こちらは【観潮楼 秋の企画】の参加作品です。
黄金色の穂が辺り一面を揺らす。
特に夕日が陰ってくる頃は一番の明るさを纏うようだった。
誰のうちが早いというわけではなかったが、村人の連携プレーで、稲刈りは順序良く2日もあればおわってしまう。
黄金色に輝いていた村は、あっという間に別世界に変わるのだ。
「稲刈り~ぃ?!じょーだんじゃねぇっ!!!!」
昼下がり。
勉強に疲れているのだ…と言わんばかりの睦(むつみ)が、実家に帰った途端、助っ人として駆り出された。
秋の連休…(いつが休みなのかも分からない大学生な存在だったが)田舎仕事になれた陸(りく)が苦笑いを浮かべながら、睦を諭す。
「まぁいいから、軽トラに乗れよ。ド素人じゃあるまいし」
たしかに、この村を離れるまで、家事を手伝うような感覚で家の農家の手伝いをした。
畑に成った野菜の収穫から、どろんこになる田植え、そして稲刈り。
一年はあっというまだった。
自分が育てた(?)から愛着もあるし、食べ物に対して有り難さが生まれる。
金さえ払えば何でも手に入れられる、”ぼっちゃん”たちとは明らかに違っていたし、だけど、それを恋人の安里は当たり前だと受け止めてくれていた。
どんな食事の席でも、安里は食べ物は無駄にしない。
食べ物だけではない。その他、もろもろ。
「鉛筆ひとつ手に入れられない子がいるんだ…」
安里はいつも悲しそうに、『平等』でない世界を呪っていた。
そんな優しさにも、惹かれているのだろう。
昆虫取りに夢中になって、手伝わないことに親にしかられたっけ…。
懐かしい思い出が脳裏を横切る。
鮮やかな思い出として、甦らせてくれたのは、自分の気持ちを受け止め、また、預けてくれた安里のおかげだろう。
この村を好きだと、改めて思った。
肝心の安里が稲刈りの時期に訪れることはなかった。
新米だけを受け取って、「いい身分だよな…」とささやかな愚痴さえももれる。
しかし、その米を二人で食べられるのだと思えば、睦の心もまた違った。
大学生活も、あと半年もない。
週末は、何かと理由をつけて、安里の部屋に転がり込んでいた。
卒業も就職もすでに決まっている。
土地勘がある安里は、二人で住める場所を探してくれているようだった。
もちろん、そんなことを改まって口にする安里ではないけど…。
このまえ、アパートを訪れた時、風呂に入っている隙にそっと見てしまった、大量の賃貸情報誌。
あちこちに付箋が付けられていて…。
睦は「もう、どこだっていいよ」って思っていたけど…。
内緒でその中の一つにハートマークを入れておいた。
築年数もセキュリティも、沿線からも、申し分ない。
小洒落たマンションの家賃は確かに高かったけど、二人で住むには決して高価なものではなかった。
少しでも生活費を浮かせるためには、『米』は重要だった。
そのために帰ってきた、『村』。
いや、黙っていても送ってはくれるだろうが、完全に甘えてしまうのはやっぱり男としてのプライドが許さないというのか、…この村で育った威厳か…。
文句をいいつつ、軽トラに乗り込もうと家を出た。
「さっさと動け」とはやし立てる陸と、荷台には、見慣れないオレンジ色のつなぎを来た安里…。
「はぁぁぁぁ?」
こんな時期にここにくるなんて聞いていない。
絵は 「カロリーハーフ」様より お借りしているものです。無断転写はおやめください。
秋企画カロリーハーフ様
にほんブログ村
い、いみもなく始めた…(汗)
そして、イメージがちがう~とか言われそうですが…。
睦と安里の関係が分からない方は夏企画にいってくださいね~観潮楼目次
黄金色の穂が辺り一面を揺らす。
特に夕日が陰ってくる頃は一番の明るさを纏うようだった。
誰のうちが早いというわけではなかったが、村人の連携プレーで、稲刈りは順序良く2日もあればおわってしまう。
黄金色に輝いていた村は、あっという間に別世界に変わるのだ。
「稲刈り~ぃ?!じょーだんじゃねぇっ!!!!」
昼下がり。
勉強に疲れているのだ…と言わんばかりの睦(むつみ)が、実家に帰った途端、助っ人として駆り出された。
秋の連休…(いつが休みなのかも分からない大学生な存在だったが)田舎仕事になれた陸(りく)が苦笑いを浮かべながら、睦を諭す。
「まぁいいから、軽トラに乗れよ。ド素人じゃあるまいし」
たしかに、この村を離れるまで、家事を手伝うような感覚で家の農家の手伝いをした。
畑に成った野菜の収穫から、どろんこになる田植え、そして稲刈り。
一年はあっというまだった。
自分が育てた(?)から愛着もあるし、食べ物に対して有り難さが生まれる。
金さえ払えば何でも手に入れられる、”ぼっちゃん”たちとは明らかに違っていたし、だけど、それを恋人の安里は当たり前だと受け止めてくれていた。
どんな食事の席でも、安里は食べ物は無駄にしない。
食べ物だけではない。その他、もろもろ。
「鉛筆ひとつ手に入れられない子がいるんだ…」
安里はいつも悲しそうに、『平等』でない世界を呪っていた。
そんな優しさにも、惹かれているのだろう。
昆虫取りに夢中になって、手伝わないことに親にしかられたっけ…。
懐かしい思い出が脳裏を横切る。
鮮やかな思い出として、甦らせてくれたのは、自分の気持ちを受け止め、また、預けてくれた安里のおかげだろう。
この村を好きだと、改めて思った。
肝心の安里が稲刈りの時期に訪れることはなかった。
新米だけを受け取って、「いい身分だよな…」とささやかな愚痴さえももれる。
しかし、その米を二人で食べられるのだと思えば、睦の心もまた違った。
大学生活も、あと半年もない。
週末は、何かと理由をつけて、安里の部屋に転がり込んでいた。
卒業も就職もすでに決まっている。
土地勘がある安里は、二人で住める場所を探してくれているようだった。
もちろん、そんなことを改まって口にする安里ではないけど…。
このまえ、アパートを訪れた時、風呂に入っている隙にそっと見てしまった、大量の賃貸情報誌。
あちこちに付箋が付けられていて…。
睦は「もう、どこだっていいよ」って思っていたけど…。
内緒でその中の一つにハートマークを入れておいた。
築年数もセキュリティも、沿線からも、申し分ない。
小洒落たマンションの家賃は確かに高かったけど、二人で住むには決して高価なものではなかった。
少しでも生活費を浮かせるためには、『米』は重要だった。
そのために帰ってきた、『村』。
いや、黙っていても送ってはくれるだろうが、完全に甘えてしまうのはやっぱり男としてのプライドが許さないというのか、…この村で育った威厳か…。
文句をいいつつ、軽トラに乗り込もうと家を出た。
「さっさと動け」とはやし立てる陸と、荷台には、見慣れないオレンジ色のつなぎを来た安里…。
「はぁぁぁぁ?」
こんな時期にここにくるなんて聞いていない。
絵は 「カロリーハーフ」様より お借りしているものです。無断転写はおやめください。
秋企画カロリーハーフ様
にほんブログ村
い、いみもなく始めた…(汗)
そして、イメージがちがう~とか言われそうですが…。
睦と安里の関係が分からない方は夏企画にいってくださいね~観潮楼目次
おかえり、安里&睦
いいね~稲刈り
あれからのの二人が見られるんですね
楽しみです
同棲生活も目前かー
いいね~稲刈り
あれからのの二人が見られるんですね
楽しみです
同棲生活も目前かー
甲斐様
こんばんは。
観潮楼といえばこのふたり…っていうわけではないんですけどね。
なんとなく出したかった…。
> おかえり、安里&睦
> いいね~稲刈り
> あれからのの二人が見られるんですね
> 楽しみです
> 同棲生活も目前かー
稲刈り、楽しんでいただきたいです。
ってそんな、らくな仕事じゃないけどね。
同棲生活…まで話を持っていけるかな?!(それもまた何話?!的ですが…)
まぁ、ひと秋の姿でもながめてやってください。
コメントありがとうございました。
こんばんは。
観潮楼といえばこのふたり…っていうわけではないんですけどね。
なんとなく出したかった…。
> おかえり、安里&睦
> いいね~稲刈り
> あれからのの二人が見られるんですね
> 楽しみです
> 同棲生活も目前かー
稲刈り、楽しんでいただきたいです。
ってそんな、らくな仕事じゃないけどね。
同棲生活…まで話を持っていけるかな?!(それもまた何話?!的ですが…)
まぁ、ひと秋の姿でもながめてやってください。
コメントありがとうございました。
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C様
こんばんは~。
いやいや、もー、私のほうこそ、イメージ画像を足のつま先でちょんちょんしているのではないかと…
冷汗状態です。
> もしかして続き物のお話しに使っていただいたんですか?
登場人物は続きものなんですけど、設定を怠った結果と言いますか…。
改めて書く気力がなかったらしいです。
> 今までの作品のイメージが壊れてしまわないといいんですけど……
謝るのはこっちですから~っ。
私、絵は全く書けないので、本当に、この企画はありがたいです。
嬉しいんですよ。
コメントまで残していただいて、本当にありがとうございます。
感謝です。
こんばんは~。
いやいや、もー、私のほうこそ、イメージ画像を足のつま先でちょんちょんしているのではないかと…
冷汗状態です。
> もしかして続き物のお話しに使っていただいたんですか?
登場人物は続きものなんですけど、設定を怠った結果と言いますか…。
改めて書く気力がなかったらしいです。
> 今までの作品のイメージが壊れてしまわないといいんですけど……
謝るのはこっちですから~っ。
私、絵は全く書けないので、本当に、この企画はありがたいです。
嬉しいんですよ。
コメントまで残していただいて、本当にありがとうございます。
感謝です。
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