その前の晩のような激しさはなかった。そう、並んで寝ただけ。
それはそれで良かったのだが、なんとなく物寂しさも感じてしまう。
胸元に顔を埋めてスンと息を吸うと圭吾の香りが鼻腔を撫でた。
筋肉質な胸筋にそっと触れてみる。
自分にはない逞しさが羨ましくもあるが、この体に寄り添える喜びもある。
孝朗が圭吾と同じような体格だったら見向きもされなかったのだろうか…。
自分を包んでいた腕に力がこもった。
「タカ、そういうことしないの…。煽られるから…」
どうやら圭吾も目覚めていたらしい。
焦って離れようとしたが、所詮孝朗の力で敵うわけがなかった。
「べ、別に、煽ってなんか…」
「無意識にやってるわけ? …、先が思いやられるんですけど…、俺…」
呆れた声が降り注いでくる。
ちょっとした仕草の何が悪いのかも孝朗には気付けなかった。
密着した体の下腹部に、硬くなった雄芯が当たった時、物寂しさが消えて、小さな喜びと大きな興奮に襲われた。
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トルコって国は あんまりTVでも 取り上げられないから 初めて知る事が いっぱい!
まぁ 私が 物知らずなだけでしょうが。
旅行では 普段 知らない 相手の性格が分かったりするからね~。
二人の いい雰囲気を見てると 相性は バッチリ♪
えっby孝朗(*uдu人uдu*)当たり前だってぇの!by圭吾...byebye☆
まぁ 私が 物知らずなだけでしょうが。
旅行では 普段 知らない 相手の性格が分かったりするからね~。
二人の いい雰囲気を見てると 相性は バッチリ♪
えっby孝朗(*uдu人uдu*)当たり前だってぇの!by圭吾...byebye☆
けいったん様
こんにちはー。
> トルコって国は あんまりTVでも 取り上げられないから 初めて知る事が いっぱい!
> まぁ 私が 物知らずなだけでしょうが。
知られていないでしょうか。
私もよくは知りませんが…。
でも書いている…。
街編で書いてますけど、本当すごく楽しいこと、いっぱいありますよ。
> 旅行では 普段 知らない 相手の性格が分かったりするからね~。
> 二人の いい雰囲気を見てると 相性は バッチリ♪
> えっby孝朗(*uдu人uдu*)当たり前だってぇの!by圭吾...byebye☆
そうなんです―――。
旅行ってだけでマジックですよね。
四六時中一緒にいるから、いいとこも悪いとこも見えてきます。
この二人はばっちりヽ(゚∀゚)ノ
はい。もう少し旅行日記にお付き合いください。
コメントありがとうございました。
こんにちはー。
> トルコって国は あんまりTVでも 取り上げられないから 初めて知る事が いっぱい!
> まぁ 私が 物知らずなだけでしょうが。
知られていないでしょうか。
私もよくは知りませんが…。
でも書いている…。
街編で書いてますけど、本当すごく楽しいこと、いっぱいありますよ。
> 旅行では 普段 知らない 相手の性格が分かったりするからね~。
> 二人の いい雰囲気を見てると 相性は バッチリ♪
> えっby孝朗(*uдu人uдu*)当たり前だってぇの!by圭吾...byebye☆
そうなんです―――。
旅行ってだけでマジックですよね。
四六時中一緒にいるから、いいとこも悪いとこも見えてきます。
この二人はばっちりヽ(゚∀゚)ノ
はい。もう少し旅行日記にお付き合いください。
コメントありがとうございました。
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