R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。
満潮の時は野崎の思考を混沌とさせた。
動揺や困惑、羞恥というものが大半だったが、野崎の白濁を目にしたところで水谷の態度に変化は全く表れない。
熱い体液を水谷の手に受け止められ、薄い胸が激しく上下する。
零すまでの一部始終を見下ろされていたことに込み上げる羞恥心は現実の世界ではないと思いたかったくらいだ。
一人だけで果ててしまったという事実を突きつけられるように、滑った体液が野崎の後孔にあてられた。
「あ…っ」
空気中に晒されたとはいっても、それはまだ冷えていない。
潤滑剤の代わりになるように塗りつけられる自らの体液は、嫌と思うくらい粘膜を帯びていた。
「溜め込んでいいことなんて何もないだろう。たまには無防備になって、我を忘れるのもいいものだぞ。もちろん、そんなことを口外もしないから。安心して今夜は溺れておけ」
溺れることが怖いと思うのに、簡単にその波に飲み込まれろと言われる。
野崎にとって自制心を失うのが何よりの恐怖だった。
どこまでも完璧で、一部の隙もないような確立された人間…、プライド…。
だが、時にその何もかもを捨てて、虚無の中に飛び込んでしまいたい時がある。
それをこの男は知っていたというのだろうか…。
これまで抱かれることがあったとしても、主導権だけは譲らなかった。
そう、相手を意の向くまま操った。快楽だけを求めた世界。
それがこの男には何一つ役にたたない。
自らの意思をもぎ取られるだけだ。
何もかもを手放す時…、その一瞬。
迷う間もなく、この男は手にさせてくれるという。
たった一夜の『夢』。
やってくるのは元通りの何もなかった現実。
滑りを擦りつけた場所に指がつぷりと入り込んでくる。
緩やかな進み具合で、だけど徐々に内壁を犯してくる。
「はぁ…ぁ…」
自然と漏れる吐息に水谷の目が細くなった。
それは狙いをつけた野獣のようにすら感じられる。
「艶っぽい。普段の美琴からはとても想像できないな。そのギャップがまたいい。堪えずにもっと啼け」
潤んだ瞳が水谷を見上げる。
普段ではまず人前に晒されることのない上気した頬や汗に濡れた肌にどれほどのしとやかさが纏わりついているかなど野崎は知る由もなかった。
吐息をこらえようと、食いしばった唇は水谷の唇によって開かされた。
何度繰り返されても、慣れるようになってしまおうとしても、この口づけだけで身体の奥底から沸き立つものがある。
『慣れる』ことなどないのだと、漠然と身体が知った。
官能が次から次へと溢れてくるだけだ。
『大人』と『猛者』というものの余裕さだった。
決して蔑むことなく、単純に快楽を呼び起こしてくれる。
続く時もなく、たった一夜に秘められた時間。振り返ることも先に進むこともない。
それが分かるから乱れろと彼は要求するのだろうし、自身もタガを外そうと思考が向く。
くちゅくちゅと厭らしい水音が自分の下半身から響いてくる。
すでに数本の指を飲みこんだ後孔は、もっと激しい灼熱を欲して蠢いていた。
恥ずかしさなど、長い時間焦らされれば霧のように消えていく。
「み、ず…、谷…さん……っ!」
合意の言葉だった。
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満潮の時は野崎の思考を混沌とさせた。
動揺や困惑、羞恥というものが大半だったが、野崎の白濁を目にしたところで水谷の態度に変化は全く表れない。
熱い体液を水谷の手に受け止められ、薄い胸が激しく上下する。
零すまでの一部始終を見下ろされていたことに込み上げる羞恥心は現実の世界ではないと思いたかったくらいだ。
一人だけで果ててしまったという事実を突きつけられるように、滑った体液が野崎の後孔にあてられた。
「あ…っ」
空気中に晒されたとはいっても、それはまだ冷えていない。
潤滑剤の代わりになるように塗りつけられる自らの体液は、嫌と思うくらい粘膜を帯びていた。
「溜め込んでいいことなんて何もないだろう。たまには無防備になって、我を忘れるのもいいものだぞ。もちろん、そんなことを口外もしないから。安心して今夜は溺れておけ」
溺れることが怖いと思うのに、簡単にその波に飲み込まれろと言われる。
野崎にとって自制心を失うのが何よりの恐怖だった。
どこまでも完璧で、一部の隙もないような確立された人間…、プライド…。
だが、時にその何もかもを捨てて、虚無の中に飛び込んでしまいたい時がある。
それをこの男は知っていたというのだろうか…。
これまで抱かれることがあったとしても、主導権だけは譲らなかった。
そう、相手を意の向くまま操った。快楽だけを求めた世界。
それがこの男には何一つ役にたたない。
自らの意思をもぎ取られるだけだ。
何もかもを手放す時…、その一瞬。
迷う間もなく、この男は手にさせてくれるという。
たった一夜の『夢』。
やってくるのは元通りの何もなかった現実。
滑りを擦りつけた場所に指がつぷりと入り込んでくる。
緩やかな進み具合で、だけど徐々に内壁を犯してくる。
「はぁ…ぁ…」
自然と漏れる吐息に水谷の目が細くなった。
それは狙いをつけた野獣のようにすら感じられる。
「艶っぽい。普段の美琴からはとても想像できないな。そのギャップがまたいい。堪えずにもっと啼け」
潤んだ瞳が水谷を見上げる。
普段ではまず人前に晒されることのない上気した頬や汗に濡れた肌にどれほどのしとやかさが纏わりついているかなど野崎は知る由もなかった。
吐息をこらえようと、食いしばった唇は水谷の唇によって開かされた。
何度繰り返されても、慣れるようになってしまおうとしても、この口づけだけで身体の奥底から沸き立つものがある。
『慣れる』ことなどないのだと、漠然と身体が知った。
官能が次から次へと溢れてくるだけだ。
『大人』と『猛者』というものの余裕さだった。
決して蔑むことなく、単純に快楽を呼び起こしてくれる。
続く時もなく、たった一夜に秘められた時間。振り返ることも先に進むこともない。
それが分かるから乱れろと彼は要求するのだろうし、自身もタガを外そうと思考が向く。
くちゅくちゅと厭らしい水音が自分の下半身から響いてくる。
すでに数本の指を飲みこんだ後孔は、もっと激しい灼熱を欲して蠢いていた。
恥ずかしさなど、長い時間焦らされれば霧のように消えていく。
「み、ず…、谷…さん……っ!」
合意の言葉だった。
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