眠くなった思考はまともな判断を下してくれなかった。
森吉の強い手が体に絡みついて、支えられていると分かると、もっと力が抜けていく。
「鳥海、平気か?」
耳朶のそばで聞かれてとりあえず、「うん」と頷くと、小さなため息が聞こえた気がした。
「鳥海、付き合っているヤツ、いないって言ったよな?」
まるで何かの確認のようで、素直に頷いては、それも危険を呼びこまないための森吉の手段なのか。
おぼつかない足で、随分と移動に時間がかかってしまったようだ。
…ベッドはまだ…?
早く横になりたいと思っていた矢先、「鳥海っ!!」と厳しい声が聞こえた。
ここ最近聞かなかった声音であってもしっかりと耳の奥は覚えていた。
聞きたかった声として記憶されている。
…瀬見…さん…?
ずっと求めていたものが目の前に現れるとは、生みだされた幻だろうか。
「鳥海っ」
ふらつく身体が、これまでの体温と違うものに引き寄せられた。
「鳥海っ」
もう一度呼びつけられて、視線を送られて、目の前に立つ人物を確認した。
「瀬見…さん…?」
「そうだよ。迎えに来るのが遅くなって悪かった」
抱きしめられる腕の中で聞こえてくる声とは、誰にでも向けられる繕ったものではないのだろうか。
鳥海だけに向けられた特別なものなのだろうか。
もし一緒だったしても…。
ただ、安心した。
瀬見の声が、その体温が酷く安心させてくれるのだ。
もう頑張らなくていいと言われるように。
ありのままでいていいのだと教えられる。
鳥海の全てを包んでくれる。
「五城目…」
森吉の声が確認をするように耳に届いた。
振り返ると皮肉な笑みが浮かんでいた。
鳥海が何を言うよりも早く、瀬見が口を開いていた。
「鳥海を気遣ってくれてありがとう。もう、この先はいいから…」
まるで全てを理解しているかのように、肩をすくめる森吉の姿が見えた。
自分のものにはならないと分かっていても、相手さえ合意ならそのつまみ食いは許されるものになるのだろうと伝えるように。
最初から森吉は鳥海の淋しさを分かって、束の間の安らぎを与えてくれようとしただけだ。
"鳥海を護る"…
その延長戦で動いて、作り上げた"恋人"を続けた。
森吉にいいよる人も、鳥海に目を向ける人間も排除するには都合が良すぎてその関係を結んだ。
既成事実は誰にだって伝わっていく。
何故にここに瀬見が現れたのか、その神髄を鳥海に聞かせることで、これまでのようなふらつきがなくなるのだと森吉は分かっている。
だから奥をつついた。
けしかけたというほうが正しい。
「鳥海は俺がいいって言った」
「酔ってまともな判断ができないだけだよ」
「酔っているからアンタのことだって曖昧じゃん」
確信をつかれて瀬見も息を飲んだようだ。
でも無意識だからこそ縋ってくる態度とは本音なのだろう。
きっと未来、この男も後悔することになる…とは、似た者同士で感じるところがあるのか。
瀬見は口端を上げた。
いまある立場をはっきりさせるためにここにいる。
お互いの言いたいことは深すぎて、鳥海には理解できるものではなかったけれど。
「あんた、自惚れているだけじゃん?鳥海は必要としていないかも?」
同じように笑った男の言葉は瀬見の思いを吐きださせるには充分だった。
誰に何を委ねるのか…。
鳥海を思う気持ちは誰にも負けないのだと伝えたい。
鳥海は自分のそばにいたいのだと信じたい。
他の男にまどわされることなく、瀬見にだけ目を向け、身を寄せてくるのだと…。
「いままでありがとう」
最後通告のように瀬見は繰り返した。
森吉の行動をとがめることもしない。
その"人の大きさ"に森吉も納得したところがあったのか。
鳥海は安心した仔猫のように、瀬見に体を預けて眠りにつこうとした。
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ポチっとしていただけると嬉しいです(〃▽〃)
少々訂正しましたm(__)m
なんでupされていたのか、私の方が不思議で…。
森吉の強い手が体に絡みついて、支えられていると分かると、もっと力が抜けていく。
「鳥海、平気か?」
耳朶のそばで聞かれてとりあえず、「うん」と頷くと、小さなため息が聞こえた気がした。
「鳥海、付き合っているヤツ、いないって言ったよな?」
まるで何かの確認のようで、素直に頷いては、それも危険を呼びこまないための森吉の手段なのか。
おぼつかない足で、随分と移動に時間がかかってしまったようだ。
…ベッドはまだ…?
早く横になりたいと思っていた矢先、「鳥海っ!!」と厳しい声が聞こえた。
ここ最近聞かなかった声音であってもしっかりと耳の奥は覚えていた。
聞きたかった声として記憶されている。
…瀬見…さん…?
ずっと求めていたものが目の前に現れるとは、生みだされた幻だろうか。
「鳥海っ」
ふらつく身体が、これまでの体温と違うものに引き寄せられた。
「鳥海っ」
もう一度呼びつけられて、視線を送られて、目の前に立つ人物を確認した。
「瀬見…さん…?」
「そうだよ。迎えに来るのが遅くなって悪かった」
抱きしめられる腕の中で聞こえてくる声とは、誰にでも向けられる繕ったものではないのだろうか。
鳥海だけに向けられた特別なものなのだろうか。
もし一緒だったしても…。
ただ、安心した。
瀬見の声が、その体温が酷く安心させてくれるのだ。
もう頑張らなくていいと言われるように。
ありのままでいていいのだと教えられる。
鳥海の全てを包んでくれる。
「五城目…」
森吉の声が確認をするように耳に届いた。
振り返ると皮肉な笑みが浮かんでいた。
鳥海が何を言うよりも早く、瀬見が口を開いていた。
「鳥海を気遣ってくれてありがとう。もう、この先はいいから…」
まるで全てを理解しているかのように、肩をすくめる森吉の姿が見えた。
自分のものにはならないと分かっていても、相手さえ合意ならそのつまみ食いは許されるものになるのだろうと伝えるように。
最初から森吉は鳥海の淋しさを分かって、束の間の安らぎを与えてくれようとしただけだ。
"鳥海を護る"…
その延長戦で動いて、作り上げた"恋人"を続けた。
森吉にいいよる人も、鳥海に目を向ける人間も排除するには都合が良すぎてその関係を結んだ。
既成事実は誰にだって伝わっていく。
何故にここに瀬見が現れたのか、その神髄を鳥海に聞かせることで、これまでのようなふらつきがなくなるのだと森吉は分かっている。
だから奥をつついた。
けしかけたというほうが正しい。
「鳥海は俺がいいって言った」
「酔ってまともな判断ができないだけだよ」
「酔っているからアンタのことだって曖昧じゃん」
確信をつかれて瀬見も息を飲んだようだ。
でも無意識だからこそ縋ってくる態度とは本音なのだろう。
きっと未来、この男も後悔することになる…とは、似た者同士で感じるところがあるのか。
瀬見は口端を上げた。
いまある立場をはっきりさせるためにここにいる。
お互いの言いたいことは深すぎて、鳥海には理解できるものではなかったけれど。
「あんた、自惚れているだけじゃん?鳥海は必要としていないかも?」
同じように笑った男の言葉は瀬見の思いを吐きださせるには充分だった。
誰に何を委ねるのか…。
鳥海を思う気持ちは誰にも負けないのだと伝えたい。
鳥海は自分のそばにいたいのだと信じたい。
他の男にまどわされることなく、瀬見にだけ目を向け、身を寄せてくるのだと…。
「いままでありがとう」
最後通告のように瀬見は繰り返した。
森吉の行動をとがめることもしない。
その"人の大きさ"に森吉も納得したところがあったのか。
鳥海は安心した仔猫のように、瀬見に体を預けて眠りにつこうとした。
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少々訂正しましたm(__)m
なんでupされていたのか、私の方が不思議で…。
もしかして、書きかけ?
きえちん、お疲れかなあ?
きえちん、お疲れかなあ?
ちーさま こんにちは…(←おちこんでいる…)
> もしかして、書きかけ?
> きえちん、お疲れかなあ?
疲れているのだということにしときたいです。
なんで公開されちゃっているの~~~???と気付いた時は冷汗ものでした。
なんとか、なんとか繋げることができたかな…。
コメントありがとうございました。
> もしかして、書きかけ?
> きえちん、お疲れかなあ?
疲れているのだということにしときたいです。
なんで公開されちゃっているの~~~???と気付いた時は冷汗ものでした。
なんとか、なんとか繋げることができたかな…。
コメントありがとうございました。
うみちゃん!寝てる場合じゃないよ~(_ _).oO
瀬見ちゃんが間に合ってよかったわ~。
じゃなきゃ飛び出してたわ~f(^_^;)
さ、うみちゃんが起きたら瀬見ちゃん告白タイムね~♪
楽しみだわ~ε=ヾ(*~▽~)ノ
瀬見ちゃんが間に合ってよかったわ~。
じゃなきゃ飛び出してたわ~f(^_^;)
さ、うみちゃんが起きたら瀬見ちゃん告白タイムね~♪
楽しみだわ~ε=ヾ(*~▽~)ノ
昨日は、感想を書いて良いのか迷ったので改めて。
瀬見ちゃん、来たね。良かったわ。
いっくら眠いからって、あんな瀬見ちゃん二号に連れてかれたらねえ。
私、佳史さんとこに行かなきゃいけないじゃん(笑)
森鷹、上手くいけば鳥海くんと付き合いたかったのかな?ただの遊び?
森鷹と付き合って、傷付いた鳥海くんを慰める瀬見ちゃんも良かったかも←なればなったでうるさいくせに
ち「ふー、助かったあ。良かった良かった」
し「ふん、邪魔してやるっ」
ni「ダメですよ、腐レンジャーは見守り隊です」
さ「さあさあ、美味しいプリンでも食べましょ」
きえちん、お疲れ様。
今日は、ハプニングがないと良いね。
瀬見ちゃん、来たね。良かったわ。
いっくら眠いからって、あんな瀬見ちゃん二号に連れてかれたらねえ。
私、佳史さんとこに行かなきゃいけないじゃん(笑)
森鷹、上手くいけば鳥海くんと付き合いたかったのかな?ただの遊び?
森鷹と付き合って、傷付いた鳥海くんを慰める瀬見ちゃんも良かったかも←なればなったでうるさいくせに
ち「ふー、助かったあ。良かった良かった」
し「ふん、邪魔してやるっ」
ni「ダメですよ、腐レンジャーは見守り隊です」
さ「さあさあ、美味しいプリンでも食べましょ」
きえちん、お疲れ様。
今日は、ハプニングがないと良いね。
さえちゃん おはよう。
> うみちゃん!寝てる場合じゃないよ~(_ _).oO
> 瀬見ちゃんが間に合ってよかったわ~。
> じゃなきゃ飛び出してたわ~f(^_^;)
> さ、うみちゃんが起きたら瀬見ちゃん告白タイムね~♪
> 楽しみだわ~ε=ヾ(*~▽~)ノ
間に合いました~。
超特急で飛んできたことでしょう。
きっと八竜に「鳥海に何かあったらぶっ殺す」くらいのことを言われたんでしょう。
その横で藤里に「八竜さんが悪い」って言われて傷ついていたのかもしれません。
もう、許してあげるしかない八竜だね。
鳥海は居場所をはっきり言うし、藤里はまたまた連係プレーで能代なりなんなりと連絡をつけて、最終居場所確認するだろうから、瀬見に見つかるのは時間の問題ってところです(笑)
こんなに長引かせて、やっと話が進む~(←)
コメントありがとうございました。
> うみちゃん!寝てる場合じゃないよ~(_ _).oO
> 瀬見ちゃんが間に合ってよかったわ~。
> じゃなきゃ飛び出してたわ~f(^_^;)
> さ、うみちゃんが起きたら瀬見ちゃん告白タイムね~♪
> 楽しみだわ~ε=ヾ(*~▽~)ノ
間に合いました~。
超特急で飛んできたことでしょう。
きっと八竜に「鳥海に何かあったらぶっ殺す」くらいのことを言われたんでしょう。
その横で藤里に「八竜さんが悪い」って言われて傷ついていたのかもしれません。
もう、許してあげるしかない八竜だね。
鳥海は居場所をはっきり言うし、藤里はまたまた連係プレーで能代なりなんなりと連絡をつけて、最終居場所確認するだろうから、瀬見に見つかるのは時間の問題ってところです(笑)
こんなに長引かせて、やっと話が進む~(←)
コメントありがとうございました。
ちーさま おはようございます~。
ご一緒してましたね。
> 瀬見ちゃん、来たね。良かったわ。
> いっくら眠いからって、あんな瀬見ちゃん二号に連れてかれたらねえ。
> 私、佳史さんとこに行かなきゃいけないじゃん(笑)
瀬見二号なんだ(笑)
たぶんどちらも「一緒にするな」って言ってそうです。
まぁ、鳥海はそれぞれに気を許しているところがありますからね。
単純に「寝かせてくれる」と思っていたことでしょう。
> 森鷹、上手くいけば鳥海くんと付き合いたかったのかな?ただの遊び?
> 森鷹と付き合って、傷付いた鳥海くんを慰める瀬見ちゃんも良かったかも←なればなったでうるさいくせに
真相はどうなんでしょうね。
でもかなりの贔屓目で、森吉は鳥海のこと、気に入っていると思いますよ。
たぶん躊躇ったのは八竜がいたからでしょうね。
あのお兄さんに頭を下げる勇気はない…とでも思っていたか…(笑)
> ち「ふー、助かったあ。良かった良かった」
> し「ふん、邪魔してやるっ」
> ni「ダメですよ、腐レンジャーは見守り隊です」
> さ「さあさあ、美味しいプリンでも食べましょ」
一件落着~♪ と行きたいところですが。
> きえちん、お疲れ様。
> 今日は、ハプニングがないと良いね。
昨日は何をそんなにテンパっていたんだか…っていう状況でした(反省)
心配させてしまってすみませんでした。
コメントありがとうございました。
ご一緒してましたね。
> 瀬見ちゃん、来たね。良かったわ。
> いっくら眠いからって、あんな瀬見ちゃん二号に連れてかれたらねえ。
> 私、佳史さんとこに行かなきゃいけないじゃん(笑)
瀬見二号なんだ(笑)
たぶんどちらも「一緒にするな」って言ってそうです。
まぁ、鳥海はそれぞれに気を許しているところがありますからね。
単純に「寝かせてくれる」と思っていたことでしょう。
> 森鷹、上手くいけば鳥海くんと付き合いたかったのかな?ただの遊び?
> 森鷹と付き合って、傷付いた鳥海くんを慰める瀬見ちゃんも良かったかも←なればなったでうるさいくせに
真相はどうなんでしょうね。
でもかなりの贔屓目で、森吉は鳥海のこと、気に入っていると思いますよ。
たぶん躊躇ったのは八竜がいたからでしょうね。
あのお兄さんに頭を下げる勇気はない…とでも思っていたか…(笑)
> ち「ふー、助かったあ。良かった良かった」
> し「ふん、邪魔してやるっ」
> ni「ダメですよ、腐レンジャーは見守り隊です」
> さ「さあさあ、美味しいプリンでも食べましょ」
一件落着~♪ と行きたいところですが。
> きえちん、お疲れ様。
> 今日は、ハプニングがないと良いね。
昨日は何をそんなにテンパっていたんだか…っていう状況でした(反省)
心配させてしまってすみませんでした。
コメントありがとうございました。
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