寒風吹きつける凍えそうな空気の中に大月の心が置き去りにされていたことを、母親も知っていたのだろうか。
同じ男同士ということと、明野の面倒見の良さに、母親が大月を委ねていたことも今更ながらに知る。
いつだったか、勝沼が、親がそばにいることのありがたさを語ってくれたことがあった。
離れたからこそ分かる、その存在を。
振り返れば、明野ほど厳しく育てられたわけでもなかった。だから奔放に過ごすことができた。
明野の背中を見て育った大月は無言の"教育"を常に受けてきた。
ただ、それが良い結果を生んだかといえばそうでもなく、両親の気をもませる種となり、親も気にしたところだったのだろう。
明野と韮崎が必要以上に大月に気を回したのも親を思ってのことだったのか。
こうして改めてきちんとした形で姿を見せたことは、親の安堵を呼びこんでいた。
元旦にまた集まる約束をして、他に勝沼に"おふくろの味"を教えておいてくれとお願いすると、勝沼はうなだれていたし、母は笑い転げていた。
大月が自ら何かをやろうとしないのは、双方すでに知ったことである。
「いつでもいらっしゃい」という母の言葉に見送られて部屋に戻った。
これで勝沼も緊張感持たずに足を踏み入れられるだろうし、母も気兼ねなくまた料理を持ち込むことだろう。
韮崎が出入りするより、ずっとマシだ…と何故か思ってしまった。
後ろめたい意味ではなく、小言ばかりもらうからだ。
たぶん我が家の中で一番厳しいのが韮崎だ。今となってはどうして韮崎に抱かれていたのか不思議になるほどだが、兄たちの関係性に"憧れた"当時としては自然の流れだったような気もしてくる。
すべては"今"という時につながっている。
部屋に戻ってソファに転がると、ひじ掛けに腰を下ろした勝沼が大月の髪を梳いてくる。
「『春』かぁ。大月にとっては、"新しく始める"っていう意味も含まれてくるのかね。今の事業もまだ始まったばかりだしな」
新年に何を思うかは人それぞれ。
しかし、今までのように流されるままでは過ごさないことを誰よりも自分が一番良く分かっている。
誰もが手に入れるために何かを犠牲にしてきた。
これからが、温かい空気に変わってくれたらいい。
連休などあっという間に終わってしまう…。
ほとんどの時間をベッドの中で過ごしたという、なんとも不健康な休日だった。
ほぼ毎日弄られた左の乳首は、本当に元の大きさに戻らないのではないかと不安にかられる。
「誰に見せるわけじゃないんだからいいじゃん」と勝沼は満足げだった。
まさか本気で実行するとは思っていなかった大月だったが、嫌と思っていない自分に少しだけ呆れていたりもする。
忙しい朝に、ふたりでキッチンに立つ"日常"が戻った。
先に玄関を出ていこうとした勝沼が振り返った。
「大月、韮崎さんと一緒に帰ってこいよ。俺、明野さん、送ってくるから」
いつの間にそんな図式が出来上がったのかとクエスチョンマークが花開いた。
確かに帰る場所はほとんど同じところと言っていいが…。
大月が勝沼を信頼して、明野と何があるわけではないと理解していても、勝沼は違ったのだろうか。
体に施された"飾り"の意味は、やはり嫉妬でしかない。
思わず頬をゆるめながら、「いってらっしゃい」と見送った。
お互いが、一番近くに居られる存在となれる時まで、あとどれくらいの年月を必要とするのだろう。
いつしか韮崎は明野のもとに戻っていく。
勝沼は大月のそばに寄ってくる。
『親族経営』と言われても、そこに絡んでくる"目"は第三者のものだ。
兄たちにかなわないところがあったとしても、大月に闘争心を持たせるには充分な要素となってくれた。
未来が見えてくる。
"クラゲ"も卒業の時を迎えたようだ。
―完―
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ぽちっとしていただけると嬉しいです(〃▽〃)
いつものごとく意味不明なものを書いていてすみませんでした。
書き始めの頃、もう少し流れが見えていたような気がするのですが、途中で迷走しちゃいしたね(― ―ゞ
お付き合いくださいました方ありがとうございました。
梅雨時期になりました。体調、お気をつけくださいね。
同じ男同士ということと、明野の面倒見の良さに、母親が大月を委ねていたことも今更ながらに知る。
いつだったか、勝沼が、親がそばにいることのありがたさを語ってくれたことがあった。
離れたからこそ分かる、その存在を。
振り返れば、明野ほど厳しく育てられたわけでもなかった。だから奔放に過ごすことができた。
明野の背中を見て育った大月は無言の"教育"を常に受けてきた。
ただ、それが良い結果を生んだかといえばそうでもなく、両親の気をもませる種となり、親も気にしたところだったのだろう。
明野と韮崎が必要以上に大月に気を回したのも親を思ってのことだったのか。
こうして改めてきちんとした形で姿を見せたことは、親の安堵を呼びこんでいた。
元旦にまた集まる約束をして、他に勝沼に"おふくろの味"を教えておいてくれとお願いすると、勝沼はうなだれていたし、母は笑い転げていた。
大月が自ら何かをやろうとしないのは、双方すでに知ったことである。
「いつでもいらっしゃい」という母の言葉に見送られて部屋に戻った。
これで勝沼も緊張感持たずに足を踏み入れられるだろうし、母も気兼ねなくまた料理を持ち込むことだろう。
韮崎が出入りするより、ずっとマシだ…と何故か思ってしまった。
後ろめたい意味ではなく、小言ばかりもらうからだ。
たぶん我が家の中で一番厳しいのが韮崎だ。今となってはどうして韮崎に抱かれていたのか不思議になるほどだが、兄たちの関係性に"憧れた"当時としては自然の流れだったような気もしてくる。
すべては"今"という時につながっている。
部屋に戻ってソファに転がると、ひじ掛けに腰を下ろした勝沼が大月の髪を梳いてくる。
「『春』かぁ。大月にとっては、"新しく始める"っていう意味も含まれてくるのかね。今の事業もまだ始まったばかりだしな」
新年に何を思うかは人それぞれ。
しかし、今までのように流されるままでは過ごさないことを誰よりも自分が一番良く分かっている。
誰もが手に入れるために何かを犠牲にしてきた。
これからが、温かい空気に変わってくれたらいい。
連休などあっという間に終わってしまう…。
ほとんどの時間をベッドの中で過ごしたという、なんとも不健康な休日だった。
ほぼ毎日弄られた左の乳首は、本当に元の大きさに戻らないのではないかと不安にかられる。
「誰に見せるわけじゃないんだからいいじゃん」と勝沼は満足げだった。
まさか本気で実行するとは思っていなかった大月だったが、嫌と思っていない自分に少しだけ呆れていたりもする。
忙しい朝に、ふたりでキッチンに立つ"日常"が戻った。
先に玄関を出ていこうとした勝沼が振り返った。
「大月、韮崎さんと一緒に帰ってこいよ。俺、明野さん、送ってくるから」
いつの間にそんな図式が出来上がったのかとクエスチョンマークが花開いた。
確かに帰る場所はほとんど同じところと言っていいが…。
大月が勝沼を信頼して、明野と何があるわけではないと理解していても、勝沼は違ったのだろうか。
体に施された"飾り"の意味は、やはり嫉妬でしかない。
思わず頬をゆるめながら、「いってらっしゃい」と見送った。
お互いが、一番近くに居られる存在となれる時まで、あとどれくらいの年月を必要とするのだろう。
いつしか韮崎は明野のもとに戻っていく。
勝沼は大月のそばに寄ってくる。
『親族経営』と言われても、そこに絡んでくる"目"は第三者のものだ。
兄たちにかなわないところがあったとしても、大月に闘争心を持たせるには充分な要素となってくれた。
未来が見えてくる。
"クラゲ"も卒業の時を迎えたようだ。
―完―
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いつものごとく意味不明なものを書いていてすみませんでした。
書き始めの頃、もう少し流れが見えていたような気がするのですが、途中で迷走しちゃいしたね(― ―ゞ
お付き合いくださいました方ありがとうございました。
梅雨時期になりました。体調、お気をつけくださいね。
- 関連記事
大月の迷走して人生も
韮崎によって 抑え込まれ
明野によって 導かれ
勝沼によって 軌道修正されましたね!
勝沼に しっかり手綱を握られているから もう大丈夫だね、大月♪
全国的に 梅雨入り宣言されました!
例年より早い 梅雨入りのせいか 湿気は 思いの外少なくて まだ過ごし易くいですね~
昨日は 半年ぶりの検査で 朝から絶食で 半日を 病院内で過ごし ほんと 疲れました(〃´o`)=3 フゥ
医師に 諸々言われましたが、一番 堪えたのが「もう少し ダイエットを頑張って 痩せなさい!」の言葉…(苦笑)
これでも 頑張って 一ヶ月で 2kgほど 痩せたんだけどなぁー。+゚(pωq)゚+。エーン
6月ですね♪
29日のお祭り、楽しみだぁ~*:.。☆..。.(´∀`人)
韮崎によって 抑え込まれ
明野によって 導かれ
勝沼によって 軌道修正されましたね!
勝沼に しっかり手綱を握られているから もう大丈夫だね、大月♪
全国的に 梅雨入り宣言されました!
例年より早い 梅雨入りのせいか 湿気は 思いの外少なくて まだ過ごし易くいですね~
昨日は 半年ぶりの検査で 朝から絶食で 半日を 病院内で過ごし ほんと 疲れました(〃´o`)=3 フゥ
医師に 諸々言われましたが、一番 堪えたのが「もう少し ダイエットを頑張って 痩せなさい!」の言葉…(苦笑)
これでも 頑張って 一ヶ月で 2kgほど 痩せたんだけどなぁー。+゚(pωq)゚+。エーン
6月ですね♪
29日のお祭り、楽しみだぁ~*:.。☆..。.(´∀`人)
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いつもコメントありがとうございました。
まとめレスでごめんなさい。
アチコチとフラフラした大月でしたけれど、なんとか落ちつきましたね。
もう頑丈な首輪が付けられたことだし、一人でお散歩に出かけることはないでしょう。
見守り隊がお兄様だけでなく、母まで加わりましたからね。
勝沼も強い味方をどんどんつけていきます。
村の新着に上がらないのは何故でしょうね。
そのあたりのことは詳しくはないので、いつものごとく、そのうちなんとかなるだろう♪と放っておく私ですが(´∀`;)
検査、お疲れさまでした。
変に緊張して、不整脈とか出ませんでしたか?!
ダイエットって永遠のテーマのような気がします。
自分でも分かっているんだけれどね~。
世間には誘惑の品がコゴロゴロしてますからね。
つい、と手が伸びてしまうのです。
気づいたら口の中、気付いたら身になっていたという結果に…。
29日祭りの準備でも始めようかしら…のきえちんでした。
まとめレスでごめんなさい。
アチコチとフラフラした大月でしたけれど、なんとか落ちつきましたね。
もう頑丈な首輪が付けられたことだし、一人でお散歩に出かけることはないでしょう。
見守り隊がお兄様だけでなく、母まで加わりましたからね。
勝沼も強い味方をどんどんつけていきます。
村の新着に上がらないのは何故でしょうね。
そのあたりのことは詳しくはないので、いつものごとく、そのうちなんとかなるだろう♪と放っておく私ですが(´∀`;)
検査、お疲れさまでした。
変に緊張して、不整脈とか出ませんでしたか?!
ダイエットって永遠のテーマのような気がします。
自分でも分かっているんだけれどね~。
世間には誘惑の品がコゴロゴロしてますからね。
つい、と手が伸びてしまうのです。
気づいたら口の中、気付いたら身になっていたという結果に…。
29日祭りの準備でも始めようかしら…のきえちんでした。
奔放な大月がどうなっていくのか 韮崎もよもや兄の明野と関係がある仲 でも勝沼が頑張ったね 生活感の違いをものともせず 嫁(大月)が何もし出来なくても。 まぁ夜は上司になってたけど それも楽しそうだし。お医者さんごっこ(笑) 大月は小さい時も子供遊びしらなさそうだから
良かったね
きえちん お疲れ様です いよいよ早い梅雨に入り お部屋にこもってしまいますね その分 妄想パワーに掻き立てられ(゚-゚*)(。。*)ウンウン
してください
けいったんさん ダイエットは合言葉ですね¡¡¡ 腰痛をお持ちの方も
梅雨時期は痛みやすいのでお気を付けてください~~(昨日Drに言われた) 栗本先生みたいに若かったら良いのにな残念…(*゚。゚)m。★.::
良かったね
きえちん お疲れ様です いよいよ早い梅雨に入り お部屋にこもってしまいますね その分 妄想パワーに掻き立てられ(゚-゚*)(。。*)ウンウン
してください
けいったんさん ダイエットは合言葉ですね¡¡¡ 腰痛をお持ちの方も
梅雨時期は痛みやすいのでお気を付けてください~~(昨日Drに言われた) 栗本先生みたいに若かったら良いのにな残念…(*゚。゚)m。★.::
ようこそおいでくださいました
> 良かったです!勝沼と大月が幸せになって!!先が気になって一気読みしてしまいました・・・。今後も気になる二人、大月がさらに力をつけて会社立ち上げしたり、勝沼と共同経営したり、そんなイチャイチャ振りも見てみたいな!勝手なこと言ってすみませんm(_)m 素敵なお話有難うございました!!
わけの分からないものを書いた自覚があっただけに、このような嬉しいお言葉をいただけて感無量です。
まだ発展途上のようなふたりですからね。
しかも新入社員ときた…(´∀`;)
パワーアップ、期待しましょう。
コメントありがとうございました。
> 良かったです!勝沼と大月が幸せになって!!先が気になって一気読みしてしまいました・・・。今後も気になる二人、大月がさらに力をつけて会社立ち上げしたり、勝沼と共同経営したり、そんなイチャイチャ振りも見てみたいな!勝手なこと言ってすみませんm(_)m 素敵なお話有難うございました!!
わけの分からないものを書いた自覚があっただけに、このような嬉しいお言葉をいただけて感無量です。
まだ発展途上のようなふたりですからね。
しかも新入社員ときた…(´∀`;)
パワーアップ、期待しましょう。
コメントありがとうございました。
もう 春と言ってもいいかな?って時期なのに~~!
今日の雨で また明日から 少し寒くなるとの事…
この時季の雨は ひと雨ごとに暖かくなるって言うのにねーハァー(。´_`。)=3
きえちん、そちらの世界は、雨とか雪とか降る??四季もある??
勝手なイメージで いつも春の様に穏やかな暖かさで たくさんの花が咲いてると、思っちゃうんだよね。
そんな中で きえちんが、笑顔いっぱいで走り回っているの♪(o´ェ`o)ゞエヘヘ
春になったら きえちんと一緒に お花見しようね♪
しかし この作品を きえちんが書いたのが 梅雨だったとは!
今 考えれば、梅雨に 「春が来てくれるなら」って タイトルが面白いなぁ~(笑)
それとも きえちんは、来年のこの時季の事で 何かしら思う事があったのかもしれませんね。。。
アメダ、ヽ`、ヽ`个o(・_・。)`ヽ、`ヽ、...byebye☆
今日の雨で また明日から 少し寒くなるとの事…
この時季の雨は ひと雨ごとに暖かくなるって言うのにねーハァー(。´_`。)=3
きえちん、そちらの世界は、雨とか雪とか降る??四季もある??
勝手なイメージで いつも春の様に穏やかな暖かさで たくさんの花が咲いてると、思っちゃうんだよね。
そんな中で きえちんが、笑顔いっぱいで走り回っているの♪(o´ェ`o)ゞエヘヘ
春になったら きえちんと一緒に お花見しようね♪
しかし この作品を きえちんが書いたのが 梅雨だったとは!
今 考えれば、梅雨に 「春が来てくれるなら」って タイトルが面白いなぁ~(笑)
それとも きえちんは、来年のこの時季の事で 何かしら思う事があったのかもしれませんね。。。
アメダ、ヽ`、ヽ`个o(・_・。)`ヽ、`ヽ、...byebye☆
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