「『健太』って呼んで…」
全ての衣類を脱がされて、ベッドに横たえられる。
覆いかぶさってくる鳥羽の体温を感じた。
頭の両脇に肘をついた鳥羽が、海斗の脅えた顔を捕まえるように、視線を反らさなかった。
「海斗。何があっても海斗のことは守ってやるって言っただろ?もういい加減、その全部を俺にくれよ」
真摯な眼差しが刺さってくるようだった。
力強く引っ張ろうとする鳥羽の愛情に、海斗は完全に甘えたのかもしれない。
本当なら口に出すことすら憚られることが音になった。
「健太…、とぅさんは、もうここには来ないのかな…」
パッと鳥羽の目が見開かれた。
この状況下で、鳥羽に怒られるかと思った。
だけど、父と花巻の関係を疑うよりも、単純に父に依存しているだけの感情を鳥羽は気付いたようだった。
「来るだろ。だって、あんたたち、『親子』じゃん」
あえて、『親子』と強調したのは、それ以上にも以下にもならないということか。
そうやって『絆』があることを海斗に分からせて、安心させて、残りの想いは全て自分が引き受ける、と言われている感じがした。
鳥羽に全てを委ねたい…。
頭では分かっているし、身体も求めている。
最後の砦を鳥羽に破ってもらえれば、燻っていた父への感情も払拭できるのだろうか。
ひとつのくちづけを唇に落した後、鳥羽の手が耳元の髪を梳いた。
唇は耳朶を食んでいく。
唇が首筋を這うくすぐったさに思わず「んっ」と声が漏れれば、強く吸いつかれる痛みを感じた。
「今日はたぶん、どっちも戻ってこないから。海斗、声出して啼いていいよ」
初めて出会った日以来、この部屋で声を上げるようなことはしていない。
あの時、どれほどの音が響いていたのかは、未だに海斗は聞かされたこともないし問うこともなかったから知らないままだ。
だが、鳥羽の発言を耳にすれば、確実に耳に入る壁の薄さなのだとは理解できた。
それが分かる有馬も花巻も、帰ってなどこない、というのだろう。
海斗は自分が監視されていた、などとこれっぽっちも疑ってなどいなかった。
何故父と花巻が出会っていたのか、それすら疑問に思っていなかった。
しかし、鳥羽は違っていた。
海斗を腕に抱きながら、この体がどれだけ大事なものだったのかと黒い背後に嫌でも思考が向く。
それを手に入れられたことが奇跡のようだとも思った。
「絶対に悲しませないし、大事にするから…」
鳥羽の優しい声が鼓膜の中で振動する。
「健太…」
両腕を伸ばして、鳥羽の首に絡ませる。
今やっと、『恋人』として一歩踏み出せたような、そんな気がした。
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大変お待たせしております。
そして短いです…m(__)m
全ての衣類を脱がされて、ベッドに横たえられる。
覆いかぶさってくる鳥羽の体温を感じた。
頭の両脇に肘をついた鳥羽が、海斗の脅えた顔を捕まえるように、視線を反らさなかった。
「海斗。何があっても海斗のことは守ってやるって言っただろ?もういい加減、その全部を俺にくれよ」
真摯な眼差しが刺さってくるようだった。
力強く引っ張ろうとする鳥羽の愛情に、海斗は完全に甘えたのかもしれない。
本当なら口に出すことすら憚られることが音になった。
「健太…、とぅさんは、もうここには来ないのかな…」
パッと鳥羽の目が見開かれた。
この状況下で、鳥羽に怒られるかと思った。
だけど、父と花巻の関係を疑うよりも、単純に父に依存しているだけの感情を鳥羽は気付いたようだった。
「来るだろ。だって、あんたたち、『親子』じゃん」
あえて、『親子』と強調したのは、それ以上にも以下にもならないということか。
そうやって『絆』があることを海斗に分からせて、安心させて、残りの想いは全て自分が引き受ける、と言われている感じがした。
鳥羽に全てを委ねたい…。
頭では分かっているし、身体も求めている。
最後の砦を鳥羽に破ってもらえれば、燻っていた父への感情も払拭できるのだろうか。
ひとつのくちづけを唇に落した後、鳥羽の手が耳元の髪を梳いた。
唇は耳朶を食んでいく。
唇が首筋を這うくすぐったさに思わず「んっ」と声が漏れれば、強く吸いつかれる痛みを感じた。
「今日はたぶん、どっちも戻ってこないから。海斗、声出して啼いていいよ」
初めて出会った日以来、この部屋で声を上げるようなことはしていない。
あの時、どれほどの音が響いていたのかは、未だに海斗は聞かされたこともないし問うこともなかったから知らないままだ。
だが、鳥羽の発言を耳にすれば、確実に耳に入る壁の薄さなのだとは理解できた。
それが分かる有馬も花巻も、帰ってなどこない、というのだろう。
海斗は自分が監視されていた、などとこれっぽっちも疑ってなどいなかった。
何故父と花巻が出会っていたのか、それすら疑問に思っていなかった。
しかし、鳥羽は違っていた。
海斗を腕に抱きながら、この体がどれだけ大事なものだったのかと黒い背後に嫌でも思考が向く。
それを手に入れられたことが奇跡のようだとも思った。
「絶対に悲しませないし、大事にするから…」
鳥羽の優しい声が鼓膜の中で振動する。
「健太…」
両腕を伸ばして、鳥羽の首に絡ませる。
今やっと、『恋人』として一歩踏み出せたような、そんな気がした。
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大変お待たせしております。
そして短いです…m(__)m
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海斗を 前にして 鳥羽が 途轍もなく 優しく男っぽいよ~(*><*)ウヒャーー
海斗が 欲しい言葉を 結婚式の時の ライス・シャワーの様に これでもかと言うほどに 浴びせますね!
その決意が どうか 変わらない事を 願います
(*^o^*)...絶対 悲しませないし、大事にするから・・・ウットリ...byebye☆
海斗が 欲しい言葉を 結婚式の時の ライス・シャワーの様に これでもかと言うほどに 浴びせますね!
その決意が どうか 変わらない事を 願います
(*^o^*)...絶対 悲しませないし、大事にするから・・・ウットリ...byebye☆
K様
おはようございます。
> チャットではお疲れ様でした。
こちらこそお世話様でした~。
楽しかったです♪
> お父さんと遭遇したシーン変わったんですね。
> 隣の探偵が父親と会ってたら、「見張られてた!?」ってなるのかと思ったら、父親に恋人が!だったので、さっきの今だから、そういう思考なのかなー?と思ったりしてました。
まさか見張られていたなんて、これっぽっちも思いつかない海斗でした。
素直っていうか、鈍感というか、…これじゃあ確かにパパも鳥羽も心配になりますわなぁ。
> 鳥羽くんは気付いたみたいですね。
> それでも自分に託してくれたんだ、って気持ちでしょうか。
そこまでして守ってきた人間…っていう印象が強まったんじゃないでしょうか。
海斗に何かあったら闇討ちにでもあいそうです。
> そろそろ、お話が終結に向かうんでしょうか~。
そうですね~。
それぞれ、収まるところに収まってくれれば。
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> チャットではお疲れ様でした。
こちらこそお世話様でした~。
楽しかったです♪
> お父さんと遭遇したシーン変わったんですね。
> 隣の探偵が父親と会ってたら、「見張られてた!?」ってなるのかと思ったら、父親に恋人が!だったので、さっきの今だから、そういう思考なのかなー?と思ったりしてました。
まさか見張られていたなんて、これっぽっちも思いつかない海斗でした。
素直っていうか、鈍感というか、…これじゃあ確かにパパも鳥羽も心配になりますわなぁ。
> 鳥羽くんは気付いたみたいですね。
> それでも自分に託してくれたんだ、って気持ちでしょうか。
そこまでして守ってきた人間…っていう印象が強まったんじゃないでしょうか。
海斗に何かあったら闇討ちにでもあいそうです。
> そろそろ、お話が終結に向かうんでしょうか~。
そうですね~。
それぞれ、収まるところに収まってくれれば。
コメントありがとうございました。
けいったん様
おはようございます。
> 海斗を 前にして 鳥羽が 途轍もなく 優しく男っぽいよ~(*><*)ウヒャーー
やっと動き出しました、鳥羽!!
> 海斗が 欲しい言葉を 結婚式の時の ライス・シャワーの様に これでもかと言うほどに 浴びせますね!
> その決意が どうか 変わらない事を 願います
> (*^o^*)...絶対 悲しませないし、大事にするから・・・ウットリ...byebye☆
ただでさえ弱っている海斗ですから、染み込んでいくのはあっというまです。
末永くお幸せに…(ってまだ終わっていない)
コメントありがとうございました。
おはようございます。
> 海斗を 前にして 鳥羽が 途轍もなく 優しく男っぽいよ~(*><*)ウヒャーー
やっと動き出しました、鳥羽!!
> 海斗が 欲しい言葉を 結婚式の時の ライス・シャワーの様に これでもかと言うほどに 浴びせますね!
> その決意が どうか 変わらない事を 願います
> (*^o^*)...絶対 悲しませないし、大事にするから・・・ウットリ...byebye☆
ただでさえ弱っている海斗ですから、染み込んでいくのはあっというまです。
末永くお幸せに…(ってまだ終わっていない)
コメントありがとうございました。
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